パドヴァのとっておき。

北イタリア・ヴェネト州パドヴァより、料理や季節のおいしい情報を中心に、日々のできごとを綴ります。



ヴェネトの冬と、ラディッキオ・ディ・トレヴィーゾ :: 2016/11/27(Sun)

ヴェネト州の冬、というと、どこの八百屋でもこの時期山積みになる野菜、ラディッキオ。

ヴェネト州の各地に産地があり、産地ごとに種類が変わる。そのなかでも特に特徴的なのが、トレヴィーゾ産のもの。トレヴィーゾ産のなかでも、早生種のプレコーチェと晩生種のタルディーヴォというものに分かれる。

↓これが、プレコーチュ種。

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↓そして、これがタルディーヴォ種。

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おまけに、こんなものもある。これはヴァリエガート種といって、いわゆる、変形種。トレヴィーゾの隣町、カステルフランコという場所がオリジナル。

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その個性といったら見た目の色の鮮やかさ。白と紫赤色の鮮やかな色のコントラストは、他のどんな野菜とも一線を画するもの。

トレヴィーゾ県周辺には、このラディッキオの農家が4000軒もあるというが、そのなかでも品質を保証するI.G.P.という、原産地呼称認定マークのついたものを生産するのは、4-5%ほど。その認定マークには、品質の確かさ、が保証されている。

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そのため、このマークをつけるためには、厳しく規定された生産方法を一貫して守らなければならない、という義務を背負うものでもある。

だから故、少数の農家の生産するこのラディッキオが認定マークのつかないものと比べたらやや高価ではあるが、見た目からその違いが分かり、もちろん食べてみると更に違いを改めて実感することになる。

ラディッキオの、それも、晩生種のタルディーヴォ種の生産工程は非常に特徴的。

まずは、畑からの収穫。寒い時期の作業だが、ものすごい太い茎との格闘にて、真冬でも汗をかくほどの仕事となる。

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その収穫した株は、それがすぐに出荷できるか、というとそうではない。まずは、これを一度外葉をおおまかに取り除き、一株一株をカセットに詰め、それを水にさらす。この水は、この土地の地下水を常に流しているものに限る。

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そして、日光から遮り、2週間から20日間ほど静置。この間に、水に浸かった根がどんどんと水を吸い上げ、そして、葉の芯の部分は真っ白に、葉の周囲は赤く…と特有の色を有してくる。

それを別の作業場へ移し、今度はさらに外葉を取り除く。この際には思いっきり葉をはがすと、その中心に鮮やかなあの色合いが見えてくる。

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この中心部のみを残し、茎を掃除し、水洗いしてようやく出荷用の箱詰めへ。

こんなに人の手間のかかる野菜など、他にはないだろう。おまけに、畑で成長したものを収穫し、出荷できるのは、一茎のうちの30-40%ほど。
手間と時間をかけてできあがる、貴重な産物だ。

この野菜の食べ方は、一番シンプルで美味しいのが、縦に割ってそのままグリルにしたもの。そして、リゾットやパスタなど。マリネしたり、ラザニアなどにしても美味しいし、フリットにしても。もちろん生でサラダも最高にうまい。

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生でも焼いても、揚げても…とかなりの万能選手だ。

私は数年前に知り合ったこのラディッキオ農家に大変お世話になっていて、足繁くこの作業の場所に通っている。そして、長く想いを持っていたこの野菜の日本への輸出を数年前より行っている。

少しでもたくさんの方に、この野菜の、そして本物の美味しさを味わってほしい、という思いを持ちながら、今年の冬もスタート。

市場に行くと、ラディッキオが冬の景色に華を添えているかのよう。ラディッキオの別名、フィオーレ・ディンヴェルノ(冬の花)とは、うまく言ったものだ、と納得。

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インサラータ・ディ・マーレ(海の幸のミックスサラダ) :: 2016/08/19(Fri)

ヴェネツィア料理の前菜として、定番の茹でた(火を通した)魚介を合わせた冷たい前菜、インサラータ・ディ・マーレ(Insalata di mare)。イタリア語で"海"を表す"マーレ(mare)"のサラダ、だから、"海の幸のサラダ"だ。いわゆる、魚介のミックスサラダ。

見た目には、茹でた魚介をミックスして…というようなシンプル料理だが、これを美味しくするには、やはり一手間をかける必要あり。

まずは、材料。エビとイカ(ヤリイカ、甲イカ)、アサリとムール、そしてアンコウの尾の部分であるコーダ・ディ・ロスポ等々…。

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これらをそれぞれ別々に茹でる。茹で時間などがそれぞれに異なるし風味も違うので、丁寧にそれぞれに火を入れていく必要がある。

