パドヴァのとっておき。

北イタリア・ヴェネト州パドヴァより、料理や季節のおいしい情報を中心に、日々のできごとを綴ります。



パスティッチェリア・ビアセットLa pasticceria Biasetto :: 2010/05/31(Mon)

パドヴァの代表的なパステッチェリア。シェフはルイジ・ビアセットLuigi Biasetto氏。

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1997年、フランス・リヨンで開かれた世界菓子コンクールにて、自身がトップ・パスティッチェッレとして参加したイタリアチームが優勝。その際の賞を獲得したチョコレートムースとヘーゼツナッツのババロアを主体とした『Sette veliセッテ・ヴェーリ』(=意;7枚のヴェール)が特に有名で、同店の看板商品。

そして同賞を獲得、『Abbraccio di Venereアッブラッチョ・ディ・ヴェーネレ』(=意;ヴィーナスの抱擁)はマスカルポーネのムースの菓子。

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他、2006年にはガンベロ・ロッソのイリーIlly賞を獲得。ちなみに、この“Illy賞”は19,000店のイタリア国内のバールの頂点にたったという意味を持つ。
その他、同年2006年のパレルモで開かれたその年の最高のパスティッチェリアに選出されたり、2007年のガンベロ・ロッソで再度Illy賞も獲得など、他にもあるはずだが残念ながら把握はしていない。

世界的な菓子コンクールなどでの賞獲得、そしてイタリア及びヨーロッパのパスティッチェリアとして有力な地位に居るビアセット氏。1998年にパドヴァに同店を開いてから、店名やドルチェに商標をつけるなどしてブランド・品質管理も徹底。

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パドヴァのなかでも、おそらくイタリアのなかでも最高水準であろうと思われる質の高い、完成度の高いドルチェ。

ある一日、パドヴァのパヅティッチェリアを何軒か巡る機会があった際、同店にはお腹もかなり限界に近い頃に訪れたのだが。。。
店内に入った瞬間に見るショーケースに並ぶ菓子の整然とした美しさは、他店に追随を許すものではない。それらの持つ色、その組み合わせ、デザイン、そして形の正確さ。今までにも幾度か口にする機会もあり、また同店の厨房で働く友人の話などからもある程度は周知のことではあったが、意識をして他店と比較すると、その違いは歴然。

ショーケースの前に立つと、本当にどれも食べてみたいと思わせるものばかり。

ヴァニラのムースとパッション・フルーツ、オレンジのムース、そして粉不使用のチョコレートのパン・ディ・スパーニャ(スポンジケーキ)の層になった『Filostratoフィーロ・ストラート』。シャープな姿なのに思わず触りたくなるフンワリ感のある柔らかそうな外観。こういう姿は私好み。食べてると口のなかがフンワリ。

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こちらはリコッタ(だったかな?)のスフレ。

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まあ、こういう類のドルチェを“イタリアの”と冠していいのかどうかは微妙なところ。一般的に伝統的な素朴なイタリアの菓子を食べて、美味しいと思う日本人は意外と少なく、甘すぎたり重すぎる、という意見が大半。いわゆる“今どき”ではないのだ。
なので、日本でいう美味しいと判断される菓子の判断基準の範囲にある菓子と、伝統菓子の美味しさとの判断基準は、個人的には全く別のものと考えている。ビアセットのそれはもちろん前者側。
そして、作り手はイタリア人“らしい”人物だと、必ずしもこういう菓子は作れない(と思う)。

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Pasticceria Biasetto
Via Facciolati 12, Padova
Tel; 049.8024428

パドヴァではチェントロにあるカフェ・カヴゥールCaffè Cavourでも菓子は購入可。他、ブリュッセル店あり。

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続・マリーザの料理教室 :: 2010/05/30(Sun)

シニョーラ・マリーザを講師にして開催の料理教室。3日間連続、テーマはやっぱり“ヴェネトのクラシック”ということで参加してくれたのは、8ヶ月の男の子を連れての日本から参加してくれた、姫路にて料理教室を主宰するYuriさん。母、強し。

息子のイツくんはまんまるお顔の愛敬たっぷりの食いしん坊くん。イタリア滞在初日には、道端のシニョーラのものすごい勢いの賛美の攻撃に、恐れをなして思わず泣いてしまっていたが、時間が経つうちにその雰囲気にも慣れたのか、あっちでもこっちでも終始ニッコニコ。君もイタリアーノへの道をひた進むのかしら。

