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パドヴァのとっておき。

北イタリア・ヴェネト州パドヴァより、料理や季節のおいしい情報を中心に、日々のできごとを綴ります。



トルタ・ズブリソローナ(Torta Sbrisolona) :: 2016/07/18(Mon)

ズブリソローナ(sbrisolona)とは、マントヴァからヴェネトにかけてのお菓子。
その名は、この菓子の状態がボロボロとくずれやすいというブリーチョラ(briciola)ということ、手でボロボロにする、というズブリーチョラ(sbriciola)からくる。

各地によって親しまれている呼び名が異なり、ズブリソローナはマントヴァの呼び方、ヴェネトにくるとフレゴロッタ(fregolotta)、スフレゴロッタ(sfregolotta)、ロゼゴータ(rosegota)などという。後者の名の由来もほぼ全て同様。

主となる材料は、この辺りで多く栽培されるトウモロコシの粉。ポレンタ用だが、菓子用には、さらに細かく挽いたフィオレット(fioletto)というものを使う。

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このフィオレットと小麦粉を合わせ、バター、荒く砕いたアーモンド、卵、そして豚の脂であるストルットを加えてよく混ぜ合わせる。タルト生地であるパスタ・ブリゼーをつくるような要領で、粉と脂をホロホロとした状態にしっかり混ぜ合わせることが肝心。

そして、それを薄く広げる。高さをあまり出さないように薄く広げることが、仕上がりの口当たりに影響することもあり、それがまた、この菓子の形状、状態の特徴でもあるから。

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つまりは、表面も内側もしっかりと火が均一に、割ったときに中がしっとり、という状態にしないように気をつける。

焼き上がりは薄い円板状。この菓子の正しい食べ方は、決してナイフで切ったりすることなく、その名の通りあくまでも手で割って食べること。フェッテ(fette)ではなくペッツィ(pezzi)で食べるのが正式。

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  1. Dolce/ドルチェ
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リゾット・アッラ・ピロータ(Risotto alla Pilota) :: 2016/07/15(Fri)

ヴェネトの南側からロンバルディアにかけてはイタリアでも有数の米の産地として知られている場所だ。
ヴェネトでは、ヴェローナの南側からロンバルディア州マントヴァにかけての一帯を指し、ここでは、ヴィアノーネ・ナーノ(Vialone Nano)種が土地の産物とされており、これを使った米料理が存在する。

それが、リゾット・アッラ・ピロータ。この土地独特の作り方に、その名の由来がある。

まず…使う具材としては、有名なものは、タスタサール(tastasal)。これは、サルシッチャの中身、いわゆる豚のミンチした肉に胡椒などの香辛料を加えられたもの。ただし、今回はサルシッチャを中身だけ使用。

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そして、淡水魚のナマズやスズキ、コイなど。(写真が少々グロテスクでゴメンナサイ)

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これらの魚は田んぼに放し飼いにされ、稲の茎につく害虫などを食べてくれるもの。ちなみに、ヴィアノーネ・ナーノIGPと冠されるものは、これらの魚のいる田んぼであることが義務づけられている。
そして、彼らはその仕事を終えると、リゾットの具材へ…なんだか可哀想な気もするが、全てを無駄にすることなく有り難く頂戴しなければならない。

アッラ・ピロータとして、他のリゾットとの大きな違いは米の火の入れ方。通常、リゾットは熱いスープを米を炒めた鍋のなかに少しづつ注いで仕上げていくものなの。ここでは、米とスープを一気に鍋に入れ、蓋を閉めたまま米を炊き上げる。日本の米の炊き方に似ている。

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具材となるものは、別鍋でしっかりと調味まで仕上げておき、炊き上がりに米に加える。

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仕上がりは、米と米が完全に別々、パラパラな状態になっていて、まるでピラフのようになる。

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これが、アッラ・ピロータ、つまりピロータ風。ピロータとは、イタリア語では普通、パイロットのことを示す言葉だが、ここでは、米の脱穀・精米の現場で働く人々を指している。料理名にこの名がついたのは、彼らが作業中にお昼の準備のために作っていたものだったから。

忙しい作業中に鍋に入れっぱなし、放りっぱなしで食事をつくる、いかにも農民らしい料理。そしてしっかりと肉や脂身の多い川魚を利用するため、エネルギー補給にもなる。プリモとセコンドが一緒に食べられる、いわゆる、ピアット・ウニコだ。

