パドヴァのとっておき。

北イタリア・ヴェネト州パドヴァより、料理や季節のおいしい情報を中心に、日々のできごとを綴ります。



豆の展覧会 『レグーミ, ケ・パッシオーネ! (Legumi, che passione!)』 :: 2016/11/29(Tue)

豆…インゲン豆というだけで、世界にどのくらいの種類があるのだろう。なんでも、25年間その土地で育ったものには、その土地の名(もしくは好みの名)を自由につけ、いわゆる一品種となり得るとかいうことで、その種類はもはや数えきれなくなっているのだとか。

そんな豆のミニ展覧会が開かれたのは、ストラ (Strà) という、ヴェネツィア県にある町。

スローフード協会との連携により、約190種に及ぶインゲン豆の展示とその解説がされている。想像よりも、非常に素朴な展示会で、広場の中心に置かれた長テーブルにテーブルクロス、そこに展示される豆類は、ジャムの瓶などを利用して…と、なんだか文化祭っぽいノリ(笑)。

DSC_0005_convert_20161129145916.jpg

DSC_0012_convert_20161129150016.jpg

DSC_0006_convert_20161129145934.jpg

DSC_0008_convert_20161129145949.jpg

そして、ヴェネト州を中心とした、伝統的土地の品種を守り続けているインゲン豆の種の紹介と販売などのテントなど。

DSC_0032_convert_20161129152949.jpg

そのなかでも個人的に購入もしてみた豆数種。

ファジョーロ・ジャレット (Fagiolo gialèt)。
ヴァル・ベッルーナ (Val Belluna) という、ヴェネト州の北部にてつくられる豆。15世紀ごろよりこの辺りで栽培されていたものらしい。

DSC_0029_convert_20161129152853.jpg

小さくて黄色いのが特徴で、皮が非常に薄いので、非常にデリケートな味わい。乾燥豆は、戻すのに最低12時間、火を通すのに最低40分というので、大きさの割には調理に時間がかかるようだ。だけど、そのデリケートな味わいは、なんでも、これをピュレのようにして、その上にさっと火を通したエビなどを載せると、とっても良いのだとか…やってみよう。

そして、こちらはヴェネトを代表するD.O.P.のの産地呼称認定を受けているファジョーリ・ディ・ラモン (Fagioli di Lamon)。つまり、ラモン産インゲン豆。

DSC_0026_convert_20161129152804.jpg

ヴェネト州とフリウリ州の境目くらいの54㎢くらいが原産地といわれている。戦後はこの地域の」一大産物として、700軒もの農家がいたとも。地域を支えてきた重要な産物でもある。

この土地の高低差の大きい昼夜の温度差が良質な豆を作る。5月3日のサンタ・クローチェの日が種植えの日、と規定されているのも、土地ならではの伝統を感じるもの。ラモン産のインゲン豆として認められているものには、スパニョレト (Spagnolet)、スパニョール (spagnol)、カローネガ (Calonega)、カナリーノ (Canalino)という4つの品種がある。

もうひとつは、ファジョーロ・ヴェルドン (fagiolo Vredòn)。産地はトレヴィーゾ県の中心から少し北側の地域。薄い緑色をした、なんだか大豆みたいな豆。デリケートな風味とのことにて、茹でてサラダに、ミネストラに…など。

DSC_0024_convert_20161129152747.jpg

豆好きな私としては、いろいろと試してみたく、ちょうどミネストラの美味しい季節にもなってきたこともあり、楽しみだ。

…と、屋台をささーっと見ながら歩いていたら、なんだか見覚えのある店構え。パドヴァの広場にいつも出ている顔なじみの乾物屋台だった。

DSC_0022_convert_20161129152526.jpg

DSC_0018_convert_20161129152613.jpg

日曜日までお疲れ様です。Buon lavoro!!!




テーマ:イタリア - ジャンル:海外情報

  1. イベント、見本市
  2. | trackback:0
  3. | comment:0
製糖工場の町の甘いお祭り『フェスタ・デッラ・ドルチェッツァ』 :: 2016/11/28(Mon)

パドヴァ南側の郊外に、ポンテロンゴという町があり、ここは、イタリア最大規模の砂糖の工場がある。イタリアでは誰もにおなじみのパッケージの砂糖を生産している工場だ。

DSC_0057_convert_20161128171259.jpg

ここで町の守護聖人のお祭りにひっかけて、数年前から、この一大生産物も巻き込んだフェスタが開催されるようになった。

田舎町のお祭りだから、もう町中あげての…と言わんばかりに、町の中心地から続く川沿いを、屋台がずらり〜と並んで、町中の人たちは間違いなくこの期間中はここら辺に集結しているのでは?的な感じのする、町の恒例一大行事。

