パドヴァの守護聖人は聖アントニオで、カレンダー上365日毎日変わる守護聖人のうち、6月13日はパドヴァのアントニオの日。
サンタントニオ(聖アントニオ)教会に足を運んでみようかと思っていたが、そこまで到達できず…チェントロの店も閉まっているだろうと思ったら、けっこう開いていたので、空っぽの冷蔵庫の補給をするべく、メルカートで買い物。
八百屋さんもサントの日仕様。

本格的な夏に入る前の端境期な感がするけれど、着実に季節は移行。品揃えもすっかり衣替えしている。
インゲンは今は生が手に入る。パスタ・エ・ファジョーリも生豆でつくるととっても美味しい。

旬といえば、ピゼッリ(グリンピース)。

小さなナシ、サン・ピエトロ。皮が薄いので、皮ごとかじる。

ぺっちゃんこ桃。サトゥルニーナsaturninaと呼ばれる。

ヴェネトはサクランボの生産地でもある。

ラジョーネ宮下、アーケード内の常設店舗でもあっちこっちにサントを確認。


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日曜に開催されたラデッキオの生産者会議。トレヴィーゾ、ヴェネツィアの境目をまたがって生産されるヴェネトを代表する野菜、ラディツキオ。組合としてはストラーダ・デル・ラディツキオロッソ・ディ・トレヴィーゾ・エ・ヴァリエガート・ディ・カステルフランコStrada del Radicchio Rosso di Treviso e Variegato di Casterfrancoという。トレヴィーゾ産赤ラディツキオと変形種カステルフランコ種の道、という名がついている。

組合本部のあるゼロブランコにて生産各位と関係者を招いての定例総会で、2時間ほどの内容として2012年度の生産状況と2013年度の生産計画などに関わる話。原産地呼称をつけるための新年度への登録状況、組合としての活動状況の報告などがそのテーマ。
各生産者代表がその会議をしている間、家族及び関係各位は用意されたバスに乗って近くの彫刻家の博物館、Museo Toni bennetonの見学。
故人となったToni Bennetonの息子さんであるジョヴァンニさんの詳細な解説をもとに、ひとつひとつの作品を皆で見て回る。

鉄を主体にした大型作品が屋敷地内に所々ある。ただの鉄の塊ではない、芸術。詳しくは
こちら、過去投稿より。

お昼に元の場所に戻り、皆でお昼タイム。
この地で店を構える代表レストラン4店によるブッフェが並び、お腹を空かせた人々がざざざーっと集結。美味しそうな料理が並んでいたが、写真、撮るのをすっかり忘れた…

びおらちゃんもすっかり御馳走になりました。

最期に出された白アスパラのリゾット。できあがりはあっという間の人だかり…


楽しく過ごした数時間。食事の後はこれからが長い談話タイム。

それにしても今年の春先は雨ばかりのへんな天気が続き、春の野菜とそれからの野菜の生育が非常に問題になっているけれど、来年のラディツキオにどう影響をするのか、ここ数日から季節らしい天気となってきて、畑も準備態勢に入りつつある。貴重な産物であるゆえに、同行が気になるところだ。
先日訪れた畑では、土おこしがまだ手をつけられない状況。シーズンが終わったアスパラの畑も、もう手入れを終えているはずがまだまだこれから。来期を待つ根が悪くならなければ…との心配もある。
アスパラの林。シーズンが終わると一度上部を刈って、来年用に保管する。刈った後、1週間でこんな状態になり、来年の春を待つ。

本日の会に力を貸した関係各位。
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シチリアのレモンを巡る旅の最後を締めくくるべく、今回縁ありおとずれることになったのは、アマルフィ海岸のレモン畑。
美しい海岸線で有名なこの地はレモンの有名な産地でもある。

