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パドヴァのとっておき。

北イタリア・ヴェネト州パドヴァより、料理や季節のおいしい情報を中心に、日々のできごとを綴ります。



ブロッコリ・フィオラーロ :: 2019/11/04(Mon)

北イタリアに位置するヴェネト州は、冬ならではの生産物が特に特色あるものが揃う。寒い地域ならではの冬限定の倒産物だ。

そのひとつが、このブロッコロ・フィオラーロ(Bloccolo di Fioralo)。(昨年の様子は→こちら)ヴィツェンツァ県の西側に位置クレアッツォというする小さな地域。その丘陵地域のみにて生産される希少なブロッコリだ。
ここはパダーナ平原のなかにある地域。オフィスなどが集結する場所からほんの10分ほど車で丘陵地域を上る。標高約350メートル。この少しの差で気候が随分と変わるのを肌で感じる。

この地域にて昔から伝わるこのブロッコリ。一時は絶滅の危機にあったのを、この地域の小さな生産者数軒が10年ほど前より、再度息をふきかえすべく生産を再開させた。

ここで昨年知り合いになった若い生産者。アルベルトとエドワルド。アルベルトはもともとこの近くにぶどう畑を持ち、ワイナリーを所有している。ドゥレッロというこの地域の土着品種を瓶内2次発酵させる、いわゆるメトド・クラッシコのスプマンテをつくるこちらも希少な生産者だ。

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彼は、このクレアッツォの丘陵地に自宅を持ち、自宅周辺の土地を利用してブロッコリーの栽培を始めたのが、やじゃり約10年ほど前。始めは5000株から始めたものが、今年は17000株を育てるまでに成長している。17000株といっても、生産レベルからするとかなり少ない数字ではあるが、この地域内のほかの小さな生産者たちと協力しあい、この希少性生産物をもっと世に広めようとがんばる若い生産者だ。

毎年、この野菜の旬である1月には、町の集会所にてサグラ収穫祭)を企画しており、その規模も毎年確実に拡大している。その成長ぶりには、彼ら自身も驚いているくらいだ。

そんな彼らから、畑を見にこない?と誘われて出かけてきた。今年の苗植えは、昨年より少し遅めで8月下旬に始まり、9月半ばに全てが終了している。
畑はかなりよい状態で育っている。というのも、先週まで秋だというのに、半袖でも居られるほどの暖かさだったため。今週に入り、気温がグンと下がり、この季節らしい気候に移行しはじめたので、これからの冬らしい季節を控え、これからブロッコリーたちも、伸ばした葉を熟成させる時期に入る。

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この中心部分から芽を出し始め、小さな新しい葉が出てくる。

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一番始めの収穫は約1ヶ月後を予想している。
甘くて、捨てるところがひとつもない、見た目も少し変わったブロッコリ。今年のできも本当に楽しみ。

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こだわりのメルロー  Az. agr. Cà Olivassi :: 2019/06/20(Thu)

私のよく通うラディッキオの生産地の地区にて、小さなカンティーナがあるから見においで、と前々から誘われていた。ようやくお互いの都合が合い、訪問を。

ヴェネツィア県に属するノアーレの郊外、シーレ川をベースにする湧き水がこの土地の地中深くに巡らされている、きれいな水が豊富な地域。ここで小さな、約2haのみのブドウ畑を、それもほぼメルローのみにて持ち、それらを全てほぼ一人の手で醸造が行われている。ワインを作るのは、リーノ・トサット (Lino Tosatto) さんという、もともとこの土地で普通の農家として育った方。現在は普段は会社員として働き、ご自身の個人の時間はブドウ作り、ワイン作りに打ち込む。ブドウ畑の周囲には、彼の別の作物の畑、麦やトウモロコシの畑も広がる。

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ブドウ畑は自然に任せ、科学的な肥料などは一切排除している。現在、オーガニックの認定を取るための申請期間中だが、3年間の期間の後にはおそらく間違いなく認定マークが許可されるであろうはずだ。

整備された畑のメルローは、きれいに手入れされたグイヨー仕立て。葉も青々と元気に育ち、病気なども現在は見られる感じもなし。

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今はちょうど花がつくところ。

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収穫後は、カセットに並べ、45日間ほどの軽いアパッシメントが施される。その後、醸造作業に入り、アルコール発酵後は、50HLの木樽またはバリックにて30ヶ月、その後、瓶詰めして最低6ヶ月寝かせて商品となる。

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年間5000本ほどしか生産量がないので、全てが手作業。これから大きく生産量を伸ばしていくのか、というと現在はそのつもりもあまりないらしい。とにかくワイン作りが好きでその情熱が彼らを動かす原動力となっている。

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商品は2点のみ。「クアルテーゼ (qualtese)」はメルロー100% (IGP Veneto) 、「ラ・デチーマ (la decima) 」はメルロー95%、ラボーゾ5% (DOP Venezia) だ。