ポンテロンゴという町の名は、ポンテ=橋、ロンゴ(ルンゴ)=長い、という意味があり、この町の真ん中を流れる、バッキリオーネという大きな川にかかる長い橋がこの町の目印だったことから、と言われている。この周辺は川の流れがあちこちに見られる場所で、ヴェネツィア共和国の時代から、川の流れに沿うようにあちこちに様々な産業が栄え、そして川を利用してヴェネツィアへ運んでいた、という歴史がある。

お祭りはいろいろなプログラムがあるのだが…
お祭りテントの中に入ると、着色された砂糖を使った大きなデザインを製作中。

DSC_0041_convert_20161128171211.jpg

砂糖の直売所では、いくつかのカゴ詰めされた各種砂糖詰め合わせの販売やら、その横では、綿あめをつくってくれるおばさん。

DSC_0043_(1)_convert_20161128171239.jpg

子供向けのプログラムには、ピッコリ・パスティチェリ(小さなお菓子屋さん)と題して、ビスコッティの生地をのばして型抜きをさせてくれる。

DSC_0092_convert_20161128171348.jpg

甘いお菓子にちなんだ、町のお祭り。素朴な空気の流れる手作り感いっぱいの町のお祭り。
ちょっと遅く出向いてしまって、製糖工場見学など、興味ふかい企画を逃してしまったので、また次の機会に。

DSC_0061_convert_20161128171327.jpg





テーマ:イタリア - ジャンル:海外情報

  1. イベント、見本市
  2. | trackback:0
  3. | comment:0
ヴェネトの冬と、ラディッキオ・ディ・トレヴィーゾ :: 2016/11/27(Sun)

ヴェネト州の冬、というと、どこの八百屋でもこの時期山積みになる野菜、ラディッキオ。

ヴェネト州の各地に産地があり、産地ごとに種類が変わる。そのなかでも特に特徴的なのが、トレヴィーゾ産のもの。トレヴィーゾ産のなかでも、早生種のプレコーチェと晩生種のタルディーヴォというものに分かれる。

↓これが、プレコーチュ種。

DSC_0032_convert_20161127070301.jpg

↓そして、これがタルディーヴォ種。

DSC_0268_convert_20161127070517.jpg

おまけに、こんなものもある。これはヴァリエガート種といって、いわゆる、変形種。トレヴィーゾの隣町、カステルフランコという場所がオリジナル。

DSC_0098_のコピー_convert_20161127070336

その個性といったら見た目の色の鮮やかさ。白と紫赤色の鮮やかな色のコントラストは、他のどんな野菜とも一線を画するもの。

トレヴィーゾ県周辺には、このラディッキオの農家が4000軒もあるというが、そのなかでも品質を保証するI.G.P.という、原産地呼称認定マークのついたものを生産するのは、4-5%ほど。その認定マークには、品質の確かさ、が保証されている。

DSC_0005_のコピー_convert_20161127071228

そのため、このマークをつけるためには、厳しく規定された生産方法を一貫して守らなければならない、という義務を背負うものでもある。

だから故、少数の農家の生産するこのラディッキオが認定マークのつかないものと比べたらやや高価ではあるが、見た目からその違いが分かり、もちろん食べてみると更に違いを改めて実感することになる。

ラディッキオの、それも、晩生種のタルディーヴォ種の生産工程は非常に特徴的。

まずは、畑からの収穫。寒い時期の作業だが、ものすごい太い茎との格闘にて、真冬でも汗をかくほどの仕事となる。

DSC_0142_のコピー_convert_20161127070400

DSC_0143_のコピー_convert_20161127070419

その収穫した株は、それがすぐに出荷できるか、というとそうではない。まずは、これを一度外葉をおおまかに取り除き、一株一株をカセットに詰め、それを水にさらす。この水は、この土地の地下水を常に流しているものに限る。

DSC_0236_convert_20161127070441.jpg

そして、日光から遮り、2週間から20日間ほど静置。この間に、水に浸かった根がどんどんと水を吸い上げ、そして、葉の芯の部分は真っ白に、葉の周囲は赤く…と特有の色を有してくる。

