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パドヴァのとっておき。

北イタリア・ヴェネト州パドヴァより、料理や季節のおいしい情報を中心に、日々のできごとを綴ります。



プロシュット・ヴェネト・ベリコ・エウガネオProsciutto Veneto Berico Euganei :: 2009/10/29(Thu)

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ヴェネト州でもD.O.Pに指定されているプロシュットがある。それが、ヴェネト州南西にあたるモンタニャーニャMontagnanaという町を中心にしたベリコ・エウガネイ丘陵地帯で生産されている。

モンタニャーナという町で1919年よりサラミ工場として創業を始めたアッティリオ・フォンターナAttlio Fontanaは、現在3代目となる会社と同名のアッティリオ氏を中心とした3人の兄弟で、このプロシュット・モンタニャーナを作り続けている生産者である。

今回ここを訪れたのは3度目。建物内に一歩足を踏み入れると肉の熟成した匂いをすぐに感じる。

当然のことだが、何度訪れてもプロシュット作りの工程のシンプルさには感心せずにはいられない。基本的には塩をして寝かせ、その塩を洗って干す、というだけのもの。

簡単に工程を辿ると…
①塩漬け(0-4℃、15日間)→塩を落として→②乾燥(0-4℃、3ヶ月)→③洗浄;40℃の湯でまわりの塩、血を洗い落とす→④乾燥(18-20℃、1ヶ月)→⑤ストゥッコを肉の切り口に塗る→⑥乾燥、熟成

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ちなみにストゥッコとは、米粉と豚の脂を混ぜたもので豚の足の固い皮のない部分、つまり肉の切り口の表面にこれを塗って壁をつくり、肉の乾燥しすぎを防ぎ肉の旨みを内部に保持するためのもの。以前は米粉ではなく小麦粉であったが、時間の経過による縮みや虫がつきやすい、などの問題から2年ほど前から米粉に移行した。

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熟成期間は約16ヶ月。プロシュットとして食することが可能なのは12ヶ月以降だが、ここでは最低でも16ヶ月以降のものを出荷する。顧客によっては熟成の進んだものを好む場合もあるので、その要望にも応じて出荷している。

これら、製造中の記録はその都度、詳細に記録されており、各プロシュットにはそれぞれに作業日が添えられている。これを目安に移動、確認、出荷がされている。

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熟成が進み出荷が近づいてきたものは、常に風味の確認がされるのだが、この確認作業は全て人の感覚による。使われるのは馬のスネ骨。これが唯一の道具。このスネ骨のスティックを決まった5箇所に刺して、その都度匂いを確かめる。5箇所とも全て熟成度が確認されたものから順に出荷体勢となる、というわけだ。この嗅覚はこの職に長く関わる職人の感覚によるもの。そしてこの馬の骨も、現在これだけに技術が発達してとしてもこれ以上のものは未だに開発されていないらしい、貴重なもの。何が特別かというと、刺した箇所の匂いをすぐに感知し、そしてそれに続いて別の箇所の肉を差しても前後に匂いを残さない、唯一のものだという。

その昔、プロシュット作りは肉の保存目的のためにされていたもの。季節、つまり自然の力を最大限に利用して作られた賜物である。冬前に肥えた豚を冬の間中食べるために施された手法なため、本来はちょうど今の時期ぐらいからプロシュット作りが始まっていた。

現在ではもちろん冷蔵などの技術が発達していたり、生産上の問題などから一年中作られているものである。が、基本的には製造中に何度か温度を変えた部屋を移動するのは、この季節を強制的に冷蔵庫としてつくりあげている、ということ。

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このプロシュットの認定証は、ヴェネツィアのシンボル、ライオンが刻印されている。日本には輸入はされておらず、イタリア国内でもヴェネト州を中心に販売、ドイツへは輸出されているという。

モンタニャーニャのプロシュットの特徴は、塩を極力抑えていることから、肉の甘さが格別。薄く切って口にのせるととろけるように美味い。


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テーマ:イタリア - ジャンル:海外情報

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