パドヴァのとっておき。

北イタリア・ヴェネト州パドヴァより、料理や季節のおいしい情報を中心に、日々のできごとを綴ります。



バドエーレ産アスパラIGP :: 2018/05/11(Fri)

ラディッキオでお世話になっている農家は、冬野菜が終了すると、今度は春の名産であるアスパラの収穫で忙しくなる。

ヴェネト州でも最も有名なバッサーノ産のアスパラは白のみだが、トレヴィーゾ県下であるバドエーレ産のものは、白と緑との両方ともが生産され、産地呼称であるIGPに2010年より認定されている。生産地区として認定されているのは、トレヴィーゾ、パソヴァ、ヴェネツィア県下の指定地域。

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アスパラの収穫は朝が早い。特に白アスパラに関しては、日の光が強くなる前に行う必要がある。
収穫方法はすでにバッサーノ産のものとほぼ同様、何列にもなった畝の黒ビニールを一列ずつ外し、土の上に穂先が出ているものをめがけて掘り起こす。

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通常、この畑つくりをするのが冬の終わりである2月の終わりごろ。今年は春先が低温で雨続きだったため、畑つくりがだいぶ遅れ、収穫のスタートのタイミングもずれて心配されたが、その後は気温がグンとあがり、アスパラもどんどんと成長する。

白アスパラは盛り上げた土の中で温度の変化を感じ土の中で伸びる。日光にあたらないので、色素が働かずに白いまま成長する。盛り上げた土表面に出たころには、長さが20㎝以上になっているので、そこでちょうど収穫時期。

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緑に比べて味はデリケート。生産や収穫にも手がかかることから、価格も当然のごとく緑のものに比べて高価となる。

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対し、緑のアスパラは、土の上にニョキニョキと伸びたものを収穫。
こちらは日光をいっぱいに浴びて、いわゆるアスパラらしい野生味あふれる香り豊かな美味しさ。個人的には緑派。

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ベッリア家では、毎朝7時から約10人がかりでアスパラ収穫を行う。まずは白アスパラから取り掛かり、緑アスパラまで、約3時間かけて朝の重労働。

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畑での作業を終えて…次は作業場へ移動。
おつかれさまです。



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モンタニャーナのプロシュット :: 2018/05/05(Sat)

ヴェネト州にはプロシュットの産地があり、産地呼称であるDOPに指定されている秀悦品がある。パルマやサンダニエーレに比べると、認知度は多少落ちる…が、品質は保証つきのブランド生ハムだ。

パドヴァ南部のモンタニャーナという町を中心とするのが、Prosciutto Veneto Berico Euganeo DOP (プロシュット・ヴェネト・ベリコ・エウガネオDOP)。この地域の丘陵地である、ベリコ丘陵地とエウガーネイ丘陵地にて熟成される生ハムをさす。

1996年にDOP認定を受けていおり、この地域内15自治体にて生産されるもの。認定マークはヴェネト州ならでは、サンマルコの象徴である翼のついた獅子マーク。最低12ヶ月の熟成期間を経て認定マークの刻印がされる。ただし、生産者によってその後の出荷時期は一定ではない。

最も大切な一番の原材料となる豚肉は、この地域および、同地域が位置するパダーナ平原にて飼育されたもの。DOPの認定を受けるには、豚肉のトレーサビリティも管理されているので、世界各所から集まる豚肉から製造されたものは、同認定マークをつけることは認められていない。

この日に訪れたのは、モンタニャーナの旧市街地のほど近くにある、BRIANZA社。もともとサラミ工場として創業されたものが、プロシュットに特化したのが2000年のこと。比較的大きな工場ではあるが、完全なファミリー企業で、ご夫婦の3人の息子さんも家系を継続すべく、参画している。

豚の原料は同社に入ってきた段階にて、すでに番号が刻印されており、養豚場や生まれなどを追って知ることができる。

全体に塩で覆われ冷蔵庫で約2週間。

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その後、熟成庫に入り、約1年間の長くゆっくりとした熟成が行われる。

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同社での出荷は12ヶ月の認定マークをおされてからさらに数ヶ月おき、16ヶ月からが出荷のタイミング。

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品質のチェック方法は馬のすね骨を尖らしたこのスティック。プロシュットの内部の状態を知る唯一の道具だ。これを骨の周囲5箇所に刺しては鼻で嗅ぎ…という原始的だが、最も正しい確認方法。

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多くの豚の足の吊りさがる熟成庫は圧巻で、庫の扉をあけたときの熟成香はたまらない。

同工房では、ヴェネト独自の太いサラミであるソプレッサ、パンチェッタ等々もつくられており、ひとつひとつが人の手により形がつくられ、そのあとは時間とこの土地の空気でゆっくりと熟成が進められる。