それを別の作業場へ移し、今度はさらに外葉を取り除く。この際には思いっきり葉をはがすと、その中心に鮮やかなあの色合いが見えてくる。

DSC_0262_convert_20161127070500.jpg

この中心部のみを残し、茎を掃除し、水洗いしてようやく出荷用の箱詰めへ。

こんなに人の手間のかかる野菜など、他にはないだろう。おまけに、畑で成長したものを収穫し、出荷できるのは、一茎のうちの30-40%ほど。
手間と時間をかけてできあがる、貴重な産物だ。

この野菜の食べ方は、一番シンプルで美味しいのが、縦に割ってそのままグリルにしたもの。そして、リゾットやパスタなど。マリネしたり、ラザニアなどにしても美味しいし、フリットにしても。もちろん生でサラダも最高にうまい。

DSC_0452_のコピー_convert_20161127070552

DSC_0037_のコピー_convert_20161127070322

DSC_0433_のコピー_convert_20161127070534

生でも焼いても、揚げても…とかなりの万能選手だ。

私は数年前に知り合ったこのラディッキオ農家に大変お世話になっていて、足繁くこの作業の場所に通っている。そして、長く想いを持っていたこの野菜の日本への輸出を数年前より行っている。

少しでもたくさんの方に、この野菜の、そして本物の美味しさを味わってほしい、という思いを持ちながら、今年の冬もスタート。

市場に行くと、ラディッキオが冬の景色に華を添えているかのよう。ラディッキオの別名、フィオーレ・ディンヴェルノ(冬の花)とは、うまく言ったものだ、と納得。

IMG_4017_convert_20161127070617.jpg







テーマ:イタリア - ジャンル:海外情報

  1. 料理・素材
  2. | trackback:0
  3. | comment:0
『カフェ・ペドロッキ』の名物コーヒー『カフェ・ペドロッキ』 :: 2016/11/25(Fri)

パドヴァの旧市街地の中心に位置する『Caffè Pedorocchi (カフェ・ペドロッキ) 』。創業は1831年。
イタリアのカフェの歴史は、700〜800年代から広く普及を初め、パドヴァでもちょうどその時期を重ねるように、カフェがオープンしている。当日のカフェの位置付けは、単にブレイクすることが目的というよりも、人が集まり、そこで様々な談義が交わされたもの。

パドヴァのカフェとして特徴的なのは、パドヴァが大学の町であったこと。同カフェの前には、パドヴァ大学(パラッツォ・ボー)がある。現在でこそ、町の中にキャンパスが点在し、複数の学部がそれぞれに存在するのだが、創設当時は、旧市街地の中心地、現在も残るパラッツォ・ボーが歴史的な創設の場所だ。

大学は、多くの見識者、学者たちが集まることで、思想の表現の場であるともいえる。その最たる場でもあるのが、このカフェ・ペドロッキともいえる。

カフェは創設当時から、緑・赤・白のトリコローレの3つの部屋に分かれており、現在でもその姿をそのまま見ることができる。
学生のリソルジメント運動(近代イタリア独立運動)の活動拠点であったこともあり、現在の白の部屋(サーラ・ビアンカ)には、その際の闘争の様子を垣間見ることのできる壁の銃弾の跡なども残る。

カフェの上の階には、リソルジメント博物館として、当時のパドヴァの活発な市民運動の様子が記録されていることでも、パドヴァの歴史の一部として、同カフェの位置付けは重要なもの。

たくさんの歴史を背負う場所ではあるが、市民や観光客、全ての人々に開かれた、オープンな場所であることも、パドヴァのシンボルにもなっている。ゆえに、カフェ・ペドロッキはのキワードとして、よく知られている一節に、 “ Caffè senza porta (カフェ・センツァ・ポルタ=扉のないカフェ) “というのがあり、どんな人も身分や職業、立場の違いなく、全ての人に開かれた場であることを表現されている。

さて、こんなカフェにていただくカフェは、歴史を感じる優雅な空間のなかにて、なかなかオツなものなのだが、同カフェには同名の飲み物が存在する。その名はもちろん『カフェ・ペドロッキ』。

DSC_0114_のコピー_convert_20161125124716

コーヒーの上に少しホイップされた生クリームを少し、そして、緑色のミントのシロップを少しだけ加えたもの。
注文してしばらくすると運ばれてくるそれには、スプーンがついてこない。

給仕のカメリエーレが必ず付け加える注意事項とは、
・砂糖は加えないこと
・スプーンでかき混ぜないこと→だからスプーンはサービスされない
・最後の泡までしっかりといただくこと
熱くてほろ苦いコーヒーに、冷たくて甘いミント風味が口のなかでクリームと混ざり合う、ちょっと不思議な飲み物。

