パドヴァのとっておき。

北イタリア・ヴェネト州パドヴァより、料理や季節のおいしい情報を中心に、日々のできごとを綴ります。



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カルロ・スカルパの「ブリオン家の墓」 :: 2014/04/07(Mon)

トレヴィーゾ郊外、サン・ヴィートという場所に、ヴェネツィア生まれの建築家、カルロ・スカルパの手掛けた、墓地がある。

一般の市民墓地の一角に建てられた芝生に覆われた静かな空間。墓地全体は畑に囲まれた、ごく普通のヴェネトの田舎の風景のなか。
同墓地は、ブリオン・ヴェガ社の創始者であるジュセッペ・ブリオン氏とその奥様のために造られた墓地で、傍らにはカルロ・スカルパ夫妻の墓が配されていることで非常に知られているところだ。

市民墓地をぬけるとその正面に見えてくるコンクリートの壁。初めに目に飛び込んでくる2つのリングを模したようなデザインが目に飛び込んでくる。これを見ることから彼の建築・デザイン考に触れることになるのだろうか。私はその道の専門ではないので、多くを語ることは到底できないのだが。

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2つのリングは墓地に祭られた2人の永遠の愛を象徴しつつ、その先に見える内部との境界を物理的だけではなく、隔てているもの。そのリングの先に拡がる芝生の拡がる内部とのコントラストに不思議な感覚を覚えながら…

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墓地全体の構成はこのエントランス塔、及びブリオン夫妻の墓、家族の墓、水に浮かぶ瞑想の場=パビリオンと、カペッラ(礼拝堂)とからなる。全体及び墓地を巡らせている壁の構造、そしてもちろん内部のそれぞれ各部の構成に様々な意図が秘められており、ここを訪れる人々をどのように内部へ導かせ、そしてその構想を解らせるか、もしくは感じさせるか、という素材が随所に隠されている。

エントランスから足を踏み入れると自然の力で押されるように左方向に足が進む。この階段の造りにもスカルパの構想があるとか。通路が左側に寄っている。

そして、開けた先に見えるのがブリオン夫妻の墓。棺が上部を中心に斜めに配置されているのも、夫婦の愛の絆の証だ、とか。

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それを覆うアーチはヴェネツィアの橋をモチーフにしていれ裏側にあるきらきらと反射するカラフルなガラスモザイク、反射する水を表現しているのかもしれない。もしくはヴェネツィアの橋そのものを表現しているのかも。

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墓地全体にみられる造りも、ヴェネツィアを意識した浜辺または海の波を表現したものだ、という解釈もされるのだという。

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とにかくも、墓のある場に到達するには、水路が設けられていて、これも様々な解釈の根源だ。

エントランスから逆方向、右手に進む。その先にある瞑想室なるもの。

ハスが植えられた堀に浮かんでいるように造られる。

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内部に入る。人間が立ったときの視線と座ったときの視線とで、その場から見える景色が異なるように計算されているのだとか。中央に立ち、メガネみたいにくり抜かれた部分に目を転じると、その穴の向こうに街の教会の鐘塔が見える。座ると向こう側には墓地の壁のみが見え、街の家々の様子などが切り離され、教会の鐘塔の先端のみが見える。それぞれが異空間。

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そして、礼拝堂へと導かれる…打ちっぱなしのコンクリートなのに、まるで木材のような質感。

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内部へ。ピラミッドのように上部に三角に貼られた天井、礼拝堂への扉の開閉様式等々、頭が破裂するくらいにいろいろなものがある。

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こちらも障子のように造られた壁や扉。

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随所に見られるスカルパ独特の細かい考察のもとでの柱の造り、組違いに造られた床。細い天井の上部と床に仕掛けられた雨水の通る穴…

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ちなみにここに続く廊下は、“うぐいす張り”式に“鳴る”廊下。もちろん木造建築ではない。墓地内にはあちこちに「きっと何かの意図があるに違いない」と思わせる構造や造りのものが点在している。この階段もそのひとつ。それぞれの段を叩くとそれぞれに音が異なる。

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構造の意図、というか「静」と「動」、「俗世」と「来世」、「向こう側」と「こちら側」…とにかく多様な解釈のされ方があり、それのどれもが解釈とされている。

こちらがカルロ・スカルパ本人のお墓。ブリオン家の墓の一画にひっそりと存在する。傍らには妻の墓が置かれ、なんでも縦型の棺だとか…

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一度だけでは到底全てを観て感じることなどできず、ましてやこの方面に悔しくも疎い私などには…と「うーん、うーん」と唸っていたら、「そんなに難しく考えないで~。楽しんでみればいいのよ=」と友人に笑われた。

どこ行こうか~と思い立ってお出かけしたある土曜日の午後。再訪の必要あり、の場所だなぁ。また、行こう。

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テーマ:イタリア - ジャンル:海外情報

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