FC2ブログ

パドヴァのとっておき。

北イタリア・ヴェネト州パドヴァより、料理や季節のおいしい情報を中心に、日々のできごとを綴ります。



こだわりのメルロー  Az. agr. Cà Olivassi :: 2019/06/20(Thu)

私のよく通うラディッキオの生産地の地区にて、小さなカンティーナがあるから見においで、と前々から誘われていた。ようやくお互いの都合が合い、訪問を。

ヴェネツィア県に属するノアーレの郊外、シーレ川をベースにする湧き水がこの土地の地中深くに巡らされている、きれいな水が豊富な地域。ここで小さな、約2haのみのブドウ畑を、それもほぼメルローのみにて持ち、それらを全てほぼ一人の手で醸造が行われている。ワインを作るのは、リーノ・トサット (Lino Tosatto) さんという、もともとこの土地で普通の農家として育った方。現在は普段は会社員として働き、ご自身の個人の時間はブドウ作り、ワイン作りに打ち込む。ブドウ畑の周囲には、彼の別の作物の畑、麦やトウモロコシの畑も広がる。

IMG_2983_convert_20190616013608.jpg

ブドウ畑は自然に任せ、科学的な肥料などは一切排除している。現在、オーガニックの認定を取るための申請期間中だが、3年間の期間の後にはおそらく間違いなく認定マークが許可されるであろうはずだ。

整備された畑のメルローは、きれいに手入れされたグイヨー仕立て。葉も青々と元気に育ち、病気なども現在は見られる感じもなし。

IMG_2978_convert_20190616013453.jpg

今はちょうど花がつくところ。

IMG_2979_convert_20190616013528.jpg

収穫後は、カセットに並べ、45日間ほどの軽いアパッシメントが施される。その後、醸造作業に入り、アルコール発酵後は、50HLの木樽またはバリックにて30ヶ月、その後、瓶詰めして最低6ヶ月寝かせて商品となる。

IMG_2962_convert_20190616012953.jpg

年間5000本ほどしか生産量がないので、全てが手作業。これから大きく生産量を伸ばしていくのか、というと現在はそのつもりもあまりないらしい。とにかくワイン作りが好きでその情熱が彼らを動かす原動力となっている。

IMG_2963_convert_20190616013015.jpg

商品は2点のみ。「クアルテーゼ (qualtese)」はメルロー100% (IGP Veneto) 、「ラ・デチーマ (la decima) 」はメルロー95%、ラボーゾ5% (DOP Venezia) だ。

IMG_2960_convert_20190616012923.jpg

このメルロー、非常に良い。深ーい真紅に適度な粘度。初めは甘い完熟したベリー系のフルーツの甘い香り、そしてだんだんと香りの要素が複雑になり、アルコールを感じる黒いベリー系の香りに。口に含むと口中に広がるふくよかさ、後にはほのかな程よい酸味も感じつつ、強すぎないタンニンもこれまた程よい。
時間を置いて飲んだらもっと変化が楽しめそうな、そして年月を経て寝かせておいたら、また面白い変化をしそうな良いメルローだ。

…と話しをしながら試飲をしながら畑を眺めていたらふと気づいた仕立ての違うブドウの木。少しばかりのリースリングだという。リーノさんの思惑は、今後少しずつ白ワインにも挑戦したい、らしい。

IMG_2977_convert_20190616013416.jpg

このタイミングにて、「出しちゃおっかなー」といたずらしてる子供みたいな顔になったリーノさん。カンティーナの奥に入っていった彼の後に付いていったら、端っこにホコリにまみれた瓶の小さな山が。おもむろに一本をとりあげて開けてくれた。

IMG_2971_convert_20190616013333.jpg

グラスに注がれたそれは、深い黄金色。粘度がしっかりしているので、糖度もアルコール度もそれなりのもの、と容易に想像できる。

IMG_2969_convert_20190616013307.jpg

収穫後は24時間の皮とのコンタクトの後、皮を取り除き、カスとともに15日間のマチェラツィオーネが施され、その後さらにカスの大まかな取り除きも行って、4ヶ月。そしてアカシアのバリックにて18ヶ月。