個人的には、最後に残るクリームが美味しいのに、底に残ってしまうのが残念で、こっそりとカメリエーレにスプーンを持ってきてもらう。

ただし、こういうコーヒーは飲みながら、カップをゆすって最後に泡を残さないように飲むのがよい。スプーンなしにて、正しいコーヒーの飲み方ができるようになったら、正真正銘のパドヴァーナとなる。…のかな。




テーマ:イタリア - ジャンル:海外情報

  1. Padova/パドヴァ
  2. | trackback:0
  3. | comment:0
サラミの品評会とTECNO&FOOD PADOVA :: 2016/11/24(Thu)

パドヴァ・フィエラ(パドヴァ展示会)にて2年に一度開催される食のスペシャリスト向けの展示会が開催された。その名も TECNO&FOOD。
15回めの開催となる今年の見どころは、今年で5回めとなる、フィンガー・フードの大会。そして、最近のイタリアの展示会の一種の流行りでもある各種”SHOW-KOOKING”。

DSC_0025_convert_20161124030338.jpg

DSC_0028_convert_20161124030352.jpg


…とはいえ、かろうじて小さなイベントは見たものの、これら大半の見どころの開催日は行くことができずに、ほぼ、目玉イベントを見逃し、最終日にようやく足を運ぶ。

この日の目的は、イタリア産サラミの品評会。

DSC_0024_convert_20161124030323.jpg

Accademia delle 5Tなる団体の主催による、北イタリアを中心とし、すでにいくつかに絞られた各地のサラミの生産者による、サラミの紹介とその品評会だ。

DSC_0020_convert_20161124030308.jpg

DSC_0018_convert_20161124030251.jpg

チーズやワインなど、イタリアならではの食や食べ物に関して、それぞれにその品定めをする法があり、その基準や表現方法など、ある種の一定の基準の評価方法はいろいろな機会で触れてきた(現在進行中でもある)。
が、サラミに関してもそんな基準があることを知ったのは、今回の目から鱗。

DSC_0012_convert_20161124030235.jpg

サラミの原料ともなる豚の飼育から始まり、なぜその土地でこの仕立てとなるのか、サラミの太さや紐の縛り方にまで、今さらながらなるほど〜と思わせることがたくさんあることを発見。

冷蔵庫のない時代に、肉の保存を目的としていた腸詰めだからこそ、の考え方が基本。翌年の屠殺の時期まで大切な賜物である食物を、無駄なく食するために、人間の手でできる方策を考えたことから、生まれるべくしてできあがった産物だ、ということも。

DSC_0007_convert_20161124030219.jpg

例えば、同じ生産者でも太いサラミと細いサラミとを作り分ける。
肉をミンチにして、塩や香辛料、ワインなどを混ぜて腸詰めにする。細いものは1ヶ月足らず、太いものは9-10ヶ月にも及ぶ食べ頃の差が生じる。こうして食べ頃の時期をずらすことで、約1年間、一頭分の豚肉を大切に食べる、ということだ。そのために、混ぜる香辛料の内容や量、紐の結び方、そしてもちろん大きさなどを調整していく。

単純なことかもしれない。が、自然の流れに沿うように、畜肉を無駄にすることなく人間の食料として大切にしてきた歴史を感じとることのできる要素でもある。大げさかもしれないけれど。

そして、それを評価する側のコメントをずーっと聞いていると、熟成の方法、環境により、サラミの仕上がりの良し悪しが。自然の気候に逆らうことなく熟成を進めなければいけないからこそ、その管理が大切になる。ましてや、ここ近年の気候の変化などの影響から、自然環境に置くだけではひと昔前のようにはいかないこと、なども。

急激な熟成による内側と外側の食味の違いなどが生じる、とかカビの生え方、または乾燥具合が変わる、など。

う〜ん、なかなかと深いサラミ談義に興味深し、な1日。サラミのエスペルト(スペシャリルト)の話しっぷりがかなり奥深くて、これにも釘付け(笑)。

DSC_0004_convert_20161124030131.jpg





テーマ:イタリア - ジャンル:海外情報

  1. イベント、見本市
  2. | trackback:0
  3. | comment:0
パドヴァの土着ワイン、フリウラーロ @Dominio di Bagnoli :: 2016/11/07(Mon)

