パドヴァのとっておき。

北イタリア・ヴェネト州パドヴァより、料理や季節のおいしい情報を中心に、日々のできごとを綴ります。



ピアーヴェ Piave D.O.P :: 2011/10/28(Fri)

ヴェネト州を代表するdopチーズのひとつ、ピアーヴェ。ヴェネト州内での最北、ドロミテの麓に位置するベッルーノで生産される。生産地域は繰り返すが、ベッルーノのあるヴェネト北部、アルト・アディジェ、フリウリの東部という、まさしく山のチーズ。

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その名はこの地を流れるピアーヴェ川から。ドロミテの麓の山からトレヴィーゾを通りヴェネツィアの潟に流れこむ全長230km強の川。
このチーズに使われる牛乳は、ブルーナとうイタリア種の牛。乳牛というとよく想像される黒と白の体格のよいお腹のたっぷりとしたタイプの牛に比べ、これは白と茶の比較的肉質のしまったタイプの体格を持つ。山の牛らしく、現在は乳牛として飼われてはいるが、もともとは食用牛も兼ねている種だという。山の生活に根付いた品種。

このチーズの生産のほぼ網羅しているのが、ヴェネト州内でも大規模を誇る製造所、ラッテ・ブスケLattebuscheだ。コペラティーヴァ(共同組合)の形態を持っているが、ここではベッルーノ内で400の契約酪農家を持ち、新鮮な山の牛乳を一括して製品化している。各種チーズを始め、飲料用牛乳、ヨーグルト、クリーム、バター、ジェラート等、乳製品全般を生産する。

ここベッルーノのその会社名同様のブスケBuscheという地に最も大きな生産拠点を持っており、ここでの代表的な生産物がこのフォルマッジョ・ピアーヴェ。

チーズ製造は今でこそ、衛生上の問題をクリアするために、各所で機械化されて特に生乳を人の手で触ることはまずないが、同社は製造工程全てがオートメーション化されている。今までいくつかのチーズ製造者を訪問してきたけれど、ここまで完全なものを見たのは、ここが初めてなような気がする。
とはいうものの、ほんの15-16年前まではここでも手作業のチーズ作りがされていたというから、こういう近代化はここ最近のものだ。
ちなみにこの大規模な機械はオランダ製。

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製造第一行程の部屋を上から覗く。右側に見える大きなタンクに運ばれてきた牛乳が入り、そこから直接加熱に入る。、発酵菌とレンニンが加えられたものが水と分離され、大きなタンクの脇にい設置された縦長のぶ5本の円柱の中にて、筒の下に行き着くときには、もうすでにチーズの形になっている。
これがベルトコンベアー上に流されて、ここで唯一の手仕事。チーズの側面に刻まれるシリコンの『PIAVE』と刻印されたベルトの型をできあがった形にはめこむ作業。ここだけは、まだ柔らかいチーズの基をデリケートに傷つけることなくうまくはめるのは、機械には頼れない部分。画面では少しだけ見えている作業中の人の頭。この大きな部屋にいる唯一の作業員。

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これを一日かけて乾かし、別室へ移送。サラモイアと呼ばれる塩水プールに2日間漬けられる。塩の濃度は2%。プールの深さは6mあり、これも自動的に押し流されて、水を含んで重くなるに従い、2日間かけて下方に流れていく。

サラモイアの部屋の後はポリメロという、チーズの表面を覆う一種のプラスティックのようなものを付着。もちろんこれもすべて機械の仕事だが、一気に噴射してその後、軽く乾かされる。

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それがそのまま保存庫行きの棚にきれいに並べられ、数量が揃うとカンティーナ(保存庫)へ。この保存庫には最大25万個のピアーヴェが保存可能。

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ここでは、2段階に分けられて熟成期間に入る。第一段階は温度9℃、湿度85%の部屋に1か月間。その後温度11-12℃、湿度70%の部屋へ。
温度と湿度の管理はチーズの並ぶ棚の間に至るところに設置されている天井から降りる穴つきの細い管が設置。下から空気を入れて上から調整した空気を押しだす仕組み。
チーズの出荷は20-60日熟成の“フレスコ”と180日熟成の“メッザーノMezzano”、180日以上熟成の“ヴェッキオVecchio”。そのなかでも、12か月熟成のものは“オーロL’oro”(=金)、18か月熟成は“リセルヴァRiserva”とされる。

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熟成の期間でもちろん味や風味が異なり、どれが好みなのかはもちろん個人の嗜好によるもの。同社では、このピアーヴェをカナダやアメリカなどにも輸出しているが、好まれるのは12か月以上の熟成の進んだものだそうだ。サラモイアの塩水の濃度が比較的低いことからも解るように、このチーズは塩分の強さがそれほど高く感じず、熟成タイプのものでも、塩味に甘みが非常にプラスされることが好まれる理由のようだ。

ここでは、年間350,000kgのピアーヴェを生産する。個数にすると、一個が約6kgなので、約58,000個。

併設の売店には、同州内で生産される同社のチーズ(アジアーゴ、グラーナ・パダーナ、モンターショ他)や新鮮な牛乳及び乳製品を買い求める人でいつも人が集まる。同社では6か所の直売所をヴェネト州内に持っているが、700万ユーロの年間売上のうち、半分弱の300万ユーロの売上をこのブスケで賄っている。

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テーマ:イタリア - ジャンル:海外情報

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