金柑みたいな甘さと少し感じるほろ苦さ。熟成タイプのフォルマッジョに合わせたい。

なんでも、この床に転がっている2012年のものが数本しか在庫がないらしく、もったいなくて滅多なことがない限り、開けることはない代物なんだとか。私に気を使って言ってくれた分を差し引いても、嬉しい。

極少量生産の良品。いいワインだ。

最後に撮った写真は、造り手のリーノさん、そして彼を助けて、販売を担当するリッカルドさん。

IMG_2974_convert_20190616013352.jpg





テーマ:イタリア - ジャンル:海外情報

  1. Produttore/生産者
  2. | trackback:0
  3. | comment:0
オリーブの花 :: 2019/06/15(Sat)

数年前から定期的に通っているフリウリのカンティーナは、ウーディネ郊外に位置する世界遺産の街、チヴィダーレ・デル・フリウーリにて、ワインオリーブオイルともにオーガニックの認定を受ける農家だ。
家族経営にて、約11haの自宅周辺のぶどう畑及びオリーブ畑、そして、近くの丘陵地帯に約2haのぶどう畑を持つ。

IMG_2883_convert_20190615143242.jpg

整然と整ったぶどう畑は、非常に手入れが行き届いているのが見てわかる。それもぞのはず、年間を通してほんとに毎日の仕事は山のようにあるが、それをひとつひとつ丁寧にこなしているから。
私自身の興味もあり、頻繁に同農家には通い続けているなかで、お手伝いできることは積極的に参加している。おかげでいろいろなことを学ぶいい機会にもなっている。

今年は5月いっぱいまで低温で雨が続き、全体的に植物の成長が遅れている。野菜農家などは5月の種植え、苗植えの時期が雨続きであったこともあり、作業が非常に困難で遅れていることは、別農家からよく知ること。

このフリウリのカンティーナでも(もちろん彼らだけの問題ではないが)、今年は花がつくのかどうか…と非常に心配をしていたところ。

6月に入ったら、急激に夏がやってきて、ぶどうもオリーブも、グングンと成長をしている。オリーブは先週は蕾がついた状態だったのが…

IMG_2808_convert_20190615143204.jpg

今週は一気に花が咲き、もうすでに終わりかけ。

IMG_2942_convert_20190615143406.jpg

今年は実が少ないだろう…と予想していたが、花のつき具合からみると今年も結構な豊作な年になりそうだ。

ぶどうのほうも、もうすでにワッサワッサと葉がつき、ツルが伸びている。あっちこっちに伸び放題なツルを方向修正してあげたり、葉の密度を調整したりするのも大切な仕事。
実も花をつけはじめている。

IMG_2804-2_convert_20190615142919.jpg

もうしばらくすると今年の収穫の予測もだんだんとたってくることだろう。

IMG_2805_convert_20190615143134.jpg




テーマ:イタリア - ジャンル:海外情報

  1. Produttore/生産者
  2. | trackback:0
  3. | comment:0
今年は寒いアスパラのシーズン :: 2019/05/16(Thu)

5月半ばだというのに、雨続きで気温の上がらない日が続いている。春先に急に暖かくなったものだから、油断して暖かい衣類をクリーニングに既に出してしまったのを後悔する今日この頃。

この季節のヴェネトの食材といったら、アスパラがその筆頭。特に白アスパラに関しては、ヴェネトが最大の産地である。

DSC_0032_convert_20190516020412.jpg

ことごとくトレヴィーゾ県に近いヴェネツィア県下にて、アスパラ生産者である農家を訪ねた。ここら辺のアスパラは、バドエーレIGPとして、産地呼称に指定されている地域でもある。DOPに認定されているバッサーノ産は最も有名だが、バッサーノ産のそれは白アスパラのみなのに対し、バドエーレ産には白も緑も両方ともIGPとして認定されている。

それぞれの良さはもちろん食す側の好みによるからなんとも言えないが、やはり特殊な白アスパラのほうが人気もあり、生産者側からみると高値がつくことから、白アスパラの生産のほうに力が入っている。

白アスパラは日光にあたると色がついてしまうため、春前に根にそって一列に土を持って畝をつくり、黒いビニールをかぶせてその中でアスパラを成長させる。ちょうど土の山に頭を出すくらいまで伸びたものを、収穫時期になると一本ずつ掘り起こす。

