パドヴァのとっておき。

北イタリア・ヴェネト州パドヴァより、料理や季節のおいしい情報を中心に、日々のできごとを綴ります。



アトリエ・ビアセットAtelier Biasetto :: 2010/08/05(Thu)

パドヴァで、そしてイタリアでも屈指の有名なパスティッチエリの一人がルイジ・ビアセット氏。フランスで1981年に菓子及びチョコレート職人の技術向上と発展のために設立された協会、ルレ・デセールRelais Dessertsの会員の一人でもある。同会、現在85名のメンバーが在籍しているが、イタリア人のノミネートはたったの5名のみ。メンバーになるためには、現会員最低2名からの推薦や実技試験などを経る必要があり、必然的に世界のトップレベルの菓子職人たちが名を連ねている。

パドヴァにはこの栄誉ある会の会員であるルイジ・ビアセット氏の店とその工房がある。同店の看板メニューはセッテ・ヴェッリSette Velliというタルト。

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2年に一度リヨンで開かれる菓子の世界大会、クープ・ド・モンドで2007年にイタリアチームが優勝した際に供したのがそれ。チョコレートの柔らかいサヴォイアルディにチョコレートのムースやババロア、そしてナッツや穀物などの食感の違いを織り込んだチョコレート菓子。
そしてここ最近の流行りであるマカロンも存在をアピール。
その他、定番のお菓子から季節ごとの新作まで、夏場はジェラートもありそれもこれも見た目にも食べても上質品。

それらのお菓子をつくる工房が店から少々離れた場所にある。20年ほどの彼の仕事の流れ、ideaを集大成したアトリエ。今は夏休みの時期なのでスタッフの人数は少なめだが、兄のアレッサンドロ氏とともに12名体制で各店へ送り出すお菓子をつくり続けている。

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非常に清潔で管理の行き届いたアトリエ内。作業の流れを踏まえた設計で作業分担ごとに仕切られている。

お菓子作りは作業の時間配分も重要で各セクションの担当者が朝一番からの作業の時間配分を書きこみ、それに従い作業が進む。

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シェフは毎日作業終了時に各スタッフに自己採点をつけさせている。(全くイタリア人らしくない行動だ。)その表を見せてくれた。
毎日直線に平均的なポイントをつける者もいれば、激しく上下する者もいる。シェフはこの採点をどう見ているかというと、毎日のポイントはそれほど重要でなく、日を追って見えるポイントの動きを見ているのだという。彼曰く、毎日平均的なポイントの人物は“死んだ”も同然だ、という。人は感情の起伏があって当然。調子がいい日や悪い日があって当然。そこで質問
(私)シェフが毎日採点を見ていることはもちろん皆承知ですよね?
(シェフ)もちろん!
(私)では、この採点の見方も解っているのだとしたら、彼(採点が毎日60点くらいな人)はなぜウソでも変化をつけないのか。
(シェフ)彼はとても正直者なんだ。ただし、自分を解っていない。彼は自分の姿を鏡で見たことがないんだよ。



アトリエ内隅から隅まで見せていただき、とても興味深く、勉強になりました。ありがとうございました。

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kiyokoさんの銀のアクセサリー :: 2009/09/13(Sun)

ヴェネツィア・リド島で開かれていた映画祭も昨日の受賞式で幕を閉じた。私は子供がいるので映画は見れないのだが、会場の雰囲気だけは味わうことに。会場内には売店など特設会場があり、そこで日本人のジュエリーデザイナーに遭遇。
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フィレンツェにアトリエを持つhosoda kiyokoさん。1999年よりフィレンツェにて、ジュエリーの勉強を、その後留まりアトリエを開いたのだという。

彼女の作品はシルバーを主体とした可憐なジュエリー。それらひとつひとつの細工が非常に細かく繊細。薄くてシルバー製のレースのような印象。でも存在感あるそれらは思わず手にとってみたくなるものばかり。大ぶりなネックレスなども、重さを感じさせない独特の軽やかさのあるデザインが魅力。ピアスやブレスレット等々、彼女の優しげな人柄を表すような素敵なセンスが光る。

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フィレンツェでも店舗は持たずにアトリエのみで活動しているのだそう。

Via Marzio 2,Firenze(atelier)
www.k-hosodajewels.it

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小さな町の映画館 :: 2009/09/03(Thu)

カラブリア旅行の際に、夫の遠い親戚を訪ねていった。彼も30年来の訪問。

カラブリアの内陸にあたる、カラブリア州第2の都市、コセンツァ近くにある小さな小さな田舎町。乾燥したこの土地では、オリヴとアランチャ(オレンジ)の栽培が盛ん。見渡す限り、畑、畑、畑。特にこの夏は雨が少なく、ここ2カ月間は好天(?)続きだそうだ。

そこで出会ったのは、これまた笑顔が素敵な素朴な人たち。遠い親戚にあたる彼は町で文房具店&書店を開いている。外観からはなんだかさびれた風ではあったが、私がしばらく滞在している合間にも近所の人たちの出入りがけっこう頻繁にある。

そして、彼のもう一つの仕事が映画館の経営。自宅が映画館だ、と言われて???と思いながら着いてみたら、本当に一軒の映画館だった。

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まさしく『ニュー・シネマ・パラダイス』思わせる外観。話を聞くと、まさしくその映画通り、ひと昔前には客席に人が入りきらないほどの大盛況。毎晩大勢の人が映画を観にやってきて通路にも人がたくさん、一種の盛り場となっていたのだという。
そして、彼自身も映画の主人公“トト”のように、少年時代から手伝いがてらに毎晩を映写機の前に陣取って過ごしたという。“トト”はおそらくサルヴァトーレの愛称であろうが、こちらの彼はアントニオ。チネマの“トト”ならぬ、チネマの“トニーノ”として近所の人たちによく知られて育ったのだろう。

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ただし今ではもはや映画館に来る人もまばらになりつつある。映画の話をする時には目を輝かせてそれこそ少年のような顔つきになる彼、この先何年続けられるのかなぁ、、、と最後はちょっと寂しげだった。

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