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一通り工房内を見学したあと、商品の試食タイム。塩味が適度で肉の旨みが甘くまで感じる肉製品たち。

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モンタニャーナの生ハムの年間生産量は100,000本という。有名なパルマのそれはその20倍ほどもあるのだそうだ。
もっと多くに知られてほしい、ヴェネトの逸品のひとつ。




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ゴリツィアのバラ「ローザ・ディ・ゴリツィア」 :: 2018/02/24(Sat)

数ヶ月前に訪れた、フリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州のゴリツィア地区にてひっそりと栽培されているラディッキオ、ローザ・ディ。・ゴリツィア。
前回は季節の始まりの頃に伺い、その畑に案内してもらったのだが、今回は、出荷をする作業現場を案内してもらう。

生産者の数も少なく、また、非常に長い期間をかけて生育させていくこの野菜は、非常に高価なもの。
ラディッキオの他品種では、それらのほとんどが畑に苗を植えていくのに対し、彼らのそれは、種蒔きからその作業が始まる。苗植え作業よりも3ヶ月ほど前倒しで作業が始まるのだ。

畑では、初夏にものすごい勢いで雑草が育つ。それらは刈ることなくそのまま放置。ラディッキオの畑なのか、雑草を生やし放題にした荒地なのか、区別がつかないほどなのだとか。
夏の終わる頃にそれらの雑草を刈り、ようやく地表に顔を出したラディッキオは日の目を見ることになる。それまでは、草に覆われていて、隠れていたから。

その時期までに、ラディッキオはとにかく土中深くに根をのばすことに一心となる。この地区の土壌は、砂利質なこともあり、根がぐぐっとまっすぐに下方に向けて根太く育っていく。これが、このラディッキオの命となる。

夏を終えて季節が移行するにつれてラディッキオは葉を何層にもつけ、巻きが整ってくる。まるで地表にはいつくばるみたいに畑に点在する感じ。

畑から収穫すると、光を遮った暗い作業場に運ばれる。ここで軟白が行われるのだ。

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軟白は、このラディッキオの場合、水に通すのではなく、おがくずと馬糞ともみとを混ぜたものを使用する。季節や気候の変化でこれらの割合も変えるのだそうだ。なんでもその昔は、馬糞のみだったのだそうだが、現在は衛生的な問題もあり100%は禁止されている。

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無造作にように並べられたそれらは、暗闇のなかで美しい真紅〜濃い紫色に輝いている。葉のつくりもしっかりとしていて、触ってみた感触も力強さを感じる。

寒さのなかでも耐え抜き、美しく剛健でありながら可憐。なんとも不思議な野菜…いや、野菜であるのか、と疑いたくなる代物。

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生産者のアンドレア氏が自宅内に案内してくれた。自分の生産物を食べさせたいから、と。

農家の雑然とした造りの家に入ると、一室に私たちを迎えてくれるイキなしつらいが…。

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この個性ある野菜を中心に、テーブルがセットされる、というなんともこれもイキな計らい。

まずは、生でオイルとビネガーをかけて。肉厚の葉は噛んでしっかりと歯ごたえがあり、甘みを感じる優しいが力強い生命の香り。

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冬季限定なものだけに、彼らはこれをいくつかの瓶詰め商品として販売していく方向だというので、それらを試食させてもらう。

甘酢漬けやオイル漬け。

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生のまま瓶詰めにしてざくろの絞り汁とともに低温加熱したもの。
細かく刻んでオイルと合わせて仕立てたクリームは、リゾットやパスタ、ブルスケッタの具材に、とそのまま利用もできる。

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それにしても、ほんとに美しい野菜。価格が高すぎて、どんなふうにこれらに還元していったらいいかな…とは思案中だが、イタリア国内・国外でも、一流の料理人たちにも注目度の高い希少な野菜。

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ゴリツィアのラディッキオ Rosa di Gorizia(ローザ・ディ・ゴリツィア) :: 2017/11/25(Sat)

自分の住むヴェネトの冬といったら、ラディッキオに尽きる。何種もあるラディッキオのなかで特に個性的であり、特別感のあるトレヴィーゾ産のラディッキオをおいかけて何年にもなるが、ここ数年気にかかっていたフリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州のゴリツィア産のラディッキオをようやく訪れることができた。

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それは、ローザ・ディ・ゴリツィアと呼ばれるもので、その名のごとく「ローザ(薔薇)」のような形状が特徴。色は本物の薔薇のように深い真紅、そしてその形も薔薇の蕾から花のような形状をしている。

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生産者もごく限られた農家のみがこの生産物を生産しており、その規模も非常に小さい。地元の人に聞いても、その存在自体はもちろん知ってはいるが、生産者を知る人は結構少ない。