さらにはヴェネトでは、リゾットの仕上がりの目安をアッラ・オンダ(all’onda)=波が立つように、と表現し、水分が多いながらに皿に盛ったリゾットが波のように形ができることが理想的とされる。ここでは全くの別物。

こうだからこそ、これは冷めてもまた美味しくいただける。土地が変われば…という、イタリア郷土料理の典型みたいな一皿。





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DOLO(ドーロ)の粉挽き水車 :: 2016/07/14(Thu)

パドヴァからヴェネツィアにかけてはブレンタという川が流れている。この川及び川辺はヴェネツィア共和国時代に現在の形を造られたもので、緩やかな平原に穏やかな水流を抱き、豊かな大地を背景にして、その時代から貴族たちの別荘地として知られた場所だ。

川に沿った美しい景観は、かつて「セレニッシマ(Serenissima=晴朗きわまる所)」と呼ばれたヴェネツィア共和国の保護のもとに川辺を正面とする豪華な邸宅が造り上げた景色でもある。川の流れとこの土地の美しさから、同国も、認められた貴族以外の住居建築を禁止したほど、と言われている。

川に沿ったいくつかの街は、数世紀を経て、現在もヴェネツィア県下、パドヴァ県下に置かれている。
そのうちのヴェネツィア県にあるドーロという場所がある。ブレンタ沿いでは最も地元の人たちの集う場所である、といってもいいかもしれない。

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川沿いにつくられた広場は、15世紀前半に築かれた、ムリーノ(粉挽き用の水車)があり、夕方ともなるとそこを中心にして人々が集まる。
現在、ここはバールとなっていて、このムリーノを見ながらアペリティーヴォをする人気スポット。
もともとはもちろん貴族の邸宅の持ち物であり、その後文化財に指定されて現在はバールの一部として利用されているもの。

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ここから見える風景と水の音が、特に夏の夕涼みにはもってこい、なのだ。

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この先には、スクエーロ(squero)と呼ばれる、船付き場があり、これも1500年代のもの。

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ヴェネツィア-パドヴァ間はこのブレンタの流れる川面をゆったりと走るととても気持ちがいい。高速道路を使うと30分で到着する距離だが、時間の余裕をみてこの経路を辿るのが、個人的にはとても好き。
さらに時間があるときは、このムリーノで一休みするのがさらに良しな場所。





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  1. Veneto/ヴェネト州
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ヴェネツィア・チケティ料理レッスン :: 2016/07/12(Tue)

ヴェネツィアには、バーカロという業態の飲食店が点在する。通常、食事処として利用されるオステリアが、グラスワイン(オンブラ)を立ち飲みする常連さんに、ワインのつまみを置くようになり、そのカウンター越しに、ワインを注文しつまみを食べる、という風習となったもの。

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このつまみのことをチケティと呼び、こういう業態がバーカロまたはチケッテリアとして定着したのは、ヴェネツィアのなかでは新しめの風習という。

とはいえ、ここで提供されるチケティとは、やはりヴェネツィアらしい定番があり、それが揚げ物であったり、季節の野菜や魚介を使ったものであったり、ヴェネツィアならではの惣菜をポレンタの上にのせて一口おつまみにしたり…というふうにして、各店ともに店の開店時ともなると、カウンターを惣菜で埋め尽くすことになる。

飲み好きにはたまらない風習で、立ち飲みだからこそ、気軽に何軒かをはしごすることも可能。…というのは、最近のヴェネツィア観光の名物ツアーの一部になりつつあり、有名店などになると夕方ともなると地元観光ガイドさんが先頭になり、団体様を引き連れて、うんちくを語る場にもなっている。

肝心のヴェネツィアーニは、というと、大概の場合、お気に入りの店が何軒かあるので、仕事帰りなどにふらりと立ち寄り、そこで食前酒を一杯ひっかけながら、顔なじみの店員や、そこで居合わせた仲間や知り合いと一時を過ごす、という風なもの。

…といつものように、前置きが長いのだが、このチケティをテーマに、先日、料理レッスンを開催した。

講師はヴェネツィア・パドヴァ郊外に住むロッサーナさん。生まれも育ちのヴェネツィア人で今もなおヴェネツィアLOVEな彼女。チケティを披露してくれ、と依頼すると次から次へとメニューが出てくる。