最終日、空港まで見送りに行った際、別れを惜しんで(…と思いこんでいるのは私だけかも)涙を流してくれたイツくん。また来てね。待ってるよ。。。

さて、この日は魚料理編。いつものごとくに彼女らしさを十分に引き出す魅力たっぷりの仕上がりとなる。

アンティパストはサルデ・イン・サオル。

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たっぷりのタマネギをしっかり炒めた後に酢を加えて火を入れ、小イワシの揚げたものと熱いうちに合わせる。ヴェネツィアの伝統料理。冷蔵庫に保管すると固くしまってしまうので、常温で保存する。そもそもこれは保存が目的でできあがった料理なので、日もちがするので惣菜向き。ヴェネツィアのバーカロには必然の料理だ。
マリーザはこの日のために試食用として2日前から準備しておいてくれた。この料理はできあがりすぐよりも日を置いたほうが美味しくいただける。

そして、プリモ・ピアットにはビーゴリ・イン・サルサ。

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ビーゴリというヴェネト特有の太いスパゲティ様のパスタに合わせる定番ソースは、アンチョビとタマネギ。こちらもタマネギをしっかり炒めたあとにアンチョビを溶かすようにして仕上げる。こうして見ると、ヴェネト料理にはタマネギが非常に多用されることが分かる。
その昔、物資にあまり恵まれていなかった土地柄、タマネギぐらいしか取れなかったということだ。それにしても、本当にできあがる料理はいつも地味色。ヴェネト料理がいまいちマイナーなのは、こういう見た目にも影響しているのだろう、といつも考えている。

ちなみにビーゴリは本来なら専用の押し出すマシンで押し出すようにしてつくるのだが、この日はビーゴリ風に手打ちのパスタを手で伸してみた。なかなかのできあがり。(だと私たちは満足)ビーゴリ作りにはお昼寝中のイツくん以外は全員参加。

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さて、セコンドにはイカの煮込み。小さなイカを使って、煮込みとはいってもトマト水煮を使わずに生のトマトを少々加えて軽く仕上げる。途中、ピゼッリ(グリーンピース)をたっぷりと入れて、ボリュームも出てこれも優しい味の仕上がりに。

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こういった煮込み料理を彼女は実に丁寧に美味しそうに仕上げる。彼女が料理するのを見るたびに、これを例に自分の台所で実践している自分を想像したりする。

ドルチェはリンゴのクロスタータ。土台のパスタ・ブリゼも極力脂分を減らして軽く仕上げる。そこに彼女特製のオレンジのソース、サルサ・ダランチャ。オレンジのジャムのようだが、ジャムではない、あくまでも“サルサ”。

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丁寧にオレンジの実をとりだし、少々レモン汁、そしてオレンジの皮も一部細かく刻んで鍋に入れる。ここで始めから砂糖を加えるのではなく、一度このまま火にかけて煮詰める。水分があらかたなくなったところで計量。そこで1/2 量の砂糖を加え約10分火にかけて終了。

余計な砂糖の甘さがなく、オレンジの香りの残るとっても美味しいサルサ。彼女ご自慢のサルサだったのだが、実はこの当日にこのサルサの説明をする時間がなく、翌日の講習のたちあがりに丁寧な説明をしてくれた。これが翌日にはアダになり、結構な時間の講習にも関わらず、終いには試食もそこそこに立ち去るハメになった元凶だったのだが。

でも、あとから振り返ると、ここで親切に教えてもらった細かなことが結構日常の作業に役立つことがある。これぞ、マンマの知恵。


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トリチェッレ橋Ponte delle Torricelle :: 2010/05/29(Sat)

街中にいくつかある橋のうちのひとつ。
チェントロのメイン通り、ローマ通りVia Romaとウンベルト通りVia Umbertoとの堺に位置する橋。橋としては、現在見て判るには小さく、チェントロから車両通行禁止区域から一度、車両が通行可能な場所となる少し開けた一区画となるので、橋自体の存在は確認しずらい。
が、歩いてそこを通過する際に見える水辺の風景が何気に美しく、思わず足を止めてシャッターをきる観光客を見かけることもある。

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橋のオリジナルは木製、石の橋に改築されたのが1210-1217 年のこと。バッキリオーネbacchiglioneの分水にかかる橋で、その名は現在はもう存在しない3つの(トレtre)の塔(トッリtorri)があった場所に位置することから。

ここはチェントロから南に下るプラート・デッラ・ヴァッレに続く道であり、日曜日などにはゆっくりと散歩する人々も多い。橋の上で芸をする音楽家の醸し出す音色が心地よく響く。
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マリーザの料理教室 :: 2010/05/28(Fri)

パドヴァ近郊に住むシニョーラ・マリーザの料理教室。このところ彼女の自宅を会場に何度か開催。

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彼女の持ち味は、シチリアの彼女のマンマから伝授された“マンマの知恵”をそこここに取り入れた丁寧な家庭料理。丁寧すぎて時々(かなり頻繁に)脱線し、脱線する先もそれはそれは丁寧(?)に話をするので、気づくといつも長丁場、というのが玉に瑕。

