パドヴァのとっておき。

北イタリア・ヴェネト州パドヴァより、料理や季節のおいしい情報を中心に、日々のできごとを綴ります。



プロセッコの里にて、主人のいないオステリア『オステリア・センツァ・オステ (Osteria Senz’oste) 』 :: 2017/04/06(Thu)

今やヴェネト州の代表的なワインとなったプロセッコ。爽やかな白の発砲酒で、飲みやすく、また手頃な価格帯でものすごい急成長を遂げていることもあり、生産量も販売量も右上がりの売れ筋商品に成長した。

このワインの産地はヴァルドッビアーデネという、トレヴィーゾ県の北部の丘陵地。この地区は私も個人的に大好きな地域で年間を通して少しドライブに…というときに最高な場所でもある。何より、大好きなプロセッコのカンティーナが点在していることもあり…

この地区でもプロセッコ生産の中枢となる地区に、隠れ家的にあるのが、主人のいないオステリアとして、今や隠れ家ではなくなってしまった場所。

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一番最初に訪れたのは、もう5年以上も前だろうか。今よりもまだ知られていなくて、どうやってたどり着いたらいいのか、実は実在したHPに連絡をとってみたりしていた。主人はいない、とはいえ、HPの連絡先にメールを出したらすぐに返事がきて、行き方やらを丁寧に説明してくれていた。

ここのオステリアの特徴は、何度も繰り返すように、主人のいないこと。客は自分でワインを購入し、店内にあるチーズやサラミ、パンなどを自分たちで切り、食べて、片付けて帰る仕組み。

以前は店内に賽銭箱のような箱があって申告制でお金をおいていったことでそれらしさがあったのだが、数年前に営業的違反として罰金を支払うこととなり、話題にもなった。今は店内のコンピューターで支払いをして、レシートが出る仕組み。なんだかちょっと残念な感じ。

初めて訪れた際、なんと冷蔵庫にオーナーが、私を歓迎してくれたプロセッコの瓶を置いておいてくれた思い出がある。個人的には、ここ数年、来客も増えてなんとなく粗雑感があり、ここで飲食をする気分になれないので、ここから見える景色を楽しむためだけに訪れるようになってしまった。

とはいえ、ここから見える景色とは、プロセッコの里でも最も有名な場所、カルティッツェを一望できる場所なのだ。

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カルティッツェとは、最も価値のあるプロセッコをつくるぶどう畑の一角。写真で見るように、丘陵地が連なり、とにかく日当たりがよく、風通しがよいことから、健康的なよいぶどうが育つ。100haほどの土地にそれと同じくらいの畑の所有者がいる。ここで収穫されるぶどうからつくるプロセッコは”カルティッツェ”を名乗ることで、価値がグンとあがるから。

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この時期、剪定を終えたぶどうの樹には、若芽が育ち始めている。春の息吹を感じる時期。

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さて、オステリアに話しを戻すと、ここ数年、ここで提供されるプロセッコは、店内のオンボロ冷蔵庫から取り出すのではなく、オステリアから少し登った先にある自動販売機から購入するシステムに変わった。

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そして、その上に少しだけできた広場にて、ピクニック気分でプロセッコを味わうこともできる。週末のここは、若者の団欒の場と化していた…

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とにかく、天気のよい日には最高の産地天望地。

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アジアーゴの丘陵地とマルガ :: 2016/09/07(Wed)

夏の終わりを惜しむかのように、そそくさと名残惜しい季節を感じにいく週末。

天気のよい1日、子どもを連れて出かけたのは、大好きな土地、アジアーゴの高原地域。

私たちがこの日に訪れた先は、アルトピアーノ・ディ・アジアーゴ(Altopiano di Asiago)と呼ばれる地域で、アジアーゴの街よりもさらに高地となる。

パドヴァの自宅から、普通道路でも2時間ちょっとでこの標高1700mくらいのところまで比較的容易に到着できる。山用の服装なども必要ない気軽さがいい。

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平地は30℃を越す残暑のこの日、山の上は16℃。肌寒いくらい。

所々の拠点には、山小屋があり、冬はスキー客用に、夏は避暑用に、と食事などを振る舞うロッジがあり、ここに車を置いて周囲の散策が可能。

ハイキング用に道もつくられているので、その道なりに歩くと…

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この先には、何やら気になるアグリトゥーリズモの看板が。

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さらに先に行くと、小さな小屋でたくさんの人たちが昼食をとっている。こういう場所はマルガ(malga)と呼ばれ、簡単な食事処であるのだが、多くの場合、夏季の牛の放牧場になっていて、そこでその日に絞られる牛乳でチーズがつくられる。