ここのレモン栽培の特徴は、この地形からくるもの。海に面する岸壁に、ていはりつくようにレモン畑が上へ上へと広がっている。崖に横に並行に並ぶのは、レモンの段々畑。

遠くからみているとこれもこの地の風景を造りだす光景ともなっているものだけれど、実際にそこへ足を踏み入れるのは、かなりしんどい。急な坂道をとにかく足で登る。そして、降りる。
急な階段の入口がこの海岸線のあちこちにあり、狭い急階段の脇にレモン畑。真青な海を背景に鮮やかなレモンが実っている、という非常に面白くて美しい色彩を目の当たりにすることになる。
たまに訪れて綺麗~なんていっていられるのは訪問者の声だろうが、ここで働く人たちにとっては宿命ともいえる重労働。レモン収穫のために毎日この階段を上り降りするわけだが、もちろん収穫後のレモンを背負う必要があるからだ。
このレモン畑を案内してくれたのは、この地で代々レモン栽培に関わるデ・リーゾ氏。

ここで待っているともうそろそろ降りてくるよ。と言われて海岸線の車道で待機していたら、ほんとに時間通りに人が降りてきた。仕分け作業現場で事前に見せていてはもらっていた、レモンを入れるケースは、収穫物を入れると重量60kg。それを肩に担いで降りてくる。首に専用クッションをあて、細い石階段の上方から降りてくる男性たち。おのずと体格もがっちり。


次々と降りてきて、道端に止めてある軽トラックに収穫したばかりのレモンを載せる。そしてまた登る…一日に20-30回往復するのだそうだ。頼るのは人力のみ。

この方、70歳。いまだ現役で他の若者と同様にレモンを担いで登り降りする、というのだからすごい。


とはいうものの、昔はこの仕事、女性がやっていたのだとか。妊婦だってレモンを担いでこの階段を運んでいた、という。
実際にレモン畑に足を踏み入れてみる。



とにかく海から急斜面に広がる畑とあって、しつこいようだが急な階段を先へ先へと。途中、荷台もあるが、この前後はやはり人の足で運ぶ必要あり。あくまでも人力が主体。
アマルフィのレモンはとにかく香りがよい。甘い香りが特徴。そして、厚い皮に覆われている。特に大きいものは食べても美味しい。
ちなみに大きなものは人の顔くらいの大きさのものもある。


収穫したばかりのそれをナイフで黄色い皮をむき、白い部分を食べさせてもらう。甘い!!レモンはこの地では、昔は薬としても使われており、火傷や切り傷にあてたり、熱が出たときには皮をおでこに当てたりしたそうだ。皮を食べることで口の洗浄の効果もあり。

確かに口の中がすっきりと綺麗になる。そして、おもむろに出された塩の箱。大きなレモンを輪切りして、そこに塩をふってもらう。さらに香りに甘みが出る。
収穫したものは仕分け、出荷の作業場に運ばれて、大きさ別に分けられる。


また、そのうち一部は皮をむいて、リモンチェッロの製造へ。

皮をアルコールに1週間ほど漬け、そこに水と砂糖を混ぜて仕上げる。瓶詰めもラベル張りも手作業。

個人的にはここのレモンが非常に興味深くて、その淡い甘さのある大きなレモンが印象深い。
そして、階段の下で会った地元のおじいちゃん。83歳。


以前は彼もレモン現場で働いていたのだろうが、今は引退生活。でも、日常の生活にはこの急階段の昇降が必須となる。
ゆっくりとだが元気に階段を上って帰途につくおじいちゃんの背中。そして、笑顔。
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今回のシチリア滞在目的でもある、レモン畑訪問。ここはシラクーザ郊外にてレモンの大規模経営者である、ご主人ディマウロさんの畑。
宿泊していたカターニアから約70km離れたシラクーザ郊外へは迎えの車を出してもらい、ものすごいスピードであっという間に現地到着。
途中でご主人と合流し、まずは畑へ。ご主人と合流するのにも理由あり。畑周辺地域はほんとに土地に明るい人でなければ、道に迷う。周囲に道しるべもなく、行けど行けど、レモン畑。乾いた土と道両脇に並ぶレモンの木しかない。カーナビでここまで来ようと思っていた私に助け船を出してくれた関係各位、本当に感謝です。

