パドヴァのとっておき。

北イタリア・ヴェネト州パドヴァより、料理や季節のおいしい情報を中心に、日々のできごとを綴ります。



レナート・ボスコの発酵ピッツァ :: 2016/12/28(Wed)

発酵ピッツァ、なんて言葉はおかしい。ピッツァは発酵させるものだから。

でも、ここで食べる、コレは、決してピッツァではない。かくしてパンでもない。フォカッチャとも違う。
発酵生地のスペチャリテ。今や研究者とも呼ばれている。

ヴェローナ県下の小さな町にある彼の店は「Saporè(サポレー)」。
平日の昼食なのに、最低2回転はする繁盛ぶり。それも、彼の織り出す発酵生地メニューをいただくため。客層もいい感じ。

IMG_7248_convert_20161228223700.jpg

たくさんあるメニューを端から読んでいたら、お勧めされたのが、各種タイプを少しずついただくデグスタツィオーネ。

友人と二人で出かけたため、これで即決にて具材やトッピングなどを決めて、しばらく待つと…

まずは一皿目。
「Mozzarella di Pane (モッツァレッラ・ディ・パーネ)」

IMG_7235_convert_20161228223538.jpg

新作。
モッツァレッラの水をパン(…と呼ぼう)の生地に使用し、焼いたのではなくて、蒸して仕上げる。
生地はふんわり柔らかく、そしてモチモチとした弾力。
トマトソースがさらりとのって、皿には数種のスプラウト。

そして、「Crunch (クランチ)」。

IMG_7238_convert_20161228223601.jpg

表面がカリッカリの鉄板焼きタイプ。これはパニーノ風に中に具材がはさんである。
この具材が、かぼちゃ、ヴェルゼ、ほうれん草と、リコッタ。カリカリの生地に野菜とリコッタの優しい甘い味がものすごくよく合う。
これは絶品。

3皿めが、これはもうびっくり。「Aria di Pane (アーリア・ディ・パーネ)」。

IMG_7240_convert_20161228223633.jpg

天然酵母を使用したもの。表現し難い食感。とろけるようなパルマ産生ハムとブッラータがこれまた絶妙。
完璧な生地のきめ細かさと、柔らかさ、弾力、かみごたえ…芸術的。

もう一皿注文しようかと悩んだ挙句、ドルチェを注文。

ストゥルーデルのビッキエーレ(グラス)スタイル。

IMG_7253_convert_20161228223742.jpg

と、ヨーグルト・グレーコ(ギリシャ式ヨーグルト)。はちみつとくるみ、アーモンドが添えてある。

IMG_7251_convert_20161228223720.jpg

カフェには美味しいこだわり、伝説のジャマイカ・カフェ。

IMG_7263_convert_20161228223853.jpg

そして、お家に連れて帰ってきた、パンドーロ。2016/2017年の年越しは、これに決定。

DSC_0028_convert_20161228223506.jpg


Saporè
Via Ponte 55/a
San Martino Buon Albergo (VR)
Tel. 045 8781791




テーマ:イタリア - ジャンル:海外情報

  1. リストランテ・食べ物屋
  2. | trackback:0
  3. | comment:0
アジアーゴのとっておきレストラン『La Tana (ラ・ターナ)』 :: 2016/12/09(Fri)

ヴェネト州のヴィツェンツァ県にあるアジアーゴ。アジアーゴ高原として、標高約1000m(平均)に位置し、アルトアディジェに隣接する土地。自然の広がる雄大な高原の風景が広がるこの地は、冬はスキー、夏は避暑地としてハイキングやサイクリングなど、リゾート地として知られている場所。

私の住むパドヴァからは高速道路を使えば、1時間ちょっとでアジアーゴの中心地まで到着することもあり、年間を通して個人的にも率先して出かけていく場所でもある。そして、何より、この土地のチーズ、『アジアーゴ』の本場でもあることから、好みのチーズ製造所の直売所などに、新鮮で美味しいチーズを買うためだけに、ドライブがてらに出かけることもある。

ここで、昨年よりミシュランの星を一つ獲得した評判の店があるとのことで、ある休日のお天気の良いランチをとるために出かけた。

DSC_0061_convert_20161209184507.jpg

アジアーゴらしい風景…なだらかな緑の草原が丘となって連なる中腹にたつ赤い建物。その名も『カーザ・ロッソ(赤い家)』。この名で通称され、親しまれている建物の一角が目指す店。

DSC_0005_convert_20161209184538.jpg

『ラ・ターナ(La Tana)』

入り口は写真で見える、正面(正面はバール、オステリアになっている)ではなくて、その横に続く隠されたようにあるドア。店に入るには、呼び鈴を押して中から開けてもらうシステム。中に入るガラスで覆われた店は、屋外の風景が一望できて、ぬけるような空間。

