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パドヴァのとっておき。

北イタリア・ヴェネト州パドヴァより、料理や季節のおいしい情報を中心に、日々のできごとを綴ります。



ピエモンテのヘーゼツナッツ《ノッチョーラ・トンダ・ジェンティーレI.G.P.》 :: 2017/10/26(Thu)

ノッチョーラ(ヘーゼツナッツ)の産地を訪問する機会に恵まれた。行った先は、産地呼称I.G.P.が冠されるピエモンテのランゲ地方、クーネオ県の近辺だ。

この地域で生産されるヘーゼツナッツは、トンダ・ジェンティーレ (Tonda Gentile) という品種で、I.G.P.に指定される品種もこの一種のみ、とされている。

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同種の特徴は、非常に硬い殻に覆われた身はぎっしりと密。全体の40-50%が身の重量とされている。

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この地でヘーゼルナッツの使用用途とすると、多く使われるのは、お菓子であるが、この地域の質の良さは世界一ともされ、その希少価値は誰もが認めるところだ。

この地でヘーゼツナッツの生産が盛んになったのは、19世紀に入ってからのこと。この植物とこの地域の気候との相性がよく、質のよいものが栽培されることなったのと、お菓子製造がこの時期に大きく発展・進展したこととが重なる。

ピエモンテの有名お菓子(チョコレート)メーカーなどの考案したヘーゼルナッツのクリームの入ったチョコレート《ジャンドゥイイオット》などの功績もかなりあるのだろう。

この生産地区に入ると、見渡す限りにヘーゼツナッツの木々。整然と並んだそれらの合間には、まだ植樹したばかりの若いものも多く見かけられる。

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WIFIも繋がらないような山々を登ったり下ったりしていくつの農家を回って、いろいろな話を伺う。土について、肥料について、剪定について、品種について…

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ちょうど収穫の終了したばかりの時期で、どこの農家の庭先にも、山に積まれたヘーゼルナッツが。

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作業場では、焙煎や殻剥き、選別、袋詰め…と黙々と作業が続いてもいる。今年は夏に雨が異常に少なかったことから、例年にないほど身が乾燥しているのだとか。殻をむいても剥ききれずに薄皮が残ってしまうのは、珍しい現象だともいう。

作業場内は、香ばしい香りでいっぱい。こんなにモリモリヘーゼツナッツを食べたことはない!というくらいの量を…まるで柿の種を食べるかのように…食べさせてもらい、何箇所かで食べているうちにやはりそれらにも質の違いなどが分かるように(なった気がする)。

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普段とはちょっと違う風景と、生産物をみて、なんだかまた興奮ぎみにヴェネトへ戻る。




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  1. 料理・素材
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お米の収穫祭@イーゾラ・デッラ・スカーラ :: 2017/10/23(Mon)

ヴェネト州を代表するコメどころ、そこがヴェローナ県下のイーゾラ・デッラ・スカーラ (Isola della Scala) 。

私の住むパドヴァ以北では、あまり馴染みのない、広大な農地の広がる場所。ヴェネト州のなかでも南側に位置し、イタリア一の大平原であるパダーナ平原の中心部にあたる部分であるだけに、ひとつの農地が大きい。
ここは、米の産地であり、ロンバルディア州とエミリア・ロマーニャ州と州境に位置するところで、これまた独特の食文化を持つ地域だ。

この地で収穫される米は、ヴィアノーネ・ナーノという品種。ナーノ(小さい)という言葉の意味からも想像される通り、米粒の非常に小さい品種で、どちらかというと日本の米に形が近いような気がする。

この地が稲作が適しているのは、広大な平野とここで湧き出る清澄な水が豊富なこと。同品種の米は、原産地呼称であるI.G.P.が冠されるのだが、その呼称をつけるにあたり、水田に鯉などの淡水魚を放つことも記載されている。淡水魚は他に、淡水のサメ、ウナギなども含まれている。

これらが根や茎につく害虫駆除に一役買うのだ。農薬などの化学的物質に頼らない自然農法のひとつ。

この米の特徴は、アミド含有量が高いため、粘りのない仕上がりのリゾットができあがること。この町のリゾットは、イゾーラ風リゾット (Risotto alla Isolana)といわれ、非常に独特の調理法をとる。

それは、鍋にあらかじめ温めておいたブロードを用意し、そこに決めた量の米を一気に投入する方法。通常のリゾットの作り方だと、米を先に炒めた鍋にブロードを少しずつ足していくのだが、ここではそれが逆となる。この方法をピロータ風といい、ピロータ(米の脱穀をする人)がこうしていたことから。つまりは、米の脱穀作業中に作業しながらお昼を用意する際に、作業時の忙しいなかに鍋の側でいちいち米をかき混ぜたりすることができなかったことから。だから、このリゾットは蓋をして、炊き上がりまでそのまま放っておく。ピラフを作るような調理法をとるのだ。

そして、お決まりの具材はタスタサル(Tastasal)。生サルシッチャ(生ソーセージ)の中身が具材となる。ここに、ローズマリーとシナモン、そしてこの土地の産物である、グラーナ・パダーナをたっぷりと加える。

今年も9月には、この土地の毎年の恒例である大きな米の収穫祭が開かれた。

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このリゾットを食べるために、数年前から付き合いのある、お米の生産者のブースへ。

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名物のこのリゾットを美味しくいただいてきた。

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お祭りということもあり、彼らの仲間の他のブースを訪ねたりもして…最後は名物タスタサルを購入して家路につく。

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この地域では、お肉屋さんに行くと普通にみかけるこの代物、パドヴァではほぼ見かけることはない。これもまた、地域性のよく出る食材のひとつでもある。