もちろんこれはれっきとした《アジアーゴチーズ》。若いものは2ヶ月くらいから、熟成のタイプのものは3年くらいのものまで、時間がその旨味を生み出す。

作業場を覗かせていただいた。

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カルダイア(乳を沸かす大きな銅鍋)も木でおこすもの。なんだかレトロでこの薄暗さがなんともいえない”静”を感じさせる。

1日に3個ずつしか生産できない。それを熟成して数ヶ月〜数年したものを私たちがいただくこととなる。

熟成庫には待機組が…

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チーズの型となるこの丸枠、今や平地ではほぼお見かけしない木製のもの。

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できあがったチーズはものすごく滋味深い。普段よく知るアジアーゴとはまず、見た目が違う。とにかく色が濃い!

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それはやはり、美味しい空気のなかで美味しい草を食べているから。与えられる餌ではなくて、自然の、高原の、栄養豊富な草を食べることにより、美味い乳からできるチーズは自ずと旨くなる。

ここのチーズ作りの名人・名物おじさんは、この夏季しか自分のアジアーゴチーズは作らないのだとか。他の季節の草を食べない牛の乳では自分の納得のできるチーズができないから、という。

ちなみにマルガは毎年、天候により多少はずれるが、3〜9月に牛を高原に移動させる。それ以外の季節はアジアーゴのもっと下のほうの牛舎にて飼育される。

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夏場はこんなところで美味しい空気をいっぱい吸って、美味しいチーズを食べるのが、楽しみのひとつ、となる。

こんな温かい人たちが、お手製の食事を振舞ってくれるんだから…格別に決まってる‼︎

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DOLO(ドーロ)の粉挽き水車 :: 2016/07/14(Thu)

パドヴァからヴェネツィアにかけてはブレンタという川が流れている。この川及び川辺はヴェネツィア共和国時代に現在の形を造られたもので、緩やかな平原に穏やかな水流を抱き、豊かな大地を背景にして、その時代から貴族たちの別荘地として知られた場所だ。

川に沿った美しい景観は、かつて「セレニッシマ(Serenissima=晴朗きわまる所)」と呼ばれたヴェネツィア共和国の保護のもとに川辺を正面とする豪華な邸宅が造り上げた景色でもある。川の流れとこの土地の美しさから、同国も、認められた貴族以外の住居建築を禁止したほど、と言われている。

川に沿ったいくつかの街は、数世紀を経て、現在もヴェネツィア県下、パドヴァ県下に置かれている。
そのうちのヴェネツィア県にあるドーロという場所がある。ブレンタ沿いでは最も地元の人たちの集う場所である、といってもいいかもしれない。

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川沿いにつくられた広場は、15世紀前半に築かれた、ムリーノ(粉挽き用の水車)があり、夕方ともなるとそこを中心にして人々が集まる。
現在、ここはバールとなっていて、このムリーノを見ながらアペリティーヴォをする人気スポット。
もともとはもちろん貴族の邸宅の持ち物であり、その後文化財に指定されて現在はバールの一部として利用されているもの。

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ここから見える風景と水の音が、特に夏の夕涼みにはもってこい、なのだ。

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この先には、スクエーロ(squero)と呼ばれる、船付き場があり、これも1500年代のもの。

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ヴェネツィア-パドヴァ間はこのブレンタの流れる川面をゆったりと走るととても気持ちがいい。高速道路を使うと30分で到着する距離だが、時間の余裕をみてこの経路を辿るのが、個人的にはとても好き。
さらに時間があるときは、このムリーノで一休みするのがさらに良しな場所。





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プロセッコの産地の最中枢、カルティツェ :: 2016/06/25(Sat)

プロセッコはヴェネトを代表する発砲の白ワイン。近年、プロセッコ自体の世界的認知及び需要も右上がり。その主な出荷先はイタリア国外。つまり、健全かつ国外にいち早く、そして力を入れている(入れてきた)企業は不況知らずだともいう。
ワインに限った話ではないけれど。

製造は主に、グレーラ(GLERA)と呼ばれる品種が使われ、発酵過程を経てガスを発生させるには、それに適した発酵であるシャルマット製法をとられる。つまり、ステンレスタンクの内部で発酵過程を進めるもの。
近年では、その他に瓶内2次発酵をさせるシャンパーニュ製法(クラッシック製法とも呼ばれる)を取り入れたものなどもカンティーナによってはラインナップをし、価値やバリエーションをつけている。