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このメルロー、非常に良い。深ーい真紅に適度な粘度。初めは甘い完熟したベリー系のフルーツの甘い香り、そしてだんだんと香りの要素が複雑になり、アルコールを感じる黒いベリー系の香りに。口に含むと口中に広がるふくよかさ、後にはほのかな程よい酸味も感じつつ、強すぎないタンニンもこれまた程よい。
時間を置いて飲んだらもっと変化が楽しめそうな、そして年月を経て寝かせておいたら、また面白い変化をしそうな良いメルローだ。

…と話しをしながら試飲をしながら畑を眺めていたらふと気づいた仕立ての違うブドウの木。少しばかりのリースリングだという。リーノさんの思惑は、今後少しずつ白ワインにも挑戦したい、らしい。

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このタイミングにて、「出しちゃおっかなー」といたずらしてる子供みたいな顔になったリーノさん。カンティーナの奥に入っていった彼の後に付いていったら、端っこにホコリにまみれた瓶の小さな山が。おもむろに一本をとりあげて開けてくれた。

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グラスに注がれたそれは、深い黄金色。粘度がしっかりしているので、糖度もアルコール度もそれなりのもの、と容易に想像できる。

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収穫後は24時間の皮とのコンタクトの後、皮を取り除き、カスとともに15日間のマチェラツィオーネが施され、その後さらにカスの大まかな取り除きも行って、4ヶ月。そしてアカシアのバリックにて18ヶ月。

金柑みたいな甘さと少し感じるほろ苦さ。熟成タイプのフォルマッジョに合わせたい。

なんでも、この床に転がっている2012年のものが数本しか在庫がないらしく、もったいなくて滅多なことがない限り、開けることはない代物なんだとか。私に気を使って言ってくれた分を差し引いても、嬉しい。

極少量生産の良品。いいワインだ。

最後に撮った写真は、造り手のリーノさん、そして彼を助けて、販売を担当するリッカルドさん。

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オリーブの花 :: 2019/06/15(Sat)

数年前から定期的に通っているフリウリのカンティーナは、ウーディネ郊外に位置する世界遺産の街、チヴィダーレ・デル・フリウーリにて、ワインオリーブオイルともにオーガニックの認定を受ける農家だ。
家族経営にて、約11haの自宅周辺のぶどう畑及びオリーブ畑、そして、近くの丘陵地帯に約2haのぶどう畑を持つ。

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整然と整ったぶどう畑は、非常に手入れが行き届いているのが見てわかる。それもぞのはず、年間を通してほんとに毎日の仕事は山のようにあるが、それをひとつひとつ丁寧にこなしているから。
私自身の興味もあり、頻繁に同農家には通い続けているなかで、お手伝いできることは積極的に参加している。おかげでいろいろなことを学ぶいい機会にもなっている。

今年は5月いっぱいまで低温で雨が続き、全体的に植物の成長が遅れている。野菜農家などは5月の種植え、苗植えの時期が雨続きであったこともあり、作業が非常に困難で遅れていることは、別農家からよく知ること。

このフリウリのカンティーナでも(もちろん彼らだけの問題ではないが)、今年は花がつくのかどうか…と非常に心配をしていたところ。

6月に入ったら、急激に夏がやってきて、ぶどうもオリーブも、グングンと成長をしている。オリーブは先週は蕾がついた状態だったのが…

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今週は一気に花が咲き、もうすでに終わりかけ。

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今年は実が少ないだろう…と予想していたが、花のつき具合からみると今年も結構な豊作な年になりそうだ。

ぶどうのほうも、もうすでにワッサワッサと葉がつき、ツルが伸びている。あっちこっちに伸び放題なツルを方向修正してあげたり、葉の密度を調整したりするのも大切な仕事。
実も花をつけはじめている。

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もうしばらくすると今年の収穫の予測もだんだんとたってくることだろう。

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今年は寒いアスパラのシーズン :: 2019/05/16(Thu)

5月半ばだというのに、雨続きで気温の上がらない日が続いている。春先に急に暖かくなったものだから、油断して暖かい衣類をクリーニングに既に出してしまったのを後悔する今日この頃。

この季節のヴェネトの食材といったら、アスパラがその筆頭。特に白アスパラに関しては、ヴェネトが最大の産地である。

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ことごとくトレヴィーゾ県に近いヴェネツィア県下にて、アスパラ生産者である農家を訪ねた。ここら辺のアスパラは、バドエーレIGPとして、産地呼称に指定されている地域でもある。DOPに認定されているバッサーノ産は最も有名だが、バッサーノ産のそれは白アスパラのみなのに対し、バドエーレ産には白も緑も両方ともIGPとして認定されている。

それぞれの良さはもちろん食す側の好みによるからなんとも言えないが、やはり特殊な白アスパラのほうが人気もあり、生産者側からみると高値がつくことから、白アスパラの生産のほうに力が入っている。