パドヴァの南側、ロヴィーゴ県との境にあるバニョーリ・ディ・ソープラ(Bagnoli di Sopra)という地に、パドヴァの古い土着品種であるフリウラーロ(friuralo)というワインを造るカンティーナ、ドミーニオ・ディ・バニョーリ(Dominio di Bagnoli)がある。パドヴァの土着とはいえ、ここが唯一の生産者。

小さな街なので、このカンティーナ自体が街のシンボルにもなる。街に到着するとまず目に飛び込んでいくるのは、同カンティーナを内に有する古い壁。

というのも、カンティーナのある建物は17世紀に建てられた貴族の邸宅でもあるから。そして、壁で囲まれた大きな敷地内には、住居用邸宅、教会なども造られ、そこに広大な農作地も保有していた。所有者はヴェネツィア共和国の貴族であるロドヴィーコ・ウィッドマン。

IMG_6441_convert_20161107053212.jpg

その後、ミラノのボルレッティ(Borletti)という、ミシンの会社で有名なファミリーがここを所有、この当時に大きな会社となり、所有地は2000haにもなったという。

現在の現カンティーナの土地は600ha。ブドウの他、ポレンタ用のトウモロコシ、米、牛の飼育などもされている。

IMG_6447_convert_20161107011753.jpg

そして、ここで生産されるフリウラーロ(Friuralo)という、貴重なパドヴァの土着品種は彼らが唯一の生産者。

フリウラーロという名前は、フレッド(=寒い)という言葉の訛りからくるもの。寒くなってからヴェンデンミア(ブドウ収穫)が行われることを指している。なんとサン・マルティーノの日(11月14日)が過ぎてから行われるヴェンデンミアだ。イタリア国内でも最も遅いと言われる収穫だ。

それが可能なのも、同品種のブドウの性質によるもの。皮が硬くて厚みのあることから、果肉がゆっくりと熟成していく。
この土着品種を生産とともに保存していくためには、彼らはワイン生産業としての役割だけではなく、品種保存のためにパドヴァ大学と連携し、共同研究もされている。

それは、畑での栽培にも見てわかる。ブドウの木の仕立ては、ここヴェネトでは、グイヨー方式(シングル・ダブルとも)が中心だが、昔からこの地で行われてきた仕立て法も健在。

こちらは、ティレットといい、大きな木の幹を中心に何本かのブドウの木をそこに絡ませるようにしている。その昔は幹に沿わせることで、ブドウの枝を上に上にと自然に伸ばすためと、使用する土地を効率良く利用する目的があったという。

IMG_6457_convert_20161107011903.jpg

一本の木に沿うようにブドウの木を植栽した例。木と枝が絡まりあって、なんだか生命力を感じさせる。

IMG_6456_convert_20161107011828.jpg

IMG_6461_convert_20161107011938.jpg

IMG_6464_convert_20161107012011.jpg

いよいよカンティーナ内へ。150年級の樽は現在は使われていないが、バリック内には、数年をかけてゆっくり熟成している赤ワインが静かに眠る。

IMG_6476_convert_20161107012131.jpg

土着のフリウラーロは、何年かにも渡る経験から、500l樽内にて熟成。醸造家の話を聞いていると、毎年毎年何らかの試みをしながら常によりよい物造りを探求していることがよく伺えるもの。

IMG_6474_convert_20161107012103.jpg

IMG_6477_convert_20161107012205.jpg

デグルタツィオーネ(試飲)は、フリウラーロのスプマンテからスタート。

IMG_6492_convert_20161107012356.jpg

IMG_6481_convert_20161107012227.jpg

瓶内発酵させるクラッシック製法によるもの。

IMG_6484_convert_20161107012254.jpg

非常にドライで風味のよい、デリケートな継続性のある泡のスプマンテ。

そして、フリウラーロ2013年。

IMG_6473_convert_20161107012042.jpg

続いて2008年。これは、収穫を非常に遅い時期まで待ったもの。

IMG_6485_convert_20161107012325.jpg

この種のブドウは寒い時期までしっかりと木で果実を熟成させることで、さらに醸造後の熟成の長時間に耐える、いや、長期間になるほど味わいがしっかりと、その個性がより強くなるものだとか。
深〜い赤ベリーの香りやら、トースト臭やらスパイス臭やら、非常に複雑に絡み合う味わい深いもの。