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  1. イベント、見本市
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フリウリの郷土菓子, グバーナ(Gubana) :: 2017/10/20(Fri)

フリウリの郷土菓子、というと真っ先に挙げられるのが、グバーナ (Gubana) だ。

のばした発酵生地にレーズンやくるみ、松の実、アーモンドやアマレッティなどのビスコッティを混ぜたものを広げ、それを巻いてぐるりと巻き込む。そしてオーブンで焼いた菓子。ずっしりとかなりリッチな仕上がり。

グバーナの発祥は、ウーディネ県のヴァッリ・デル・ナティゾーネ (Valli del Natisone) という小さな小さな町。少し先はもうスロヴェニアというイタリアの国境にも接する場所で、非常に独特の文化を持つ場所だ。

菓子の歴史としては、15世紀の頃、近隣の歴史ある町チヴィダーレ・デル・フリウーリにローマ法皇が訪れた際に振舞われたもの。

その渦巻きのような独特な形状は、「折りたたむ」という意味のスロヴェニア語「グーバ(guba)」からきたもの、とされている。実際、この土地では、スロヴェニア語が公用語のように使われる地域。イタリア語よりもスロヴェニア語のほうが強い地域に隣接している場所柄だ。

非常にリッチなこの菓子は、昔はこの地域ではハレの菓子として、ナターレや結婚式に食べられていたもの。現在では、土地を代表する菓子として親しまれている。

この土地で、グバーナを中心として菓子店を経営、そして地元を紹介する各種イベントで活躍すりスーパーシニョーラがいる。このシニョーラに晩秋の1日、グバーナを実際に目の前で作ってもらうレッスンを開催してもらった。

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生地は粉やバター、オイル、砂糖、酵母などを混ぜて練り、発酵させる。あらかじめ用意しておく中身は、しっかりとなじませる必要があり、約2日前には準備しておいたほうがよい。

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生地を成形し、その上に干しブドウなどたっぷりの中身をのせて広げ、手前からクルクルと巻き、さらに渦巻き状に巻きこみ、型に入れて再度発酵。

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その後オーブンへ。

この同じ材料を使って油で揚げたものはストルッキ (Strucchi) と呼ばれ、昔からこの地方では結婚式などのお祝い返しでもあるコンフェッティの代わりに使われていたとか。

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できあがりも上々で、満足のドルチェレッスンだった。

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補足‼︎
この地域には、小さな町のグバーナ屋さん…というか、いわゆるパン屋さんなのだが、グバナフィーチョが何軒かある。私の気に入りの一軒もここに。グバーナではここが一番美味い、と思っている。

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元気のいいおばちゃんが店番をしていて、何度か通ううちに、「そこら辺にあるストゥルッキ、つまんでいきなさい!」と言ってくれるまでになった(笑)。

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売店の横の支度部屋には、グバーナとストゥルッキの待機する部屋。

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このシンプル加減がとてつもなく、よい。




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  1. 未分類
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フリウリのワインカンティーナ巡り :: 2017/10/19(Thu)

なんだか急にフリウリづいていて、約2週間にわたり、フリウリ・ヴェネツィア。ジュリア州のワインカンティーナの数々を巡ることとなった。1日2軒を連日回る。

今回のターゲットとされるのは、いわゆる《自然派ワイン》と呼ばれる名だたる生産者の面々。こんなにまとめて、それも有名どころを連日に渡り訪れることができることは、非常に有難いことで、このような機会を与えてくださった関係各位の皆様には大変に感謝をしている。

《自然派》と呼ばれる所以は、まずはブドウをつくる畑の管理上にて、農薬などの化学的な物質を一切使わず、自然の環境と共存していくこと。それは決して、そこにある環境に頼る、というわけではない。

そして、ブドウを収穫したら、瓶詰めまでの一切の作業もまた、化学的なものを使用せずにブドウ本来の力を使い、そしてその本来の味を出すこと。ここで、ブドウ自身の持つ、酵素や酵母の力を十分に発揮させるために、造り手の手による仕事がなされる。

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近年、この類のワインを《オレンジワイン》と呼ばれる傾向にあるが、それは、白ワインなのに、グラスに注がれたものがそれらしい色をしていないことから。
これは、ブドウ収穫後に通常ならばすぐに皮をはずして醸造に入る白ワインの製法とは異なり、皮をつけたまま発酵させる製法(マチェラツィオーネ)により、できあがりのワインに自ずと色がついてくることによるからだ。

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皮につけておく時間は数時間から数ヶ月まで、造り手の考え方によって様々。それぞれに考え方があり、それらに耳を傾け、その度ごとに納得。もちろんできあがったワインを飲みながらそのフィロソフィーを聞くのであるから、それらが一層、価値のあるものとなる。

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訪れた季節はちょうど収穫が終わり、この皮をつけて発酵している期間、もしくはそれも終了した頃の時期。今年は夏期には非常によい生育をしていたブドウたちだったが、9月初旬の収穫時期に続いた長雨の影響で苦労した、という話をあちらこちらで耳にした。

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また、このブドウ収穫時期も、各造り手により様々な考え方がある。同じ地域内でもそのタイミングが1ヶ月以上もずれる。

その後は別の容器(木樽またはステンレスタンク、またはテラコッタ製のアンフォラ)などに入れられて瓶詰めまで静かにゆっくりと熟成を進める。

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フリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州とは、その州内でも地質や気候、そして歴史が大いに異なる州。

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それぞれにそれぞれの個性を生かしたワイン造りがなされており、多種多彩にて本当に興味の尽きない場所だ。

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  1. Produttore/生産者
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