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まずは、アサリとムール貝。これらは一緒に鍋に軽くニンンクを加えて炒め、蓋をして殻を開かせる。開いたらそのまま冷まし、殻と身は別にしておく。

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エビはレモンなどを加えて殻ごと茹でて、やはりそのまま冷まし、殻をはずして…

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イカも皮をきれいに掃除をし、これもレモンを加えて茹でる。冷めたらヤリイカは輪っかになるように切り、甲イカはそれに大きさを合わせるように。

アンコウも茹でて丁寧に骨を取り除き、一口大に切る。アンコウのように身がしっかりと繊維のある肉質の白身魚がこの場合には適当。

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そして…ヴェネツィア料理の魚の前菜には欠かせないもの。甲イカの卵巣。

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ヴェネツィアの魚屋さんでは、定番のもの。これは、牛乳を表す"ラッテ"と呼ばれている。それが白いものだからなのだろう、と思う。同じように呼び名として親しまれているのが、"ウォーヴァ・ディ・セッピア(Uova di seppia)"。いわゆる、"甲イカの卵"と呼ばれるのだが、実際には卵ではなくて、卵巣。これらも別に茹でておく。

こうして別々に火を入れていくのだが、もちろんそれぞれを単独でオイルやパセリ、レモンなどをふって食べるのも、もちろん美味しい。

魚介のサラダ、として数種を一緒にする場合にはこれらを全て合わせて、少しのニンニク、パセリ、オイル、塩、胡椒、レモン汁で味を整える。ここにセロリの細かく切ったものは必須。

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そして、赤・黄のピーマン。彩りと、味の決め手。大きめの一口大に切り、フライパンで炒めておき、これを冷ましたものも一緒に。

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しばらくこのままなじませておき…極上の逸品。

簡単、シンプル作業とはいえ、ひとつひとつの材料に合わせて美味しく仕上げたものを合わせていく。これで美味しさは何倍、いや何乗にもなる。

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夏場のアンティパストにはぴったり。ここに冷たーく冷やしたプロセッコなんかがあると、さらによし‼︎





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ローマで王道カルボナーラ :: 2016/08/12(Fri)

「カルボナーラ」というと、5歳か6歳だったか、小さな子供の頃をいつも思い出す。なんの本だったのか忘れたが、姉が持っていた本のおまけの冊子にカルボナーラの作り方が書いてあって、それを何だろう…と姉と試してつくってみたら、びっくりするほど美味しくて…それから、ナンチャッテ・カルボナーラを何度も作って食べた記憶がある。

そして、大きくなってパスタ料理の王道みたいな、カルボナーラをこの料理のオリジナルであるローマで食す…あの頃には想像のできなかったこと。

イタリアに来て、家庭のカルボナーラを食べた衝撃のひとつに。卵がボソボソ、というのがある。日本で知るソレは、生クリームなどを加えて濃厚に、卵トロトロに…という基準がインプットされていたため、初めてテーブルに出されたときは、大げさだけれど大げさでなく頭のなかに???マークが駆け巡ったもの。

それから10数年が経ち、我が家の日常の食卓にも登場するが、やっぱり仕上がりはボソボソ系にて。なんだかそれが美味しいと思うようにもなっている。

何度か他宅でも食する機会があったが、卵を全卵使う、卵黄だけ、もしくは全卵と卵黄を組み合わせて…などと、そのレシピは千差万別。それでもやはり、ここでも王道メニューとして君臨している。

さて…今回のローマ訪問の食事処の選択は、実はあまり予習していなかったので、とりあえず宿のご主人に尋ねて訪れたトラステベレのトラットリア。

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赤と白の格子のテーブルクロスのいかにも、な店内。

ここで頼んだザ・ローマ料理のひとつがカルボナーラ。

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ここのはとってもクリーミーでパンチェッタの風味も残る、シンプルだけど旨い。このクリーミー加減はやはりクリームを使っているのか?との疑問に、カメリエーレのシニョリーナ。ニヤリとした笑顔で「使っていないわよー。でも厨房に言って確認してくるわね。」と。やはり、クリームの使用はない、とのこと。

そしたらその後、店主が自信満々な顔でテーブルに登場。これぞ、”本物のカルボナーラ説”を力説しれくれた。

その内容はいろいろとあるが、最も重要な2大ポイントは、
⒈仕上がり時にパスタの茹で汁を加えること
⒉そして、火からはずしてマンテカート(素早くかき混ぜる)こと
とのこと。

もちろん、帰宅してからすぐに実行。私がつくるとやっぱり”家庭のカルボナーラ”になってしまったような感もあるが、それはそれでやっぱり美味しい。

カルボナーラ、王道なり。

そして、仕上げはこれまた王道ドルチェ、ティラミス。

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la Fraschetta
Via Francesco a Ripa 134, Roma
tel: 06 581 6012