エトナ山麓から少し下ってトンネルを超えると、辺りはすっかりレモン畑に様相が一転する。シチリア島の北から東側海岸線は気候も比較的温暖で気温の変化も少なく、レモン栽培には最適な環境。
シラクーザのレモンはIgpに指定されているもので、年に4回の収穫がされる。1本の木から年間を通して次々に実をつける。レモンは生命力の強い産物だ。

一年を通して収穫されるレモンは名称が変わり、10-12月に収穫されるものは”primofiore/プリモフィオーレ”。1-3月収穫のものが”invernale/インヴヴェルナーレ”、4-5月のものは”bianchetto/ビアンケット”、8-9月のものが”verdello/ヴェルデッロ”と呼ばれている。
それぞれの収穫期の産物の状態がそのまま名称になる。
さて、ディ・マウロ氏ご自身は80ヘクタールもの畑を所有、その他に彼の共同農園を含めると、どのくらいになるんだろう…という、レモン畑のドン。

ご自身の車で先導してくれて次から次へと畑を案内。まだ固く緑色のものから黄色く熟し始めたもの、そして花をつけたものやら花が落ちて実がなり始めたものなど…生育状態の違いをそれぞれに説明してもらう。
それでもやはり冬の時期は一番の最盛期とのことで、その時期に向けて花が開花するのが4月。その頃は畑一面が白い花で覆われ、畑に近づいただけで花の甘い香りでいっぱいなのだそうだ。
香りといえば、レモンの木についている葉もものすごくいい香り。葉を一枚とって手でくしゃくしゃっとすると酸っぱくて甘いものすごくいい香りがする。

収穫現場に行こうよ、と言われて訪れた次なる畑には、はしごを使って高いところからレモンをもぎ取っているひとたち。目の前でみるみるうちにバケツがレモンで一杯になっていく。青い空とレモンの木、そして緑がかったレモンとカラフルなバケツがよく似合う。



上記の名称を分けてはみたが、この時期のものはヴェルデッロ=緑の種なので、収穫するレモンも緑色。果汁は冬のものよりも少ないが、皮も含め、香はこの時期のもののほうが強いそうだ。
畑訪問を終えて連れていってもらったのは、小さな町のパスティッチェリア。この辺はアーモンドの生産も盛んな土地がら。
シチリアを代表する菓子にも、アーモンドを使った菓子が有名だが、ここはアーモンド製品専門店。アーモンド製品といっても、いろいろと種類を並べているものではもちろんなくて、パスタ・ディ・マンドルラ、つまりマジパンを生産し、それを使った定番焼き菓子を販売している。家族3代で土地の伝統を守る。

ここでいただくグラニータ。皮つきのパスタと皮なしのパスタとを合わせてつくるグラニータはものすごい香の強さ。

ここら辺では夏の朝食はこのグラニータにパンをつけていただく。この氷と甘さで暑さを緩和する、土地ならではの知恵。このほんのり甘いパンが必須。

そして、同店のそしてこの土地の名物菓子、トッローネ。トッローネというと、白いヌガー状を想像するが、ここでは、土地のアーモンドをカラメルでからめたものを指す。カリッカリでカラメルに加えられたレモンの皮のほろ苦さと酸味がアクセント。

かけ足の訪問で、もう少し時間があればあれもこれもできたのに…と何とも有難い言葉を無念にも後にして、ディマウロ氏に別れを告げる。
ディマウロ氏の傍で一生懸命補足説明を加えていた、このおじさん、名前を忘れてしまったが、常に口にくわえていたオリーヴの若枝が印象的。禁煙中なんだって。

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シチリアは島全体に農産物の宝庫だけれど、そこここで気候や地形も変わるため、それぞれに適した産物が生まれている。
訪れた先はカターニア郊外、活火山であるエトナ山の南側。温暖な気候が印象にあるシチリアのなかでこのエトナ山の及ぼす自然の力はこの地域の気候に大変影響を与えている。
特に特徴的なのは冬季の気候。最も寒い1月2月は0度近くまで気温が下がり、そして最高気温はときには20度をも超える。
この温度の違いで美味しく生育するのが、オレンジ。シチリアを、というよりもイタリアを代表するフルーツのひとつともいえる。
ブラッドオレンジとしてよく知られているが、そのなかでも数種あり、種類を変えることにより、収穫期が少しずつずれるため、全体として収穫期間を長く保つことができる。ちなみに今日現在、日本にフレッシュで輸入が許可されているのは、タロッコといわれる品種の一部が唯一。
さて、カーナビもあやふやな感じの周囲に何もないような少し山に入ったところがこの日の目的地。オレンジを中心としたかんきつ類を生産しながらアグリトゥーリズモを営むドメニコさんのところ。


