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パドヴァのとっておき。

北イタリア・ヴェネト州パドヴァより、料理や季節のおいしい情報を中心に、日々のできごとを綴ります。



バッカラ料理専門店 「Antica Trattoria Due Spade」 :: 2018/12/21(Fri)

バッカラ (Baccalà)とは、ヴェネト料理を語るうえでは欠かせない存在。これなくしてヴェネト料理は語ることは不可、といえるほど、土地に根付いた食材のひとつ。
干したメルルーサ(タラ)をさす。ヴェネツィアの商人が航海の漂着先で偶然に知り、ヴェネツィアへ持ち帰ったものであり、そのためにヴェネトでは、この食材を使った郷土料理が存在し、親しまれている。

バッカラを使った伝統料理のうち、代表的な料理が、「バッカラ・アッラ・ビチェンティーナ (Baccalà alla Vicentina)」。いわゆる「ビチェンツァ風」だ。

たいてい、ヴェネトで食事処に入ると、かなり高い確率で(冬場は特に)この料理を目にするのだが、そのなかでも特に、伝統的なバカラ料理のスタイルを保ち続ける店がジョヴァンニ・ポッツァンGiovanni Pozzan氏の経営する店。

彼は、ヴィツェンツァ県サンドリーゴという小さな町にあるバカラ専門店『アンティーカ・トラットリア・ドゥエ・スパーデAntica Trattoria DUE SPADE』のオーナーシェフである。

この地元料理を毎日変わることなく作り続けている彼のその仕事は、このレストランの歴史の始まる1880年にそのルーツをもつ。
彼の曾祖父であるルイジ・ポッツァンRuigi Pozzan氏が創業。当時の店名は今とは異なるものの、それから世界大戦などの困難な時代なども経て、現在のジョヴァンニ氏で4代目となる。

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そして、彼の息子の名はルイジ。ポッツァン家の長男の名はジョヴァンニとルイジを繰り返しているので、現在のシェフのジョヴァンニ氏の父親と長男はルイジ。

彼の息子のルイジが5代目を引き継ぐこととなっており、父ジョヴァンニとともに厨房にたつ。また二男のガエターノはホールを担当、まだ学生である娘さんのフランチェスカも近い将来は店を手伝い、もちろんシェフの奥さんパトリツィアも店のマダムとして働く。レストランの上部が自宅となっており、自分たちの生活もレストランの一部、一家でこのレストランを支えるイタリアならではの家族経営の形だ。

ここ『ドゥエ・スパーデ』の店内はアンティーク調で200席ある、比較的大型店。だが、いつも変わることないアンティークな雰囲気は、決して古臭さは感じさせることなく、かえって心地よい温かさを感じさせてくれる。

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メニューは大変にシンプル。メインとしてバカラの煮込み、もしくはインサラータかフリット、そしてプリモ・ピアットのリゾットまたはビーゴリがその主役。

アンティパストには、バッカラの煮込みをパンにのせてオーブンで焼いたもの、バッカラ・マンテカート、そしてバッカラのキャビアをのせたクラッカー。

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その後のプリモはこの日は飛ばして…メインのバッカラの煮込みは…。

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よく知る田舎風なバッカラの煮込みとは異なる、シナモンの効いた非常に繊細とも思える味わい。一人分のバッカラをひとつひとつ丁寧に糸でまいて見た目も美しく、そして食べて一目瞭然、使っているバッカラの質が非常に良い。

それもそのはず、シェフは毎年ノルウェーのルフテン島を訪れ、自ら自分の使うバッカラを買い付けにいく。もう、その生涯をバッカラにかけた…といっても過言でないくらいの方なのだ。

ここでの作り方には、確かいろいろと技やポイントがあって、バッカラ・アッラ・ヴィツェンティーナに使用する、玉ねぎ、アンチョビなどの材料のうち、これらは使わずにデリケートに仕上げる…などの決まりがあって、あえて、「アッラ・ヴィツェンティーナ」とは呼ばず、「アッラ・サンドリネーゼ(サンドリーゴ風の)」と呼んでいたり、通常書く「Baccalà」 とはあえて書かずに「Bacalà」とひとつスペルを変えて表現する、など細かいこだわりがあったりする。

とにかくこだわりの強いバッカラ専門店。数年前には結構とよく通っていたのだが、先日すごく久しぶりに訪れた。
シェフも前と変わらず、シャキッとした佇まいに、真っ白なコックコートがとてもカッコよくて、食べたバッカラがこれまた前にも増して美味しく、感動したよい昼食タイムであった。

Antica Trattoria Due Spade
Via Roma 5, 36006 Sandrigo (VI)
www.duespade.com



テーマ:イタリア - ジャンル:海外情報

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