先日、パドヴァ大学の最も歴史的キャンパスであるパラッツォ・ボー(Palazzo Bò)にて、「科学者の夕べ (La notte europea dei ricercatori)」が開催された。
これは、2005年より、ヨーロッパ各地の関係施設において毎年9月第四金曜日に設定されている催しで、科学者と市民が集うという目的のイベントとして開催されている。
今年は9月30日の夕方より、同企画が催され、大学の敷地内にたくさんのテントが張られ、関係者による様々な研究の一端がお披露目された。

関係者とは、パドヴァ大学はもちろん、ヴェネツィアの大学(カ・フォスカリ、IUAV)、ヴェローナ大学や物理学研究の施設、パドヴァの天文学研究所等々、周辺の関係団体が参加している。
イベントは、主に子供向けの体験学習(ラボラトーリオ)や、各種ワークショップ、コンサート等々が企画されている。

たまたま夕方に子供とそのお友達を連れて通りかかって、昨年もそういえばこの会を訪れたことを思い出し、敷地内へ。
まずは受付に行って、パスポートをもらう。いくつかのブースを回るごとにスタンプを押してもらい、規定の数に達したら帰りにディプローマ(修了証)がもらえるシステム。なので、子供たちは張り切ってがんばる。

ヨット製作をしている学生たちのグループは、浮力や風力の関係を小さな模型を使って説明。


寄生虫学の研究団体のブース。ビンの中になにやら怪しげな寄生虫が並べられ、子供立ちの興味に従い丁寧に説明をしてくれる。


ここは、獣医学の研究団体。犬のエコグラフィをとる体験を見せてくれる。

電気のおこし方、仕組みを簡単な装置をつかって説明してくれるおにいさん。

ほかにもいろいろ、いろいろと小さな科学者たちの興味はつきることなく…どこのブースも大盛況。


こんな素敵なイベントも参加費無料。夜の楽しい数時間を過ごさせていただいた。ありがとう!
テーマ:イタリア - ジャンル:海外情報
- 未分類
-
| trackback:0
-
| comment:0
ヴェネト州の南側、ロンバルディア州との境にある、イーゾラ・デッラ・スカーラ (Isola della Scala) という町は、イタリアをも代表するお米の産地として知られている。

特にこの土地に根付いた土着品種のヴィアローネ・ナーノ (Vialone Nano) 種がこの土地の米作を有名にしている。産地呼称である I.G.P. にも指定されていて、この品種の米はこの土地以外で生産されることはない。
同地での米作は500年ほども昔に遡るといわれており、ヴェネト州のなかでも南側はイタリア最大の広大の平野であるパダーナ平原にかかることもあり、広々とした田園風景が特徴的。ヴェネト北部とは全く雰囲気の違う光景、農地の規模も北側と比較すると大きく異なる。
収穫が終わる9月の後半には、毎年この地で開かれるお米の収穫祭が盛大に開催される。その年の収穫を皆で分かち合うため。

今年のそれは、50回目を数え、会期はなんと3週間にも及ぶ。その間に様々なイベントが開催され、来場者も特に週末などには歩くのも大変なほどの混雑に。
私が訪れたのはある日曜日のお昼。この収穫祭は実は3度目なのだが、今年はちょっと目的が違う。昨年から一緒に仕事を始めた、生産者に挨拶に行くのが主な目的。

彼らのブースに到着したら、ブースに設置された大きな鍋でリゾット作りに励むスタッフたちに歓迎された。
お米の産地であるから、そこにはやはりこの土地ならではのリゾットがある。それが、イゾーラ風リゾット (Risotto alla Isolana)。
いわゆる、サルシッチャという、生サラミの中身のみ、つまりは腸詰する前の状態の肉を具材に使う。
肉は豚と牛のミックス。ここに胡椒やニンニクなど、他調味料をきかせたもの。これらは先にバターでしっかりと調理しておく。ローズマリーの香りを加えることは欠かせない。

鍋にはブロードが温められ、そこに米を投入。通常のリゾットであれば、米を先に炒めるところだが、ここでは逆。
ブロードも少しずつ足していく方法ではなくて、予め使う量が鍋に入っている状態だ。

これをいわゆるピロータ風リゾット (Risotto alla Pilota) といい、その昔、米の脱穀作業をしていた人々(ピロータ)が、忙しい作業中に手をかけることなく、昼食の準備をこうしてやっていたことから。つまり、鍋に材料を放り込んで仕上げるリゾットの作り方のことを指す。
なんだかまさしく男の料理。

ただし、この方法で美味しくリゾットが仕上がるのは、この土地の品種であるヴィアローネ・ナーノ種だからこそ。アミドの含有量が高く、粘りがなくパラパラな状態に仕上がるのは、この品種ならでは。
さて、蓋をして米が半分くらい火が入っところに、肉を投入。


再度蓋をして、ブロードの水分が米にしっかり浸透したところで、グラーナ・パダーナ、バターを加えて仕上げる。香りの仕上げはシナモン。

ここでは、作業性のこともあり、おろしたグラーナに予めシナモンを混ぜておいたものを使用。

できあがりの熱々をいただく。肉やスパイス、ローズマリーやらの香りが複雑に混ざり合う。うーん、美味い‼︎


ちなみに、この肉のことをここの土地では、タスタサル (Tastasal) と呼び、土地の肉屋では普通に手に入るもの。こんなに近いのに、食文化の違いを感じる。

来年度はぜひお米の生産を1年に渡って追ってみたいなぁ…などと考えてもいる。
テーマ:イタリア - ジャンル:海外情報
- イベント、見本市
-
| trackback:0
-
| comment:0