実は数年前にも訪れた同カンティーナ。しばらくご無沙汰していたでけれど、パドヴァの土着として、個人的に再注目すべきカンティーナだ、と再認識。

IMG_6439_convert_20161107054054.jpg






テーマ:イタリア - ジャンル:海外情報

  1. Produttore/生産者
  2. | trackback:0
  3. | comment:0
結婚式とダミジェッラ :: 2016/11/02(Wed)

10月のある土曜日、主人の姪っ子の結婚式に参加。

新郎・新婦はもうかれこれ6年をともにしているし、今年の始めには子供も生まれていて、新生活はとうにきっている二人。私も新郎とは既によく知る仲だし、彼のご家族はもちろん、数人の親戚とも顔なじみ。

そんな二人がようやくに式をあげることになった。

式の会場は、彼らの住まいであるトリノの、ある教会。椅子に座りきれないほどのたくさんの参列者のなかで行われた結婚式。

IMG_6219_convert_20161102021705.jpg

粛々と式が進んでいくなか、我が家にも実は大役が。

最後の指輪の交換にて、我が家のびおらちゃんがダミジェッラに抜擢されていたから。ダミジェッラとは、式が進行し、夫婦の誓いが交わされて、夫婦の絆である指輪の交換時にその指輪を運ぶ女の子のこと。

1ヶ月前くらいに娘の従姉妹にあたる新婦にその役を頼まれてから、いやだいやだ、と言いながらも本人も結構その気になって当日を迎えていて、本番も無事に終了。

IMG_6222_convert_20161102021621.jpg

やり終えたご本人の感想は、「式が一番前で見れてよかった」と余裕のお言葉を…

その後は、トリノから各自30kmほど郊外に移動し、食事会。

IMG_6237_convert_20161102021738.jpg

IMG_6238_convert_20161102021815.jpg

13世紀の貴族の館をレストランに改装した建物にて、まずは、会場外で立食のアペリティーヴォ。

その後には、着席にてお食事…そして…お決まりのダンスパーティーと化し…と恒例の長い長い夜が続いたのでした。






テーマ:イタリア - ジャンル:海外情報

  1. 行事、習慣
  2. | trackback:0
  3. | comment:0
マントヴァ風モスタルダをつくる :: 2016/10/24(Mon)

ピリリと辛いマスタードの香りがジャムに加わったような独特の風味。モスタルダは北イタリアを中心に各地で特に冬場に活躍する、一種の薬味的なもの。

甘く煮たフルーツの仕上げにマスタード液を数滴加える。砂糖の量と砂糖の力でフルーツ自体の持つ水分を取り除くことによる、いわゆる保存を目的とした、保存食品の一種だ。

使用するフルーツは、リンゴ、ナシ、オレンジ、アンズ、メーラ・コトーニャ等々…。基本的に樹で熟すフルーツを使うのが一般的。

なんでも、樹で完熟できずにいた果物を美味しく利用するために考えられたものだとか。固くて甘みが出ないこれらは、砂糖をたくさん使って煮込むジャムにしてもそれほど美味しくならない。そこで仕上げにマスタード液を加え、料理の添え物に利用したのが始まりだという。

なので、上記の果物も生食したときに柔らかく甘いものよりも、比較的早熟な固いものを利用したほうが、仕上がりがうまくいったりもする。もちろん、素材の本来が良いものを使うことで、結末もそれに相応していくことはいうまでもないのこと。
メーラ・コトーニャのようなものは、、もともと生食用のリンゴというよりは、加熱向き。モスタルダにはうってつけの食材でもある。

そして、モスタルダとして知られているものには、各地それぞれに馴染みのスタイルがある。

私の住むヴェネトでは、仕上がりは果物の形を呈していない。すべて潰してドロドロになっているものに親しみがある。

有名なクレモナのモスタルダは、果実の形をそのまま残して使うもの。形を残すから、小さな実を具材に盛り込んでいく。キンカンなども使われる。

そして、この日につくったのは、マントヴァ風モスタルダ。材料には、ナシやリンゴ、メーラ・コトーニャがよく使われるが、これらを小さく切って形を残しておくのがここの土地流。

まずは、固めのナシを準備。1cm角くらいに切ったそれらは重量を量り、その半量の砂糖をまぶして12時間置く。

こうすると、浸透圧の関係で、12時間後にはかなりの水分が外に出る。その水分のみを取り出すい、鍋にかける。沸騰させて約5分、表面の気泡がブツブツと大きくなった頃を見極めて火からおろす。