DSC_0092_convert_20190516020253.jpg

DSC_0073_convert_20190516020229.jpg

なかなかの重労働で、もちろん早朝な作業なことと、畝のビニールをいちいち外してまた被せる。収穫には一本一本を人の手によって掘り起こされる、ということから、その分がもちろん価格に反映するのだが、土のなかで伸びるアスパラは繊細な味わいが特徴となり、それが特別感のある人気の理由のひとつでもある。

DSC_0059_convert_20190516020045.jpg

とにかく、土のなかにいるアスパラは、日光に当たることはないのだから、土中にて感じるのはその気温の変化。気温がグンとあがるとアスパラもグンと伸びる。そして土は軽いもののほうがアスパラが上方にスッと伸びるのを手伝ってくれるので、乾いた砂地のほうがアスパラが育ちやすい。

IMG_2233_(1)_convert_20190516020327.jpg

そんな条件が、今年は悪条件ばかり揃っているのだ。気温が上がらず、雨続きで土がいつも湿っている。

とはいえ、自然の力に半分以上頼るのが農産物であるゆえ、今年も例年よりも若干量が少なめだが、質のよい旨味のあるアスパラが毎朝収穫されている。

DSC_0067_convert_20190516020204.jpg

でもこの美しい白色はやはり明るい光の下で見たいなぁ。





テーマ:イタリア - ジャンル:海外情報

  1. Produttore/生産者
  2. | trackback:0
  3. | comment:0
ヴィツェンツァの希少なブロッコリー「ブロッコロ・フィオラーロ (Broccolo Fiolaro) 」 :: 2019/01/20(Sun)

ヴィツェンツァの西側にクレアッツォ(Creazzo)という地区がある。平野から少し小高い丘陵地帯にて栽培される特殊なブロッコリがある。
フォラーロと呼ばれる所以は、その特徴ある生産物の姿から。

地面に沿うようにして成長する主株から、細い子株がいくつも出る。これをフィオーイ(fioi)、つまりはヴェネト弁でフィリオ(figlio=子供)のことをいう。細く数多く成長する
細長い葉が食用部分になるのだが、これがこのブロッコリーの個性。その特徴から名前がついている。

生育場所は、標高150-250mくらいの丘陵地帯のみが質のよいブロッコリーのできる地区。平野から少しあがった場所にて、空気がより静澄である場所。南向きの日当たりのよい丘陵地が生育に関与する。土壌は砂まじりの泥質だが、ミネラル分に富む。

DSC_0027_convert_20190119235824.jpg

この土地だからこそのこの環境にて仕上がるこのブロッコリーの美味しさの特徴である、クロッカンテ(コリッとした)で甘みが出てくる。

収穫の最盛期はその年の気候にもよるが、11月後半から1月いっぱいくらいまで。土地に霜がおりるらいのしっかりと低温を感じることで、葉の緑がさらに濃く、表面がまるでキラキラと輝くように、そしてシャキッとした最高のものとなる。
野菜はその適正な環境におかれて成長すると、見た目もより美しく、そして味はそれに比例するかのように、その野菜らしさが一層増すものだ。

収穫は、専用の大きなハサミで茎をザクッと切り、作業場にて、細い子株を切り揃える。

DSC_0031_convert_20190119235841.jpg

DSC_0021_convert_20190119235727.jpg

DSC_0026_convert_20190119235802.jpg

DSC_0006_convert_20190120000423.jpg

この日に訪れた農家は、27歳の若いアルベルトが中心となり、その友人のエドワードとでこのブロッコリの生産および販売を数年前から本格的に始めた農家だ。

本格的に…というのも、この野菜自体はこの土地に古くから存在していたもの。小さな農家の畑の片隅で自宅用に栽培されていたくらいのもので、農家の数が減少していくのと同時に、この貴重な農産物もどんどんと作付け面積が減少していった。
それをこの二人の若者が、再度復活させようと着手したもの。500株の栽培を始めたのが2014年のこと。5年後の現在は、それが17000株の栽培にまで増えている。
なんでもこの地区にて、このブロッコリーを栽培する農家はたったの約10軒ほど。こういう若者が先頭にたって、地元野菜を盛り上げていくのは、とても素敵なことだ。