白アスパラは日光にあたると色がついてしまうため、春前に根にそって一列に土を持って畝をつくり、黒いビニールをかぶせてその中でアスパラを成長させる。ちょうど土の山に頭を出すくらいまで伸びたものを、収穫時期になると一本ずつ掘り起こす。

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なかなかの重労働で、もちろん早朝な作業なことと、畝のビニールをいちいち外してまた被せる。収穫には一本一本を人の手によって掘り起こされる、ということから、その分がもちろん価格に反映するのだが、土のなかで伸びるアスパラは繊細な味わいが特徴となり、それが特別感のある人気の理由のひとつでもある。

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とにかく、土のなかにいるアスパラは、日光に当たることはないのだから、土中にて感じるのはその気温の変化。気温がグンとあがるとアスパラもグンと伸びる。そして土は軽いもののほうがアスパラが上方にスッと伸びるのを手伝ってくれるので、乾いた砂地のほうがアスパラが育ちやすい。

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そんな条件が、今年は悪条件ばかり揃っているのだ。気温が上がらず、雨続きで土がいつも湿っている。

とはいえ、自然の力に半分以上頼るのが農産物であるゆえ、今年も例年よりも若干量が少なめだが、質のよい旨味のあるアスパラが毎朝収穫されている。

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でもこの美しい白色はやはり明るい光の下で見たいなぁ。





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ヴィツェンツァの希少なブロッコリー「ブロッコロ・フィオラーロ (Broccolo Fiolaro) 」 :: 2019/01/20(Sun)

ヴィツェンツァの西側にクレアッツォ(Creazzo)という地区がある。平野から少し小高い丘陵地帯にて栽培される特殊なブロッコリがある。
フォラーロと呼ばれる所以は、その特徴ある生産物の姿から。

地面に沿うようにして成長する主株から、細い子株がいくつも出る。これをフィオーイ(fioi)、つまりはヴェネト弁でフィリオ(figlio=子供)のことをいう。細く数多く成長する
細長い葉が食用部分になるのだが、これがこのブロッコリーの個性。その特徴から名前がついている。

生育場所は、標高150-250mくらいの丘陵地帯のみが質のよいブロッコリーのできる地区。平野から少しあがった場所にて、空気がより静澄である場所。南向きの日当たりのよい丘陵地が生育に関与する。土壌は砂まじりの泥質だが、ミネラル分に富む。

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この土地だからこそのこの環境にて仕上がるこのブロッコリーの美味しさの特徴である、クロッカンテ(コリッとした)で甘みが出てくる。

収穫の最盛期はその年の気候にもよるが、11月後半から1月いっぱいくらいまで。土地に霜がおりるらいのしっかりと低温を感じることで、葉の緑がさらに濃く、表面がまるでキラキラと輝くように、そしてシャキッとした最高のものとなる。
野菜はその適正な環境におかれて成長すると、見た目もより美しく、そして味はそれに比例するかのように、その野菜らしさが一層増すものだ。

収穫は、専用の大きなハサミで茎をザクッと切り、作業場にて、細い子株を切り揃える。

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この日に訪れた農家は、27歳の若いアルベルトが中心となり、その友人のエドワードとでこのブロッコリの生産および販売を数年前から本格的に始めた農家だ。

本格的に…というのも、この野菜自体はこの土地に古くから存在していたもの。小さな農家の畑の片隅で自宅用に栽培されていたくらいのもので、農家の数が減少していくのと同時に、この貴重な農産物もどんどんと作付け面積が減少していった。
それをこの二人の若者が、再度復活させようと着手したもの。500株の栽培を始めたのが2014年のこと。5年後の現在は、それが17000株の栽培にまで増えている。
なんでもこの地区にて、このブロッコリーを栽培する農家はたったの約10軒ほど。こういう若者が先頭にたって、地元野菜を盛り上げていくのは、とても素敵なことだ。

彼らの売り先は、直接レストランなどへの販売が主なもの。野菜の特徴をよく理解し、好んで使ってくれる料理店などが主な消費元だ。

アルベルトの家はもともとの農家であるので、祖父母も含めての農作業。すごい元気なおばあちゃんがはりきって作業現場を見せてくれる。

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そして、家の中に案内されたら彼のお母さんがちょうどブロッコリーを茹でているところだった。旬の一番美味しい時期のものを茹でておいて冷凍にして保存するため。

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大きな鍋に塩を加えて沸騰したところにブロッコリを投入。茹ですぎには注意といわれ、再沸騰したところで湯からひきあげる。

子株の根元に近い芯の部分。ここが柔らかくて甘くて一番美味しいところ。

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それを細かく刻んでオイルをかけて試食させてくれた。

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甘みが口の中にわーっと広がって、ブロッコリーらしい青っぽさと茎のクロッカンテさとが非常によい。
茹でたものをペストにしてパスタと和えるなどしても美味しいのだとか。

またの再会を約束して、夕暮れが一望できるお宅を後にした。
素敵な出会いに感謝。




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