プロセッコのここ数年の躍進は、1969年にD.O.C.の認定をとっていた格付けが、2009年にイタリア44品種めのイタリアワインの最高峰としての産地呼称である、D.O.C.G.(デノミナツィオーネ・ディ・オリージネ・コントロラータ・ガランティータ)にさらに格上げされたことによる。

当時の農林水産大臣がトレヴィーゾ県出身であったこともあり、この動きに多大な力を注いだことが影響する。その後、彼は現在のヴェネト州知事となった。

つけられた称号『G』の意味するところは、品質への『Garanzia(ガランツィーア=保証)』。

それにより、現在のプロセッコDOC認定のものは、ヴェネト州とフリウリ州にまで及ぶ9プロヴィンチャ(県)内にて、さらにはトレヴィーゾ県内アーゾロ(Asolo)ではアーゾロ産プロセッコDOCG.が9コムーネにて生産がされる。

そして、DOCGに認定されるものは、コネリアーノ・ヴァルドッビアーデネDOCG(Conegliano Valdobbiadene DOCG)として。同地の伝統としても古くから生産の続く地域で、同地区15コムーネ(自治体)5000haのブドウ畑がそれにあたる。

そのなかでも、さらに貴重な価値として格付けがされるものが、カルティッツェ(Cartizze)と呼ばれる一部の丘陵区で生産されるブドウを使用したものだ。

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この特に希少なプロセッコの生産される畑のあるカルティッェ地区とは、海抜約300m以上にあるS.Pietro di Barbozza(サン・ピエトロ・ディ・バルボッツァ)、S.Stefano(サント・ステーファノ)、Saccol(サッコル)という集落からなり、土壌としては、モレーンと呼ばれる氷堆石からなり、砂岩と粘土質であることが特質。水はけはよく、それでいて、適度に土中に水分を保つ、土地ならではの自然の恩恵によるものだ。そして、ちょうど盆地のように斜面に取り囲まれているため、全面が常に日当たりがよく、そして風通しがよいため湿度を溜め込まない。

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この特殊な一部地域の面積は、およそ106haほど。それをなんと、140もの異なる所有者が保有し、そこでとれるブドウからつくるプロセッコを生産する製造者は50とされている。小さな地区のなかに、貴重な価値を持つものだからこそ、皆が競ってカルティッツェの名を入れるプロセッコ造りに励む。

実は、この地区を一望のできる場所がある。

以前はここで、主のいないオステリアとしてなかなか粋な店があったのだが、人気が出たために実はイロイロとあり…今は自動販売機など設置され、カルティッツェのプロセッコを購入して、この景色を眺めながらこのワインを飲む、なんていうオツな体験なんかもできる。

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マロスティカ :: 2016/02/20(Sat)

ヴィツェンツァ県の北部の町、マロスティカ。人口約14000人弱の背後にアジアーゴを控えた丘陵地帯の麓にある小さな町だ。

この町を有名にしているのは、春先に採れる美味しいさくらんぼ。産地呼称であるIGPの認証も受けている。そして、2年に一度開かれる人間チェスのイベント。町の中心にある広場は、それがチェスの碁盤になっているのが町を象徴するシンボルであり、偶数年には、この広場がそのままイベントの舞台となり、中世の衣装をつけた役者たちによる大掛かりなチェス大会となる。

その広場の名も、スカッキ広場(Piazza degli scacchi)。その広場の前にそびえるお城が、カステッロ・インフェリオーレ(Castello inferiore)。

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広場の片隅には、チェスの駒がおいてあり、「市民も観光客も自由に遊んでくださいね」と、されているのも微笑ましい。

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さて、この城、インフェリオーレ(下の)というくらいなので、それに対する上にあるカステッロがもちろんある。

広場から街を見下ろすようにある小高い小山の上にそれがある。車でももちろんいけるのだが、街の真ん中からその山の頂上にそびえ立つ城まで歩いていくことができる。

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ちょっとした山登り…

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けっこうな急な山道のようであるが、時折見下ろす街の景観がだんだんと遠くなってきて、ついさっきまで居た下の城とその前のスカッキ広場の全容が見えてくるようになる。なかなかといい景色だ。

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がんばって、上まで到達。カステッロ・スーペリオーレ(Castello superiore)。現在は一部がレストランになっている。

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一部はまだ昔の城の壁が残っていて、街を遠くまで一望でき、大きく広がる平原と、遠くに見える山岳地帯の全景が見渡せる。

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そして、この高い場所にある城を頂きとして街を囲むように急勾配に造られた城の壁。

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小さくて静かな街だが、なかなかと趣のあるいい風景の街、マロスティカ。

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