そのなかでも人気メニューをいくつか。

まずはサルデ・イン・サオル。ヴェネツィア料理の定番中の定番。揚げたイワシをたっぷりと炒めた玉ねぎとともにマリネする。保存食ともいえるものなので、即日よりも翌日に食するのがベスト。

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そして、この日はエビのイン・サオルも。「イン・サオル」といって、玉ねぎとのマリネの料理をそう呼ぶことができることから、主役になるのはサルデ(イワシ)でなくとも、他の素材でもOK。よく使われるのは、エビや小さな舌平目、カボチャやラディッキオなど。美味しく仕上げるコツは、主役の素材に合わせて酸味の調節をすること。ここが秘訣。

そして、名物、肉のポルペッテ。いわゆる揚げ肉団子なのだが、ただの肉団子ではない。中身の材料に、これも秘密あり。これ、一度食べたらやみつきになる美味しさ。

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ポルペッテは肉だけでなく、トンノ(ツナ)でも美味しい。揚げタイプとこれをトマトで煮込みにしても。ふんわりと、柔らかく仕上げる。

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チケティは揚げ物がなくてはならないのだが、そのなかでも個人的にも大好きなのが、バッカラのフリッテッレ。塩出しをしたバッカラを発酵生地に混ぜ込んで発酵させ、それを油で揚げる。この塩気がたまらなく美味い。

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他にも何点かありながら、次々と作り続けてテーブルに並べたら、即席バーカロのカウンターに…

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そうそう、これらの惣菜は、もちろん冷めても美味しい、というのが鉄則。ヴェネツィアのバーカロでも、注文するとご丁寧に電子レンジで温めてくれるところもあるが、実はそれは邪道!…なのです。





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ヴェネツィアのお肉料理 オゼーイ・スカンパーイ (Osei Scampai) :: 2016/07/09(Sat)

ヴェネツィア料理といえば、ラグーナで獲れる魚介を使った料理を想像しがちだが、もちろんお肉料理だってある。

その一つがこの、オゼーイ・スカンパーイだ。

オゼーイとは、ウチェッリ(鶏)のヴェネツィア訛りの言い方。そして、続くスカンパーイもスカッパータ(逃げた)という意味のヴェネツィア風言い回し。

ヴェネツィアはやはり魚介が豊富な地域。食用とする肉は比較的乏しかったという土地柄もあり、スズメの肉を食していた歴史がある。小さく切って、串挿しにして調理した、いわゆる日本でいう、焼き鳥に似たようなもの。

時代が経過し、スズメの狩猟を禁止され、さらには流通も改善されたこともあり、この料理をスズメ肉の代わりに、牛や豚などの入手のしやすい肉に代替して現在にも残るヴェネツィア料理となっている。

料理法のみが残り、肝心なスズメをもう使わなくなってしまったため、「スズメは逃げちゃったけれど…」という意味を込めてこの料理名がある。

材料は、牛肉、子牛、サルシッチャ、パンチェッタなどの加工肉等を使い、肉の香りづけとしてセージの葉を用いる。

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串に、それぞれの肉を一口大に切ったものを、セージとともに交互にさす。

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厚底のフライパン(が好ましい。長時間調理となるので)にバターとオイルを入れ、肉の表面を焼き付ける。

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表面が全体に色づいたら白ワインを加え、アルコール分をとばし、ニンニクをここで加え、蓋をして弱火で肉が柔らかくなるまで煮込む。このままオーブンで加熱してもよい。

焼き鳥のような…とは書いたけれど、焼くだけではなくて、じっくりとゆっくりと火を入れ、煮汁もしっかりと残るような仕上がりにするのが、ポイント。

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その煮汁はもちろんポレンタと一緒にいただく。ヴェネツィア料理にはポレンタは切っても切れない関係にあるから。

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ちょっとよそ行き風にお皿に盛り付けてくれたのは、この料理をいつも楽しくヴェネツィア料理を紹介してくれる、私のイタリアのマンマともいえる、ロッサーナさんによるもの。

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テーブルコーディネイトもいつも素敵に準備してくれて、この日のテーマはラベンダー。

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いつもいろいろな話を聞いてくれて、相談にのってくれる、私にとってはかけがえのない人物。

…ちょっと主題とずれてしまったけれど…






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