しばらくそれを冷ましたら、ナシの入っていたボウルに再度戻す。そして再度12時間置くと、さらに水分が外に出てくるので、もう一度同じ作業を繰り返す。

DSC_0015_convert_20161020195023.jpg

これが、砂糖をまぶしたばかりのものと、12時間後に液を火にかけたものとを合わせたもの。

モスタルダは砂糖で煮込むもの、と思っていたが、この日にマントヴァ風モスタルダを教授してくれた料理家のステファニアは、果物自体には火を通さない。間接的に火を通すことにより、果物の形を残しつつ食感も残す。だから火からおろしたばかりの熱々の砂糖液を加えないように、必ず冷めるまで待つ。こうしないと果物が熱に負けてしまうから。

ただし、それも使うフルーツによって方法を変える必要がある。硬い皮付きのオレンジなどを使用する場合には、熱い液をかけて皮にやんわりと火を通すようにするほうが仕上がりがよい。

さて、この煮こぼしを3回ほど繰り返したら、そのまま冷まし、瓶に入れた際、または入れる間際にマスタード液を数滴加える。よく混ぜて蓋をし、最低2週間。2週間後に蓋を開け、マスタードの風味が足りないようであれば、再度数滴。

DSC_0025_convert_20161021015719.jpg

モスタルダは辛いもの、という認識が私にはあったのだが、辛いだけのモスタルダはそれはそれまで。マスタードの風味が非常に大切。これを香りを残し、風味豊かに仕上げるか否か、が美味しいモスタルダになるかどうかの決め手となる。

ちなみにマスタード液は、通常、薬局にて販売されているもので、まるで香りのエッセンス、媚薬のような小さなスポイトつきの小瓶に入っている。

できあがるモスタルダは、やはり地元の食材や料理と組み合わせるべし。マントヴァのそれも同様。質のよいグラーナ・パダーナに添えるだけで、いいアンティパストになる。セコンドや、セコンドの後の口直し的に使われる場合もある。

そして、マントヴァ独特のトルテッリーニに欠かせない隠し味ともなり得る。
カボチャの産地でもあるこの地域は、カボチャのトルテッリが有名。甘くて美味しいカボチャに、少し辛味のあるモスタルダを加えるのが、マントヴァ風。

茹で上がりはセージとバターを絡めて食べると最高に美味い。

DSC_0039_convert_20161024122259.jpg

DSC_0047_convert_20161021141352.jpg

これから迎える寒い季節、肉のローストやらボッリートを食べる機会が増えるのだが…これらとの相性は抜群。これらの肉料理とモスタルダとは切っても切れない関係。脇役ではなくて引き立て役、という感じかな。

DSC_0023_convert_20161020195141.jpg

今年の冬は、ボッリートに合わせるべく、絶対に手作りモスタルダを作るぞ‼︎と堅く決意。




テーマ:イタリア - ジャンル:海外情報

  1. Corso di cucina/料理教室
  2. | trackback:0
  3. | comment:0
ヴェネツィアの市場でお買い物の後は… :: 2016/10/16(Sun)

私自身も非常に楽しませていただいている、ヴェネト各地に住むマンマとの料理レッスン。この日は、東京からの仲良し母娘さんからのご参加で、ヴェネツィアのマンマ、アダさんとのヴェネツィア料理レッスンを開催した。

アダさんとのいつもの待ち合わせ場所は、リアルト橋のたもとの市場。

参加いただく方によっては、あらかじめメニューを打ち合わせしておく場合と、アダさんとの場合には特に事前にメニューを決めずに、一緒に市場をまわってメニューを決めながら季節のものを購入するパターンもある。

この日は後者の方法にて。まずは彼女がいつも立ち寄る魚屋さんへ。

DSC_0008_convert_20161016062921.jpg

今の季節は、甲イカの小さな柔らかなのが出回る時期なため、オーソドックスにイカのスミ煮をスパゲティで。イカのスミ煮は定番ながら、不動な人気のメニュー。

DSC_0006_convert_20161016062857.jpg

他にスカンピやら、この時期のヴェネツィア人の大好きな前菜、マザネーテ。小さなカニを生きたまま調理する。脱皮したての柔らかくて丸ごと揚げて食べるモエーケの、殻が固くなったもの。モエーケほど食べられる季節が限定されていないので、ヴェネツィアの庶民的食べ物。

八百屋さんには、この季節のきのこやら、出始めのラディッキオやら…いつもの通り色鮮やかな店頭。

DSC_0013_convert_20161016062940.jpg

DSC_0018_convert_20161016062957.jpg

この日はあれも、これも…とアダさんがとても張り切って、ヴェネツィア風子牛のレバー(フェーガト・アッラ・ヴェネツィアーナ)もやろうよ、ということでお肉屋さんにも立ち寄り、新鮮なレバーを用意してもらうなどして、アダさん宅へ移動。