DSC_0058_convert_20161209184449.jpg

明るい木目を基調とした、清潔感ある素敵な空間だ。

メニューがサービスされて、どれにしようか、と吟味する。メニューには、大きく分けて2種類あり、地元の伝統料理をベースにした”テッリトーリオ(Territorio)” と、シェフのアイデアなどを存分に盛り込んだ“プロジェット(Progetto)”とに分かれている。

まずは、お通し。

DSC_0008_convert_20161209184123.jpg

酸味や甘み、旨み、そして食感の違いなどをいろいろな法でまとめた前菜。
店の周囲で採れる野草を煮出したお茶のようなものが添えられる。

そして、メニュー内、どれもこれもが興味深く、どれにしようか、と選んだのが…

リー・ド・ボーのローストに、テーブルにてチーズの製造時に出るホエーをさっとかける。優しい酸味が全体を引き締める。そしてその上にはさっくりと揚げたカーヴォロ・リッチを添えたもの。
味も食感もバランス非常によし。

DSC_0021_convert_20161209184230.jpg

リコッタの入ったフワッフワのニョッキ。ほうれん草を混ぜ込んで、セージの香りをつけたバターをかけ、ストラヴェッキオ(長期熟成の)アジアーゴを添えて。

DSC_0027_convert_20161209184249.jpg

こちらは、塩を効かせたメルルーサと柔らかく煮たトリッパの意外な組み合わせ。ジャガイモのピュレと野草のソース、トロペーアの赤タマネギの甘酸っぱいマリネを添えて…

DSC_0035_convert_20161209184305.jpg

皿の上で表現される野菜たちも、店の畑で採れたものをふんだんに使うところも面白い。

デザートには、全粒のポレンタを牛乳とハチミツで炊き上げた、生温かいものの下に薄く焼いたポレンタのカリカリと、冷たくて甘いバニラのジェラートが隠されている。

DSC_0046_convert_20161209184339.jpg

その名も『La mosa-Latte (ラ・モーザ・ラッテ)』。

見た目はシンプルだが、口の中でいろいろなものがミックスする美味しい驚き。とはいえ、ヴェネトの子供達は、おやつにこんな甘いポレンタを食べることを彷彿させる、いわゆる馴染みメニューの改訂版。
プレゼンテーションも、素朴な器で。面白い名前がついていたけれど、忘れてしまった…

そういえば、口直しにこんなものも。パッションフルーツのジェラートに、人参の皮ごとコンフィ。カルダモンの葉のピュレを添えてあるが、人参の上は、なんと味噌ソース。

DSC_0043_convert_20161209184321.jpg

仕上げのミニ・ドルチェにも余念なく、お腹いっぱいなのに、見事に完食。

DSC_0052_convert_20161209184358.jpg

メニューには、皿数にて何種類かに分かれるコースメニューの"メニュー・デグスタツィオーネ"もあり、その場合には、ソムリエおすすめの各料理とそれに合うワインの組み合わせを楽しむこともできる。これは非常にお得と思う。

そうそう、ワインの種類も数多く、料理とワインの美味しいおすすめを聞くのもまた楽しい。

DSC_0055_convert_20161209184422.jpg

とってもいい店です。

牛さん達も寒さのなか、栄養補給中。この時の気温、約1℃。

DSC_0063_convert_20161209184522.jpg

お疲れ様です。




テーマ:イタリア - ジャンル:海外情報

  1. リストランテ・食べ物屋
  2. | trackback:0
  3. | comment:0
切り売りピッツァ”ピッツァ・タリオ” BONCI(ボンチ)@Roma :: 2016/12/07(Wed)

昨今のイタリア・ピッツァ事情は動きが非常にあって、注目分野でもある。ピッツァはローマ式?それともナポリ式?という、好みの2分化に合わせて少々異なる視点で新たなピッツァ分野を広げているものが、通称「ピッツァ・タリオ(切り売りピッツァ)」と呼ばれるピッツァ。

文字の通り、店頭で切り売りするピッツァなのだが、ひと昔前(もちろん現在もその多くだが)の安い立ち食いピッツァというイメージからかけ離れるもの。

私の住むヴェネトには、その分野のピッツァにおいて、非常に著名な料理人(あえて、ピッツァ職人とは呼ばない)が点在している。そこでは素材や原料、発酵、そしてそれを食する空間を提案し、人気を博し、今やあちらこちらの取材やイベントなどでもひっぱりだこ。

