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パドヴァのとっておき。

北イタリア・ヴェネト州パドヴァより、料理や季節のおいしい情報を中心に、日々のできごとを綴ります。



こだわりのメルロー  Az. agr. Cà Olivassi :: 2019/06/20(Thu)

私のよく通うラディッキオの生産地の地区にて、小さなカンティーナがあるから見においで、と前々から誘われていた。ようやくお互いの都合が合い、訪問を。

ヴェネツィア県に属するノアーレの郊外、シーレ川をベースにする湧き水がこの土地の地中深くに巡らされている、きれいな水が豊富な地域。ここで小さな、約2haのみのブドウ畑を、それもほぼメルローのみにて持ち、それらを全てほぼ一人の手で醸造が行われている。ワインを作るのは、リーノ・トサット (Lino Tosatto) さんという、もともとこの土地で普通の農家として育った方。現在は普段は会社員として働き、ご自身の個人の時間はブドウ作り、ワイン作りに打ち込む。ブドウ畑の周囲には、彼の別の作物の畑、麦やトウモロコシの畑も広がる。

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ブドウ畑は自然に任せ、科学的な肥料などは一切排除している。現在、オーガニックの認定を取るための申請期間中だが、3年間の期間の後にはおそらく間違いなく認定マークが許可されるであろうはずだ。

整備された畑のメルローは、きれいに手入れされたグイヨー仕立て。葉も青々と元気に育ち、病気なども現在は見られる感じもなし。

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今はちょうど花がつくところ。

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収穫後は、カセットに並べ、45日間ほどの軽いアパッシメントが施される。その後、醸造作業に入り、アルコール発酵後は、50HLの木樽またはバリックにて30ヶ月、その後、瓶詰めして最低6ヶ月寝かせて商品となる。

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年間5000本ほどしか生産量がないので、全てが手作業。これから大きく生産量を伸ばしていくのか、というと現在はそのつもりもあまりないらしい。とにかくワイン作りが好きでその情熱が彼らを動かす原動力となっている。

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商品は2点のみ。「クアルテーゼ (qualtese)」はメルロー100% (IGP Veneto) 、「ラ・デチーマ (la decima) 」はメルロー95%、ラボーゾ5% (DOP Venezia) だ。

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このメルロー、非常に良い。深ーい真紅に適度な粘度。初めは甘い完熟したベリー系のフルーツの甘い香り、そしてだんだんと香りの要素が複雑になり、アルコールを感じる黒いベリー系の香りに。口に含むと口中に広がるふくよかさ、後にはほのかな程よい酸味も感じつつ、強すぎないタンニンもこれまた程よい。
時間を置いて飲んだらもっと変化が楽しめそうな、そして年月を経て寝かせておいたら、また面白い変化をしそうな良いメルローだ。

…と話しをしながら試飲をしながら畑を眺めていたらふと気づいた仕立ての違うブドウの木。少しばかりのリースリングだという。リーノさんの思惑は、今後少しずつ白ワインにも挑戦したい、らしい。

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このタイミングにて、「出しちゃおっかなー」といたずらしてる子供みたいな顔になったリーノさん。カンティーナの奥に入っていった彼の後に付いていったら、端っこにホコリにまみれた瓶の小さな山が。おもむろに一本をとりあげて開けてくれた。

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グラスに注がれたそれは、深い黄金色。粘度がしっかりしているので、糖度もアルコール度もそれなりのもの、と容易に想像できる。

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収穫後は24時間の皮とのコンタクトの後、皮を取り除き、カスとともに15日間のマチェラツィオーネが施され、その後さらにカスの大まかな取り除きも行って、4ヶ月。そしてアカシアのバリックにて18ヶ月。

金柑みたいな甘さと少し感じるほろ苦さ。熟成タイプのフォルマッジョに合わせたい。

なんでも、この床に転がっている2012年のものが数本しか在庫がないらしく、もったいなくて滅多なことがない限り、開けることはない代物なんだとか。私に気を使って言ってくれた分を差し引いても、嬉しい。

極少量生産の良品。いいワインだ。

最後に撮った写真は、造り手のリーノさん、そして彼を助けて、販売を担当するリッカルドさん。

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オリーブの花 :: 2019/06/15(Sat)

数年前から定期的に通っているフリウリのカンティーナは、ウーディネ郊外に位置する世界遺産の街、チヴィダーレ・デル・フリウーリにて、ワインオリーブオイルともにオーガニックの認定を受ける農家だ。
家族経営にて、約11haの自宅周辺のぶどう畑及びオリーブ畑、そして、近くの丘陵地帯に約2haのぶどう畑を持つ。

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整然と整ったぶどう畑は、非常に手入れが行き届いているのが見てわかる。それもぞのはず、年間を通してほんとに毎日の仕事は山のようにあるが、それをひとつひとつ丁寧にこなしているから。
私自身の興味もあり、頻繁に同農家には通い続けているなかで、お手伝いできることは積極的に参加している。おかげでいろいろなことを学ぶいい機会にもなっている。