それもそのはず、生産量が非常に少なく、そして野菜としては、野菜と思えないくらい高価な代物のため、なかなか地元の市場にさえ出回ることがない。生産者もそれをよく知っているからこそ、アルタ・クチーナを目指し、ターゲットもかなり絞り込んでいることにもある。

11月の中旬、冬野菜であるこのラディッキオはまだ出荷ができない状態。霜がしっかり降りるくらいの気温がぐっと下がらないと熟してこないから。

とはいえ、私の一番の興味の先でもある、畑に連れて行ってもらった。普段みているトレヴィーゾの農家とは違い、格段に畑が小さい。そして、土は石ころだらけ。鉄分が多いこの土地ならではで、硬い土壌だ。

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この土壌だからこそ、根がたくましく土中にしっかりと、太く伸びていく。

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夏前に種まきをし、畑は雑草が生えてもそのまま、そして夏の終わりごろにその雑草を刈り取り、その時期から太陽の光を浴びさせて成長を促す。

冬の訪れを感じ始め、気温が下がり始めると、この野菜の特徴である、葉がしっかりと巻き込んできて色がより深く鮮やかに変化してくる。

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畑から収穫後は、しばらく冷暗所に置かれてから出荷となるのだが、その作業は前述の通り、畑での完熟がまだ先のため、この時期にはまだ準備ができていない。

畑から掘り起こしてもらった、ローザ・ディ・ゴリツィア。小さな花のような葉の下に、たくましく伸びた茎が非常に印象的。

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この野菜自体、とても小さくできあがるもので、ひとつが30から50グラムくらいのものも出荷されるのだとか。そうなると、皿の上にそのもの丸ごとをデコレーションするように使うことになり、それらは星つきの有名レストランの有名シェフなどからも引き合いのあるほどの希少価値なものらしい。

この希少生産物はオイル漬けなどの商品にもなっている。もちろん、これらも結構な値段がつく。
しばらくしたら最終の生産工程を見に訪れる予定。

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希少価値な生産物を作る生産者はやっぱりもの凄い情熱家で、朝早く会ってお昼すぎに別れるまで、お互いに喋りっぱなしだった…




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フリウリのワインカンティーナ巡り :: 2017/10/19(Thu)

なんだか急にフリウリづいていて、約2週間にわたり、フリウリ・ヴェネツィア。ジュリア州のワインカンティーナの数々を巡ることとなった。1日2軒を連日回る。

今回のターゲットとされるのは、いわゆる《自然派ワイン》と呼ばれる名だたる生産者の面々。こんなにまとめて、それも有名どころを連日に渡り訪れることができることは、非常に有難いことで、このような機会を与えてくださった関係各位の皆様には大変に感謝をしている。

《自然派》と呼ばれる所以は、まずはブドウをつくる畑の管理上にて、農薬などの化学的な物質を一切使わず、自然の環境と共存していくこと。それは決して、そこにある環境に頼る、というわけではない。

そして、ブドウを収穫したら、瓶詰めまでの一切の作業もまた、化学的なものを使用せずにブドウ本来の力を使い、そしてその本来の味を出すこと。ここで、ブドウ自身の持つ、酵素や酵母の力を十分に発揮させるために、造り手の手による仕事がなされる。

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近年、この類のワインを《オレンジワイン》と呼ばれる傾向にあるが、それは、白ワインなのに、グラスに注がれたものがそれらしい色をしていないことから。
これは、ブドウ収穫後に通常ならばすぐに皮をはずして醸造に入る白ワインの製法とは異なり、皮をつけたまま発酵させる製法(マチェラツィオーネ)により、できあがりのワインに自ずと色がついてくることによるからだ。

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皮につけておく時間は数時間から数ヶ月まで、造り手の考え方によって様々。それぞれに考え方があり、それらに耳を傾け、その度ごとに納得。もちろんできあがったワインを飲みながらそのフィロソフィーを聞くのであるから、それらが一層、価値のあるものとなる。

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訪れた季節はちょうど収穫が終わり、この皮をつけて発酵している期間、もしくはそれも終了した頃の時期。今年は夏期には非常によい生育をしていたブドウたちだったが、9月初旬の収穫時期に続いた長雨の影響で苦労した、という話をあちらこちらで耳にした。

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また、このブドウ収穫時期も、各造り手により様々な考え方がある。同じ地域内でもそのタイミングが1ヶ月以上もずれる。

その後は別の容器(木樽またはステンレスタンク、またはテラコッタ製のアンフォラ)などに入れられて瓶詰めまで静かにゆっくりと熟成を進める。

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フリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州とは、その州内でも地質や気候、そして歴史が大いに異なる州。

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それぞれにそれぞれの個性を生かしたワイン造りがなされており、多種多彩にて本当に興味の尽きない場所だ。

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