彼らの売り先は、直接レストランなどへの販売が主なもの。野菜の特徴をよく理解し、好んで使ってくれる料理店などが主な消費元だ。

アルベルトの家はもともとの農家であるので、祖父母も含めての農作業。すごい元気なおばあちゃんがはりきって作業現場を見せてくれる。

DSC_0003_convert_20190119234947.jpg

そして、家の中に案内されたら彼のお母さんがちょうどブロッコリーを茹でているところだった。旬の一番美味しい時期のものを茹でておいて冷凍にして保存するため。

DSC_0038_convert_20190119235930.jpg

大きな鍋に塩を加えて沸騰したところにブロッコリを投入。茹ですぎには注意といわれ、再沸騰したところで湯からひきあげる。

子株の根元に近い芯の部分。ここが柔らかくて甘くて一番美味しいところ。

DSC_0036_convert_20190119235906_20190120000550ff8.jpg

それを細かく刻んでオイルをかけて試食させてくれた。

DSC_0041_convert_20190119235944_201901200005523cb.jpg

甘みが口の中にわーっと広がって、ブロッコリーらしい青っぽさと茎のクロッカンテさとが非常によい。
茹でたものをペストにしてパスタと和えるなどしても美味しいのだとか。

またの再会を約束して、夕暮れが一望できるお宅を後にした。
素敵な出会いに感謝。




テーマ:イタリア - ジャンル:海外情報

  1. Produttore/生産者
  2. | trackback:0
  3. | comment:0
モンテ・グラッパのチーズ、モルラッコ :: 2019/01/10(Thu)

ヴェネト州、ヴィツェンツァ県の北東から始まる山脈のうちのひとつ、モンテ・グラッパ。西側をアジアーゴ高原とつながり、ここは、第一次世界大戦の際に戦場になった場所として、厳しい冬場をここで乗り越えた山岳隊について語られることが多い場所でもある。

DSC_0024_convert_20190110202340.jpg

この山で、希少なチーズを生産するマルガがある。「マルガ・ガスパリン(Malga Gasparin)」。標高約1300mに位置し、春先以降は彼らの所有する乳牛が放牧され、毎朝早くからチーズの生産が行われる。冬場には、生産回数はグンと減り、主な製品は熟成タイプのものとなる。

DSC_0025_convert_20190110202608.jpg

DSC_0023_convert_20190110202318.jpg

その代表となるのが、「モルラッコ(Morlacco)」。地元の人には「モルラック(Morlach)」と呼ばれる。このチーズの起源としては、パストーリ(牛飼い)がもともとバルカン半島のモルラッキアから移動してきた民族であったこと。彼らがこの地で特有のチーズを作り始めたこと、からくる。

そして、このチーズはスローフードに指定されているものでもある。モルラッコと呼んでいるチーズには、一般的には数種の乳牛の乳を使用するのだが、このなかでも特別に扱われるのが、「ブルリーネ(Burline)」と呼ばれる品種のみから絞られる乳を使うもの。「モルラッコ・デッラ・ブルリーナ(Morlacco della Brurila)」とされるのが、この特別品だ。

DSC_0021_convert_20190110202248.jpg

DSC_0011_convert_20190110200425.jpg

写真は、ブルリーナ種のみでつくられたチーズ。モルラッコはこの日、同行人が購入したものが最後のひとかけで、写真をとれず終いだが…

このマルガでは、2人の兄弟が中心となり、チーズの生産を行っているが、このブルリナ種を約50頭飼育する。この牛を所有するマルガというのは、非常に数少ないうちのひとつという。品種が少なくなってきている理由としては、乳の量が少ないことから。

他には、この土地特産の、「バスタルド(Bastard)」やら、リコッタ、燻製のリコッタ、そしてサラミなどを販売している。

DSC_0009_convert_20190110200339.jpg

DSC_0010_convert_20190110200407.jpg

DSC_0013_convert_20190110200441.jpg

DSC_0015_convert_20190110200455.jpg

小さな小さなマルガで、夏場は見渡す限りの草原で牛が放され、さぞかしいい風景だろうと想像するが、冬はここは非常に寒さの厳しい場所。積雪もあるし、氷点下に下がることもしばしばなので、路面は凍結している。

夏のいい時期に必ずまた来たい!



テーマ:イタリア - ジャンル:海外情報

  1. Produttore/生産者
  2. | trackback:0
  3. | comment:0
次のページ