彼はお父さんの時代に現在の畑のある10ヘクタール弱の農地をオレンジ、レモン、オリーヴなどの木ごと買い取り、現在はビオロジコ、つまり有機栽培のかんきつ類を生産しているご主人。
彼のもつ畑の80%がオレンジの木各種、他にレモン、クレメンティーナ、チェードロ、アーモンド、オリーヴ、そしてサボテンなどを育てている。(サボテンの場合は勝手に育っている、という感じだが)
今年は北側は雨続きで農作物に多大な影響を及ぼしたのだが、ここはなんと逆に水不足。敷地内でも土の状態が異なり、石がごろごろしているところは水はけがよく、オレンジの成育に適してはいるが、雨が少なくなるとその影響がテキメンだとか。
私たちの滞在したたった一日だったが、気持ちの良い晴天に恵まれて、「今日はいい天気ね~」と朝の挨拶をしたら、「僕にとってはイマイチ」との答え。
敷地内を2日間に分けてじっくりと説明して歩いてくれた。

オレンジとレモンの成育地域の気候の違いについては、彼の説明でよく理解できる。そして、品種改良もしくは量産を目的のつぎ木、古木対策の何年後かを見越しての新苗の手入れ、など。

こちらはオレンジ収穫専用はさみ。慣れていないと使い勝手が悪くてもたもたするが、さすがに彼は片手でどんどん切っていく。


そして、レモン。

レモンはオレンジと違って年に数回収穫がされる。今の時期のものは冬後期と夏場の始まりのもの。花が咲き、それが落ちたところに新たな実をつけるのだが、これくらいのものが立派な実になって収穫されるのは6-7月。現在これよりも一回り小さいくらいのものが10月ごろの収穫にあたる。


そして、オレンジの木とともにあちらこちらにオリーヴの木も成長していたが、800年にもなる大木もそのなかに含まれている。
さらには実り始めたアーモンドの木。実をとって石の上でもうひとつの石をもって割り、中を取り出してジューシーなアーモンドの実を食べる。簡単そうに見える作業だが、実際にやってみると、うまくパカリと殻が割れるというわけでもない。もちろん、生産工場では、手で割るなんてことはしていないのだけれど。


こちらは、サボテンの木(?)。サボテンは生命力抜群なので、ほおっておいてもどんどんと増えていくらしい。落ちた葉でさえも、そこから根が生えてきてくるくらい。

この時期、実がたわわになっているが、これは一度、棒で全てをたたき落とすらしい。その後、もう一度出てきた実は今ほど密集しては出てはこないものの、味がぐっと凝縮し、雨なども含まれてジューシーな実となり、夏の終わりごろからが美味しくなる。イタリアでは、サボテンの実はフィーキ・ディ・インディア(=インドのイチジク)と呼ばれている。
農産物の生産をしながらアグリトゥーリズモも営むご主人のところには宿泊以外にも、農園訪問の大型バスもイタリア国内はもちろん、近隣ヨーロッパからも到着する。
昼食をそうしたお客様に振舞うのだが、自分たちの土地ならではの素材を使った料理がずらりと並ぶ。
野菜やオリーヴを使ったアンティパスト。

そして、オレンジのサラダ。

この日は私たちは食事の予約などしていなかったのだが、お昼御馳走するよ~、との一言にもちろん従わせていただいて、アンティパストをひと皿お裾分けしてもらう。

そして次に出されたレモンのパスタ。

どれもこれも、美味しくてあっという間に平らげた。
朝食にはここで採れた各品種ごとのオレンジやレモンのマルメッラータ(ジャム)で。

オレンジの畑に囲まれた、自然いっぱいのなかなか素敵な滞在地だった。
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