パドヴァのとっておき。

北イタリア・ヴェネト州パドヴァより、料理や季節のおいしい情報を中心に、日々のできごとを綴ります。



ラディッキオの季節到来 :: 2017/11/02(Thu)

またやってきた。寒い冬は好きでないけれど、寒い冬ならではの食材がヴェネトにはある。数年前から関わっているラディッキオ。今年もようやく本格始動。

ラディッキオは、チコリの仲間でその色と形が非常に特徴的。正式には、ラディッキオ・ディ・ロッソ・ディ・トレヴィーゾ(Radicchio Rosso di Treviso)といい、いわゆる、トレヴィーゾ産赤ラディッキオ。これは原産地呼称であるI.G.P. が冠される。この地区内でもこの生産物のなかで数種類のバリエーションがあり、まず9月中旬以降より I.G.P. がつくのは、早生種のプレコーチェ種、11月中旬以降より出荷される晩生種のタルディーヴォ種、そして変形種のヴァリエガート種というのが出回る。

今の時期に出荷が盛んになるのが、プレコーチェ種。

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私の通う生産者は、ヴェネツィア県下にあるベッリア家という農家。
数年前に知り合い、今は日本にも出荷をしているのだが、知り合った頃よりもいつもいつも進化を続ける前進的な農家だ。

畑には出荷待ちの野菜たちが収穫を待っているところ。

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作業場では、朝早くから忙しく出荷作業が続く。誰もが手を止めることもなく、次々と箱詰めまでの作業をこなす。

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ほろ苦い野菜、としてよく言われるのだが、そんなことはなく、適切な土、水、気候でつくられたものは、苦味が表面に感じることなど決してない。野菜の甘みの後ろにあるほんのりと感じる苦味のようなものがほどよく、他には決してない野菜なのだ。

個人的にはもう少し後に出てくるタルディーヴォ種が、自分にとっても特別なものとして、また、もちろん私だけではなくて、土地の人たちにとってもいろいろな意味で大切なものとして育まれている。
現在はまだ出荷できるまでには時期尚早。。。

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94歳で現役であるベッリア家のおじいちゃん、エッリア氏が庭先でハシリのタルディーヴォ種の仕事をしていた。

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タルディーヴォ種に関しては、収穫から出荷までが非常に特殊な手順を踏む。これはまた季節がきた時にでも…




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ピエモンテのヘーゼツナッツ《ノッチョーラ・トンダ・ジェンティーレI.G.P.》 :: 2017/10/26(Thu)

ノッチョーラ(ヘーゼツナッツ)の産地を訪問する機会に恵まれた。行った先は、産地呼称I.G.P.が冠されるピエモンテのランゲ地方、クーネオ県の近辺だ。

この地域で生産されるヘーゼツナッツは、トンダ・ジェンティーレ (Tonda Gentile) という品種で、I.G.P.に指定される品種もこの一種のみ、とされている。

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同種の特徴は、非常に硬い殻に覆われた身はぎっしりと密。全体の40-50%が身の重量とされている。

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この地でヘーゼルナッツの使用用途とすると、多く使われるのは、お菓子であるが、この地域の質の良さは世界一ともされ、その希少価値は誰もが認めるところだ。

この地でヘーゼツナッツの生産が盛んになったのは、19世紀に入ってからのこと。この植物とこの地域の気候との相性がよく、質のよいものが栽培されることなったのと、お菓子製造がこの時期に大きく発展・進展したこととが重なる。

ピエモンテの有名お菓子(チョコレート)メーカーなどの考案したヘーゼルナッツのクリームの入ったチョコレート《ジャンドゥイイオット》などの功績もかなりあるのだろう。

この生産地区に入ると、見渡す限りにヘーゼツナッツの木々。整然と並んだそれらの合間には、まだ植樹したばかりの若いものも多く見かけられる。

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WIFIも繋がらないような山々を登ったり下ったりしていくつの農家を回って、いろいろな話を伺う。土について、肥料について、剪定について、品種について…

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ちょうど収穫の終了したばかりの時期で、どこの農家の庭先にも、山に積まれたヘーゼルナッツが。

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作業場では、焙煎や殻剥き、選別、袋詰め…と黙々と作業が続いてもいる。今年は夏に雨が異常に少なかったことから、例年にないほど身が乾燥しているのだとか。殻をむいても剥ききれずに薄皮が残ってしまうのは、珍しい現象だともいう。

作業場内は、香ばしい香りでいっぱい。こんなにモリモリヘーゼツナッツを食べたことはない!というくらいの量を…まるで柿の種を食べるかのように…食べさせてもらい、何箇所かで食べているうちにやはりそれらにも質の違いなどが分かるように(なった気がする)。

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普段とはちょっと違う風景と、生産物をみて、なんだかまた興奮ぎみにヴェネトへ戻る。




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リーズィ・エ・ビーズィ(Risi e Bisi) :: 2017/06/04(Sun)

初夏のヴェネト料理のひとつがこの一皿。「リーズィ」はヴェネト弁で「リーゾ=米」、「ビーズィ」は同じく訛りが入った呼び方で「ピゼッリ=えんどう豆(グリンピース)」のことを指す。だから、この皿の日本語名は「米とえんどう豆」。つまりは、えんどう豆のリゾットのこと。

5月後半から6月初旬にかけては、ピゼッリの露地物が出回るようになる。もっと早い春先から、メルカートでは鞘付きの生ピゼッリが店頭に並ぶようにはなるが、これは南伊産。南伊産が悪いわけではないけれど、やはり採りたて新鮮な地元産の美味しさは格別。

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鞘をむいて生で食べたときのジューシー感が違う。だから地元産が出てくるとわんさかとそれを入手し、鞘をむいてビニール袋へ。一年間分を冷凍保存する。