とはいうものの、彼女自身の味の傾向、健康への配慮などから、彼女なりの料理の手法が確立している。
クラッシックな料理は、特にヴェネトのそれは動物姓の脂を多用するリチェッタが多いので重いものになりがちだが、それらをアレンジ。味を崩すことなく、丁寧な方法で軽めでしかも美味しく仕上げる。

アンティパストには、ヴェネトの太いサラミ、ソプレッサの表面を軽く焼き、バルサミコをふりかけたもの。サラミの脂がほどよく抜けて表面はクロッカンテ。シンプルだが、バルサミコともよく合う。

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定番、パスタ・エ・ファジョーリは野菜をたっぷり使い、パンチェッタなどの動物性の旨みを加えず仕上げる軽い味。豆の味が濃厚に感じる。仕上げにパルミジャーノを加えることさえもあまり賛同せず、黒コショウを効かせてピリッと。この日はパスタも生地からつくりあげた。

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セコンドにはウサギの煮込み。タマネギ、ニンジン、セロリ、トマトなどをたっぷりの野菜に赤ワインを加えてじっくりと煮込む。使うスパイスはクローヴとナツメグ。仕上がりはとても優しい味。

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ドルチェは定番中の定番、ティラミス。

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彼女の自宅はいたって“普通”の家庭だが、キッチンはもちろん家の中はいつもピカピカ。テーブル用のクロス類も美しいものがたくさん控えていて、引出を開けると彼女のマンマ手作りの刺繍をほどこした大きなクロスなどが出てきたりなど、料理と合わせて学びたい部分がたくさんあり、またそれが刺激となる。

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ガッリーナ・パドヴァーナGallina Padovana :: 2010/05/27(Thu)

パドヴァ近郊で飼育されている特徴のある雌鶏。その姿からガッリーナ・パドヴァーナ・ダル・チュッフォGallina Padovana dal Ciuffoと呼ばれている。“チュッフォ”とは前髪のことを指すのだが、このガッリーナを見てすぐにそれと判る通り、その美しい前髪が非常に特徴的。

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この種がパドヴァで交配の結果ほぼ完成形となったのは1800年代とされているが、原型が持ち込まれたのはもっとさかのぼる。この歴史にも諸説あり、現在言われているのが、ジョヴァンニ・ドンディ・ダル・オロロッジョGiovanni Dondi dal’Orologioによる、とされる説。でも確かではないらしいが。

言われるところではキオッジャ生まれの医者であり、天文学者でもある彼が自身の研究のためにポーランドへ行った際に持ち帰ったもの。1300年代のこと。ちなみに彼はパドヴァのチェントロにあるピアッツァ・ディ・シニョーリのシンボルとなっている時計台の文字盤の基を築いた人物。ちなみのちなみにこの文字盤は彼自身の設計ではなく、彼の父がコピーしたものを基に造られた。

話は戻るが、このガッリーナ、特徴は繰り返すようだがその美しいチュッフォ。頭上と良頬、そして顎の部分に大きく広がる。そしてそれらの美しい色姿。
種類としては5種類あり、

①一枚一枚の羽の周囲が黒く、その内側は褐色の“ドラータdorata”(=金色)
②羽の周囲は黒く内側は白い“アルジェンタータargentata”(=銀色)

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③羽の周囲は白く内側は薄い褐色の“カモシャータcamosciata”(=スエード)

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④単一色の“ビアンコbianco”(=白色)
⑤そして“ネーロnero”(=黒色)

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がある。

金・銀・スエードなどと呼ばれるだけあり、大変に美しく、そこに立派な前髪がついているので観賞用の鶏のようで、これを食用にするのはなんだかもったいない気がする。(食べることしか考えていない。)

ただし、これらは種の保存として大変に気をつけて飼育されており、色違いのものが交ざり合わないように必ず色ごとに隔離しての飼育が義務づけられているのだとか。個人での飼育はもちろん例外だが、指定農家としてはパドヴァ近郊に200軒ほどあり、各農家とも気を使う部分であることは言うまでもない。

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この日私たちが訪れたのは、実際の農家というよりも、農業研究所のような場所でガッリーナをはじめ、他の動物や植物も敷地の中で研究材料として飼育されているのだが、特にここでは様々なガッリーナについての研究がされている場所である。

これはそれぞれのヒナ鶏たち。

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そしてこれは孵卵器。すべての卵に番号がつけられ、どの鶏から産まれたものかを明確にし、36.5℃温度、25%湿度管理のもとに3週間ほどで卵が孵化するのを待つ。

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と、可愛らしい鶏たちを目の前にして食べることばかりで何だか申し訳ないが、このガッリーナはこの土地ではボッリート(茹で鶏)、そして内蔵などもすべて使うリゾットなどが有名。肉質は筋肉質で硬く、長時間の煮込みや加熱して調理するのに適している。

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