今年は5月いっぱいまで低温で雨が続き、全体的に植物の成長が遅れている。野菜農家などは5月の種植え、苗植えの時期が雨続きであったこともあり、作業が非常に困難で遅れていることは、別農家からよく知ること。

このフリウリのカンティーナでも(もちろん彼らだけの問題ではないが)、今年は花がつくのかどうか…と非常に心配をしていたところ。

6月に入ったら、急激に夏がやってきて、ぶどうもオリーブも、グングンと成長をしている。オリーブは先週は蕾がついた状態だったのが…

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今週は一気に花が咲き、もうすでに終わりかけ。

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今年は実が少ないだろう…と予想していたが、花のつき具合からみると今年も結構な豊作な年になりそうだ。

ぶどうのほうも、もうすでにワッサワッサと葉がつき、ツルが伸びている。あっちこっちに伸び放題なツルを方向修正してあげたり、葉の密度を調整したりするのも大切な仕事。
実も花をつけはじめている。

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もうしばらくすると今年の収穫の予測もだんだんとたってくることだろう。

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継承語を学ぶこと :: 2019/06/12(Wed)

私の娘は現在11歳、数ヶ月で12歳を迎える。中学校一年生を今月で終了した。もう私のイタリア語力はとうに越しているので、宿題を手伝ってあげることもままならない状況ではあるが、どうにか毎日元気で学校に通い、友達もたくさんいて、楽しそうな毎日を過ごしている。なんとなく思春期も迎えつつある年頃にて、少々気難しくなってきたなぁ…とも感じているが、それも仕方がないのだと思う。

母親を日本人に持つ、という、ここでは一種の特異な環境にあり、学校では英語とフランス語を学び、そこに日本語も、となるとなかなかと大変。学校の宿題、学校終了後の午後の習い事、と毎日を多忙に過ごしているため、幼いときにはそれなりに継続していた日本語の勉強も、これは私の責任もあるが、少々なおざりになりつつある。

とはいえ、どうにか日本語のベースだけは保っていってほしい、と願う気持ちから、家庭での日本語での会話を無理やりに続行しつつ(もちろん私と娘間のみ)、月に一回の定期開催にて行われる同様な環境にいるヴェネトの子供達を対象とした「どんぐりの会」という自主サークルには、特別なことがない限りは出席するよう心がけている。

同サークルは、ヴェネト州内、パドヴァ、ヴェネツィア、ヴィツェンツァ、トレヴィーゾ、ヴェローナ県に住む、乳幼児から小学校に通う年齢の子供のいる家族が会員となり、現在は約30家族の会員により構成され、ミラノ領事館から日本の小学校の教科書を学年に応じて随時配布いただいている。

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当然のことながら、我が娘の日本語レベルは同年代の日本人の子供には到底おいついていない。とはいえ、そこにはあまり固執しておらず、楽しく日本語の環境に身を置くことを主眼としている。これは私のサボりからくる考えなので、正しくはないのだろう。とはいえ、本人の意識を保つためには、非常に良い機会と信じているがゆえ、会の運営にも積極的に参加するよう心がけてはいるのだが…。

6月の同会の開催は、夏休みに入ることもあり、月の初めに開催。いつもは学年ごとに分かれての授業を行い、その後は全学年を一斉に集めて日本の季節行事などに関連するレクリエーションの時間にあてている。
今月期に限っては、同会の保護者の尽力により、アメリカのブリンストン日本語学校にて、継承語を研究、実践されている小野桂子先生を迎え、保護者との座談会が企画された。

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継承語教育」とは、初めて耳にする言葉だった。

まずは、「継承語」とは何か。母語、継承語、現地語とは?という話から始まり、その教育的意義、継承語を学ぶ環境、その際のルール、そして私たち母親の対応法等々、様々な話題に触れながらその意味を知ることとなった。実際の実践における内容と、バイリンガル(またはそれ以上)の子供の教育を研究している学者の研究結果などを交えた裏付けのある内容に、思い当たること、そしてそうしたいと願っているが現実は…と、参加した母親たちが各人、頭のなかで様々なことを感じたことはいうまでもない。

日常に子供たちへ継承語を伝えていくうえで小さな積み重ねを続けていかなければならないことの重要さ、そして子供たちが単に言葉を覚える、という単純な意味以上のものがあることを短時間のなかでも十分に感じることができた。
母親が日本人だから、ということだけで日本語を習得できるのか、というと完全にノー。それの難しさは今自分達が十分に体験真っ只中。

小野先生が何度も繰り返し、強調し、そして私達も共感、いや、再認識したのは、子供に日本語を話してもらいたい、との思いやそれに準じる日本語の環境作りや日本語の勉強は、完全に親のエゴだということ。親が日本語を覚えてもらいたいと思っているから…。いやー、その通りだ。

そして、それだけではもちろん終わらない。大切なのは、それを踏まえた母親が、常に自信を持って話しかけ、行動すること。
ハッとした瞬間。




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