そんな分野のなかに君臨する一店が、ここ、ローマのガブリエレ・ボンチ(Gabriele Bonci)の『Pizzarium(ピッツァリウム)』。

IMG_5848_convert_20161207190530.jpg

店は着席する場所はない。店頭に並ぶピッツァを注文し、紙製の皿に乗せられたそれを、店頭のテーブルで立ち食い、または持ち帰るシステム。

彼のこだわりとは、ピッツァはピッツァにして、ピッツァではならず。ピッツァを単なるピッツァとして見ずに、ひとつの料理とみなす。

IMG_5844_convert_20161207190339_20161207191548fba.jpg

だから、使う粉、酵母、そしてトッピング要素に関するすべての材料は、生産者の顔を知っているもの。ナチュラルさを売り物にした、切り売りピッツァなのだ。

その日のメニューは店内の黒板に。

IMG_5846_convert_20161207190414.jpg

試してみたのは、フリッジテッラをトッピングしたもので、トマトソースなしにて、生地の旨さがよく解る。

IMG_5829_convert_20161207185622_201612071915422c6.jpg

しっかりとして噛み応えありながらも、中はもっちりとして発酵がうまく進んでいる生地は、粉の風味もいきている。表面はしっかりと」したクロッカンテ。ピッツァというより、フォカッチャという感もある。お腹いっぱいの時に行ってしまって、ソースの乗ったタイプを食べなかったのが、大後悔ではあるけれど…

店内は、使用している粉の販売や、ピッツァにつきもののビールなどもある。ビールはもちろん、小さな生産者のこだわりのクラフトビールが数種並ぶ。

IMG_5843_convert_20161207190202_201612071915470e4.jpg

IMG_5834_convert_20161207190038_201612071915447bd.jpg

彼の著書も、もちろん。

IMG_5842_convert_20161207190125_2016120719154678a.jpg

ひとつの観光名所にもなってしまうほどの、人気店。時間によっては、店前にいっぱいの人だかりになることもある。

そんなこともあり、ガラスケースに並ぶピッツァの回転もよく、いつも焼きたての新鮮で美味しいものが食べられるのは、人気店ならではの利点ともなる。

IMG_5845_convert_20161207192711.jpg

ピッツァとしては決して手頃な価格帯ではないものだが、一度足を運ぶべし、ピッツァ店。

IMG_5850_convert_20161207192751.jpg

PIZZARIUM
Via Tronfale, 30 Rpma
06.39.731454




テーマ:イタリア - ジャンル:海外情報

  1. リストランテ・食べ物屋
  2. | trackback:0
  3. | comment:0
パドヴァの丘の上のレストラン Ristorante Alla Vigna(リストランテ・アッラ・ヴィーニャ) :: 2016/08/16(Tue)

ミラノに住む友人夫妻がヴェネトでの所用の際にパドヴァに立ち寄ってくれ、夏の夜を共にした。普段から何かとお世話になっている友とそのご主人。再会を楽しみにして選んだ店がここ、パドヴァの丘陵地帯、エウガーネイ丘陵地区にある丘の上のレストラン「リストランテ・アッラ・ヴィーニャ(Ristorante Alla Vigna)」。

IMG_5618_convert_20160816171617.jpg

パドヴァ郊外には、いわゆる、アグリトゥーロズモ的な郊外型の素敵なレストランが結構たくさんある。週末や、美味しいものを食べたいときなど、街中に出かけていくよりも車で少しだけ外に出るだけで、穏やかな風景のなかでゆったりとした時間が過ごせる場所がある。

そして、パドヴァの南側に位置する、ローマ時代からのテルメ(温泉保養地)であるアーバノ、モンテグロットからは至近距離。

この日もそんな店のうちの一軒へ。

日中は猛暑ともいえる日、日の暮れ始める夜8時頃を目安に出かけていくと、そこは数度は平野よりも温度が低いのだろう。カラリとした湿気のない日だったため、ひんやりとした夜風がとても心地良し。

IMG_5608_convert_20160816171459.jpg

この一帯はワインの産地でもある。高台にある店からは、広がるぶどう畑とさらに向こう側に見える街の様子がとても美しい。

IMG_5610_convert_20160816171535.jpg

この季節はやはりテラス席がいいよね、ということで、店前に設置されたテーブルを選び、メニュー選び。街中と違い、この店の雰囲気にしてはヒジョーにお得感満載な料理の価格と、そしてもちろん地元料理が並んでいることもあり、期待が高まり…