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ビーゴリの定番 カモの煮込みソース Bigoli all’anatra :: 2016/07/31(Sun)

ビーゴリには、先述の通りに《イン・サルサ》という、玉ねぎとアンチョビの見た目は非常に素朴な美味しい定番がある。

そして、もう一つ。ビーゴリというと、必ず合わせるソースがもうひとつある。それが、アーナトラ(カモ)の煮込みソース。
いわゆる、カモのラグーなのだが、ヴェネトのそれは、トマトを使ったものでなく、イン・ビアンコ、つまり、トマトを使わずに作る白いラグー、というのが定番。

カモ自体が滋味ある味わい。似ているもので鶏を想像するが、鶏肉は白身肉なのに対し、鴨肉は赤身肉なので、似て非なるもの。

これを、ハーブやスパイスをたっぷりと使って煮込んでいく。

鴨肉は荒くミンチしたものに限る。とても大切。または、個人的には、包丁で粗く刻んだものがよい。

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玉ねぎとセロリ、ニンジンなどのソフリットに肉を加え、しっかりと焼き付けるようにした後、白ワインを加える。その後、肉または野菜のブロードを加えて煮込みに入る。その際に、ローズマリー、セージ、タイム等々のハーブの刻んだものをしっかりと加えて。

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仕上がりに近くなったところで、黒コショウ、ナツメグ、クローブ等々のハーブ類も。すべての相乗効果で旨味がさらに増し、極上のラグーに。

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合わせるのは、やはりビーゴリのようなしっかりと歯ごたえのあるパスタがよい。タリアテッレなどでも美味しいのだが、滋味深いこのラグーには、ビーゴリがやはり一番合う、と思う。

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ヴェネトにいらしたらぜひこの定番ビーゴリを。魚編と肉編とも、両方とも食していただきたい地元郷土料理だ。

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ビーゴリ・イン・サルサ Bigoli in salsa :: 2016/07/29(Fri)

ヴェネトの代表的パスタメニューの筆頭。ビーゴリという、太いスパゲティ状のパスタを使う料理。イン・サルサにて、ヴェネトでは玉ねぎとアンチョビを使ったソースを和えるのが、最たる基本だ。

肉を使わないのに意外にもどっしりとするこのパスタ料理は、肉を食べないヴィジーリア(クリスマス・イブ)や、カーニヴァルの終わる…つまり、肉食を控えるパスクア前の時期に振舞われる料理として知られている。

特にヴェネツィア色の強いこのメニュー、ヴェネツィアのマンマ、アダさんに彼女特製のビーゴリ・イン・サルサを披露してもらった。

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非常にシンプルな材料で作られるこの料理。まずは玉ねぎ。

今までにも何人かのマンマにこの料理を作ってもらったが、アダさんに至っては玉ねぎを包丁で切るのではなく、それをフードカッターで細かくしたものを使う。玉ねぎはこの状態で時間をかけてじっくりと火を入れてき、最終的には玉ねぎが溶けてしまうくらいまでトロトロに煮る。その際に舌触りのよいように、と始めからカッターで処理したものにてスタートするのがアダさん流。

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そして、とにかくすごい量の玉ねぎを使う。ヴェネツィア料理には、概して大量の玉ねぎを使うが、この料理もそれに追随。

もう一時間くらいかけて、ゆっくりゆっくり玉ねぎの旨味を引き出すように、と火を入れたところで、アンチョビをここへ投入。

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溶けてトロトロの玉ねぎにアンチョビを溶かし込むようにして加え、ソースが完成。

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あとは、茹でたビーゴリを"和える"のみ。通常にパスタ料理のように鍋の上で"あおる"ような作業は必要なく、このメニューの場合には、茹でた麺をしっかりと"混ぜる"。

しかも、美味しく食べる秘訣は、和えたものをすぐに食すのもいいけれど、これを一旦休ませて、しばらく置いて味が馴染んだところをいただく。

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熱々でも美味しいが、ぬるめくらいでいただいても、それも食べ頃。

ヴェネツィアでは7月の第3週の日曜にレデントーレのお祭りというヴェネツィア人にとっては非常に大切なお祭りがある。
祭りを迎える土曜日の夜にはレデントーレ教会を背景にサンマルコ湾に花火があがるのだが、地元の人々はバルカ(船)に食べ物を持ち込んで夏の夜を楽しむ風習がある。
このレデントーレの日には、ビーゴリ・イン・サルサなしでは終わらない、というヴェネツィア人には馴染みの深い一品でもある。





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