DSC_0019_convert_20161016063024.jpg

イカやスカンピの処理を丁寧に教えてもらいながら、ゴソゴソ動いているマザネーテは鍋に入れられてそのまま火の上へ…

DSC_0042_convert_20161016063057.jpg

茹で上がりは一つずつこれも丁寧に掃除をしてオイルとプレッツェーモロ、塩で味をつけていく。

DSC_0045_convert_20161016063116.jpg

アダさんの秘伝のレシピ、肉のポルペッテ(揚げた肉団子)も急遽メニューに入れてくれたので、同時に肉団子作りも着々と進む。

DSC_0039_convert_20161016063041.jpg

DSC_0057_convert_20161016063135.jpg

あれよあれよと小さな台所で手際よく料理を続けていたら、あっという間に美味しそうな料理がテーブルいっぱいに。

DSC_0069_convert_20161016063155.jpg

DSC_0076_convert_20161016063232.jpg

ヴェネトの、そしてヴェネツィアの料理とそれにまつわる季節の素材、そして地元のワインの話など、話は尽きることなく…あっという間に数時間が経ち、この日もたくさんのことを学んで楽しく過ごさせていただいた。

ありがとね、アダさん💕

DSC_0004_convert_20161016062833.jpg





テーマ:イタリア - ジャンル:海外情報

  1. Corso di cucina/料理教室
  2. | trackback:0
  3. | comment:0
パドヴァのソット・サローネからアマトリーチェへ :: 2016/10/13(Thu)

8月下旬に発生したイタリア中部地震に関しては、冬の寒い季節が目前に狭り、住民の方々の生活の立て直し等、大きな問題を抱えている。

私個人的にできることなど、到底小さなこととは思いつつ、小さな義援金のできる機会を見つけては、参加するようにはしているが…

先日、パドヴァの市民の台所として知られる、長い歴史ももつ、ラジョーネ宮下、通称《ソット・イル・サローネ》において、この震災の義援金活動が行われた。

ソット・イル・サローネは、この建物の13世紀の完成時より商業施設として成り立ってきた場所。現在も、約50軒の食料品を中心にした商店が軒を連ね、いわゆる、歴史的商店街、となっている。

我が家も然り、この商店街には常日頃からお世話になっており、チーズ・ハム類、肉・魚、パン、生パスタ等々、頻繁に足を運ぶ場所。お店の人と顔なじみになり、買い物をしない日でも、通りを歩くとあちこちから、威勢のいい声で声をかけてもらうと、なんだかこっちまで元気になる、という、ビタミン剤みたいな場所でもある。

さて、この商店街のなかのいつもの常連として立ち寄るチーズ専門店の一店にて買い物をしていたら、お店の人から、ある企画に誘われた。

それは、同震災にて被害を受けたこの地域のカゼイフィーチョ(チーズ製造所)を助けよう、という企画夕食会を、このソット・サローネで開催する、というもの。

もちろん参加するよ〜、と声をかけて、前日に予約電話をしたら、なんと満席。盛況のため、2回転させる、というので、第2部に参加することにした。

夜のソット・サローネは朝の雰囲気とはまるで違い、なんだかしっとりとした雰囲気。そんななかで多くの人々がテーブルに座り、食事を楽しんでいる。

IMG_6085_convert_20161013121835.jpg

IMG_6087_convert_20161013122015.jpg

いつもは各店のバンコ(カウンター)に居る顔なじみの定員たちが、この日は調理人であり、カメリエーレだ。

IMG_6086_convert_20161013121927.jpg

チケットにお金を払い、即席テーブルにつく。
まずはじめは、地元のチーズ、アジアーゴの盛り合わせ。熟成の若いのと1年熟成のもの。

IMG_6090_convert_20161013122112.jpg

そして、肉のタリアータ。

IMG_6093_convert_20161013122149.jpg

もちろん、各店のショーケースから出してきたものを持よって調理する。
ここにワインとお水がついて15ユーロなり。
これは全て、アマチリーチェに寄付されるらしい。

美味しく、なんだか特別感ある空間に、なんだか急に寒くなった一夜ではあったが、心が少しあったまった気がした。

IMG_6096_convert_20161013122230.jpg





テーマ:イタリア - ジャンル:海外情報

  1. Padova/パドヴァ
  2. | trackback:0
  3. | comment:0
次のページ