旬の美味しさを味わうのに、最も代表的なメニュー、リーズィ・エ・ビーズィ。むいた鞘はブロードとして使用すると一皿の味わいの凝縮度が違うので、一部は玉ねぎやセロリ、ニンジンなどと一緒に水から煮出して。

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むいたピゼッリは玉ねぎと一緒に軽く炒めて、ブロードを加えしっかりと火を通す。基本的には、リゾットには、米を加える前には具材がしっかりと火の入った状態まで持っていくこと。

そして米を加え、表面にしっかりと火を入れ、ブロードを加えていく。表面がいつもブロードでひたひたの状態になるように常に気をつけ、水分が少なくなってきたら随時つぎ足す。

約15分ほどだろうか。お米に火が入ったところで火を止める。バターとおろしたグラーナを入れ、そこで一気にマンテカーレして仕上げ。

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ヴェネツィア風には「アッラ・オンダ」に。皿に盛ったときに米の表面が波(オンダ)をうつように仕上げるのが理想的。




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バドエーレ産アスパラガス I.G.P. :: 2017/05/04(Thu)

ヴェネトの春はアスパラのシーズンが真っ盛り。有名なものは、先日も触れた、バッサーノ産白アスパラDOP。だが、その他にもヴェネト州内にはアスパラの有名産地がいくつもある。

そのうちのひとつが、トレヴィーゾ県のバドエーレ・ディ・モルガーノ (Badoere di Morgano) を中心とした地区。「バドエーレ産アスパラガス (Asparago di Badoere I.G.P.)」の生産地区だ。この土地は、シーレとドーゼという2つの清流からなる土地。私の通うラディッキオの生産地を覆う地域でもある。

生産地呼称であるIGPに指定されているのは、トレヴィーゾ県(12コムーネ)、ヴェネツィア県(1コムーネ)、パドヴァ県(2コムーネ)にかかる地域。
ここでは、緑と白の両方のアスパラともブランドのついたアスパラとして出荷される。

私の通うラディッキオ農家、ベッリア家は、上記の生産地区のうちのヴェネツィア県のスコルツェという地区に位置する。アスパラ生産に関しては、ここ数年さらに力を入れて栽培しており、畑の面積も、特に白アスパラの栽培面積を増やしてこの季節は朝早くから大忙しで収穫作業が行われている。

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朝の畑の収穫が終えて作業場へ集められるアスパラは、洗浄がされ、太さを選別。そののち、1kgの束をつくる台の上で丁寧に束がつくられる。

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アスパラの命である穂先は扱いをデリケートに。見た目も重要視されるので、まっすぐで太さを均一にされたそれらがきれいに整然と並ぶようにされ、長さを測ってそこでカット。

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冷蔵庫を覗いたら、まるでお宝箱のように、美味しそうなアスパラがどっさり。

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ベッリア家のマンマ、ファビオラさんがアスパラ料理をお昼にご馳走してくれた。茹でたホワイトアスパラには、ホワイトアスパラのクリームをかけてダブル・ホワイトアスパラ料理にて。

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96歳のベッリア家の重鎮、エッリアさんも健在。家族に囲まれ、いつも悪戯されつつも、笑顔で元気に過ごしています。

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バッサーノのホワイトアスパラ :: 2017/05/01(Mon)

またこの季節が巡ってきた。
農産物の品質表示としてヨーロッパ基準となる、生産地呼称の最高値であるD.O.P.を冠することのできる野菜というのは、イタリア国内でもそう多くはないのだが、アスパラのなかでは唯一それを冠しているのが、バッサーノ産白アスパラだ。

収穫時期は3月19日のサン・ジュセッペの日から6月13日のサンタントニオの日まで、という規定がある。もちろんその時期を外しても収穫・出荷はできるのだが、D.O.P.マークの規定はそう決められている。

毎年この時期になるとバッサーノ界隈によく出向くことになる。今年から、生産組合のリーダーとなったパオロさんと知り合うこととなり、彼の畑に足を何度か運んでいる。いつもだと、組合のリーダーはそれなりの年齢をされたおじさんが多いのだが、今回のリーダーは若い。いろいろと新たな取り組みを企画しているらしく、とても頼もしい感じだ。

畑の収穫は朝早い。なぜなら、太陽の光を浴びてしまうと、白いアスパラに色がついてしまうから。畑の畝には、一本ずつに黒いビニールシートが被せられており、収穫の度にシートをはずし、地表に頭を出したアスパラを掘り起こし、またシートをかぶせる。この作業が春先の3ヶ月間毎朝続く。

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アスパラは地中にて、温度を感じて成長する。暖かい時期ともなると、1日に15cmも伸びるのだそうだ。

収穫したものは、作業場に移されて太さなどを選別し、綺麗に掃除される。

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そうじされたものは、1kg用の筒にきれい並べて、柳の若い芽で縛る。イタリア語ではサーリチェというが、ヴェネト弁ではストロッパと呼ばれ、こちらのほうが通常語。

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そして長さを22cmに切り、一束が完成。

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この後、集積所に持ち込まれ、重さ、見た目の美しさなどの検査を受けてタグがつけられ市場に出回る。

この地でこのホワイトアスパラを有名にしているのは、この土地ならではの土壌から育まれたもの。この地域は、北部に位置するドロミーティを背景としたアルト・アディジェ州より流れこむ清流、ブレンタ川の恵みを受けた土地。ミネラル分を多く含み、川岸の土砂などの多い水はけのよい砂利地、そして山から吹き込む湿度を溜め込まない風通しのよさ、などの自然的な環境が影響している。まさしく自然の優位性を背景に、白アスパラ生産の最適地として存在するもの。

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もうしばらくは楽しめる代物。春先のヴェネトの味覚の代表選手。



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