パドヴァのとっておき。

北イタリア・ヴェネト州パドヴァより、料理や季節のおいしい情報を中心に、日々のできごとを綴ります。



ブラーノ島Isola di Burano :: 2009/08/06(Thu)

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ブラーノBurano(ヴェネト弁では“ブランBuran”)はヴェネツィア・ラグーナの潟に存在する島のひとつ。人口は約3000人あまり。

この島の特徴は、建ち並ぶカラフルな家々。それもこの町を支えてきた漁業に従事する人々が、家に辿りつくために家を見つける目印の変わりとしたことから。冬季は特に霧の深いこの土地では、この鮮やかな色彩を頼りに自分の家を見つけることができたのだという。

イタリアが共和制になる以前のイタリア王国(レーニョ・ディ・イタリアRegno d’Italia)の時代(1861-1946)には、国から家の色を統一するよう指定もあったのだが、ブラーノの住民の強い反対のもとに、この土地独自の“カラー(個性、特徴)”を保ったのだという。家の色は一軒一軒違うがこれもその家ならではの“カラー”。
ブラーノを含めヴェネツィア周辺では同姓が集まる土地もあり、屋号も存在する。家の壁色も人物・家族を特定する役割でもあったとか。

この日、私と友人たちをヴェネツィアのはずれにある船着場まで出迎えにきてくれた地元で魚屋を営むファッビオ。日焼けした顔と澄んだ青い瞳、そしてヴェネツィア独特の訛りの強い典型的な生粋のヴェネツィア人。

モーターボートを巧みなハンドル捌きでラグーナを走りぬけ、ブラーノにあっという間に到着、運河をくねくねと通り彼の店横に着けてくれた。彼らにとっては船は車や自転車に匹敵する欠かせない交通手段。運河沿いに並ぶ同じような形の家を見分けるには、このカラフルな色の違いが標識代わりとなる。

それら家々もブラーノに人が住み、ひとつの自治体となり始めの頃には、パラフィッテparafitteと呼ばれる竹や葦でつくられた水面の高床式住居のようなものが始まり。タイやヴェトナムなどのアジア地域でよく見られる家だ。

2世紀ごろからレンガ造りの家の建設が始まり、ずーっと後1600年代にヴェネツィア本島に拡がったマラリアの影響も本島から離れていることからまた被害も少なく、ラグーナのひとつの自治体として頭角した。

1923年まではブラーノ独自の自治体として存在したが、その後ヴェネツィアの他島同様、ムラーノMuranoやペレストリーナPellestrinaとともにヴェネツィア市下となっている。

そして、もうひとつ、この島の重要な産業が16世紀から発達したメルレッティmerletti(レース編み)。だがしかし、現在ブラーノ及びヴェネツィア本島で売られている適当に手頃な値段のものは残念ながら本物のブラーノのメルレッティではないと言われている。中国製、もしくはイタリア製でもヴェネツィア以外の他の土地で製造されているものが多いので注意を要する。

現在、本物のメルレッティにお目にかかることも難しくなりつつあるのだというが、それに携わるアルティジャナーレ(職人)の数も急激に減っているという。特に若い後継者が少なくなっているのは伝統工芸を守るうえでは深刻な問題。一時は漁業とこのメルレッティで成り立っていたこの島の産業も、今や衰退の一途、他の町や土地へ移り住む人々が後を絶たない、という。

今回ブラーノを案内してくれたファビオの魚屋の前には昔の魚のメルカートの跡が。メルカートが開かれなくなって7-8年が経つというが、なんとなく物淋しげな感じもする。

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町の中心は町唯一の高い建物でもあるサン・マルティーノ教会。地盤沈下で斜めに傾いた塔が目印。ヴァポレットの着き場からこのサン・マルティーノ教会までの大きな通りがブラーノのメイン通り。道の両脇にはみやげ物店やレストラン、トラットリア、バールなどが並んでいるのでゆっくりと散策を楽しむことができる。

ファッビオが新たに出した店もこの通り沿いにある。マウロ・ブラーノというボローニャのデザイナーの洋服や帽子、アクセサリーなど、ユニークな一点モノが並ぶ店。どれもここブラーノのカラフルな家をイメージするような美しい色合いのものばかり。

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ゆっくりと散策するにはもってこいの非常に可愛らしい島。ヴェネツィアとはいっても華やかな観光地とは少々趣を異とする素敵な場所だ。

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