14054645_10210122395606861_2075462523_n_convert_20160816171432.jpg

選んだものは、ヴェネトの家庭料理、豚のミルク煮。でもとっても繊細に仕上げてある。

IMG_5623_convert_20160816172154.jpg


他、ホロホロ鶏の詰め物をしたローストやら(絵柄的には極似だけど)、バッカラのヴィツェンツァ風煮込み。などなど…

14017717_10210122379286453_38370394_n_convert_20160816171412.jpg

これらのセコンドに、たっぷりの野菜のコントルノをつけてもらい、地元のメルローを頼んで、ちょうどよい腹具合で終了。

美味しい料理を素敵な人たちとともにテーブルを囲むささいなひと時。これも真夏の夜の思い出の一コマだ。

Ristorante Alla Vigna
Via Vallorto, 23 -35038 Torreglia Padova -
Tel. 049.5211113




テーマ:イタリア - ジャンル:海外情報

  1. リストランテ・食べ物屋
  2. | trackback:0
  3. | comment:0
100年続くバッカラ専門店 Ristorante Vaccese :: 2016/02/29(Mon)

バッカラ(baccalà)は、ヴェネトを代表する食べ物で、ヴェネト州内にも、各地域により様々な郷土料理が存在する。

バッカラとは、大型のタラ(メルルーサ)を干したもの。本当は、魚を三枚におろしてから塩漬けにしたものをさすのだが、ヴェネトでは、一般的にバッカラと呼ばれるそれは、魚の内臓をとり、ガッチガッチになるまで干したもの。ノコギリを使わないと切れないくらいの硬さになる。これは、正しくはストッカフィッソと呼ばれるもの。

もちろん、レシピ本には、本来のバッカラと区別するためにストッカフィッソと表示されるのだが、一般的にここら辺では、バッカラ=ストッカフィッソとして認識される場合が多い。

その、バッカラ(あえて、バッカラと呼ぶ)の最も有名な料理としては、主にヴェネツィアが主流の『バッカラ・マンテカート』、ヴィツェンツァで主流の『バッカラ・アッラ・ヴィツェンティーナ』が挙げられる。

前者は、戻して茹でたバッカラをほぐして、そこにオイルを少しづつ加えながら激しく攪拌することにより、ペーストのような仕上がりにしていくこと。タラの繊維質の多い肉質の特性を生かしたもの。

後者は、戻したバッカラを牛乳、オイル、玉ねぎ、アンチョビ(入れない場合もある)、パルミジャーノを重ねて鍋に入れ、それを数時間かけて煮込むもの。

この料理は、『アッラ・ヴィツェンティーナ(ヴィツェンツァ風)』と呼ばれる通り、ヴィツェンツァ周辺が発祥の料理だが、ヴィツェンツァ近郊のサンドリーゴという町は特に同料理に関しては特別な土地として、この料理の”お墨付き”のついた特定レストランの協会までもが発足する。

このマークが目印。

IMG_4093_convert_20160229225945.jpg

サンドリーゴ周辺には、土地の有名店が、イコールバッカラ専門店となり得る傾向になるほどだ。いかに、この土地の名を冠したこの料理が地元密着度の非常に濃い一皿だ、ということが解る。つまりは、それだけ、地元の人に愛され、大切にされているもの、ということだ。

前置きが非常に長くなったが、パドヴァ郊外で、ここでも100年以上の歴史を誇る、バッカラの専門店がある。
パドヴァ郊外の町、ヴィツェンツァ方向にあるサッコロンゴという町のレストラン、リストランテ・ヴァッチェーゼ(Ristorante Vaccese)。

IMG_4095_convert_20160229230034.jpg

今年、105年を迎える、家族経営のこじんまりしたレストラン。素朴な造りに店内もクラッシックな雰囲気だが、地元人に愛され続ける店。

ご主人のレンツォさん。

IMG_4094_convert_20160229230010.jpg

この日に私たちが注文したものは、バッカラのビーゴリ。

IMG_4090_convert_20160229225853.jpg

バッカラ3種盛り。内容は、バッカラ・マンテカート、バッカラのインサラータ(茹でたバッカラをオイルと塩、コショウで和えたもの)、そして、バッカラ・マンテカート。

IMG_4091_convert_20160229225922.jpg

これらのメニューは、ヴェネトにいると、非常に頻度高く食べる機会のあるもので、目新しさはそれほどないのだが、これを目当てに通う馴染みが多くいる。

なんだかほんのりと温かいのは皿の上の料理だけではなく、店全体が、そしてこの空間に居る他のお客さん達全てに漂っているような気がした。

Ristorante Trattoria Vaccese
Via Roma 98, Saccolongo 35030, Padova
info@trattoriavaccese.it





テーマ:イタリア - ジャンル:海外情報

  1. リストランテ・食べ物屋
  2. | trackback:0
  3. | comment:0
次のページ