パドヴァのとっておき。

北イタリア・ヴェネト州パドヴァより、料理や季節のおいしい情報を中心に、日々のできごとを綴ります。



Specola(スペーコラ)-天体観測所 :: 2015/02/02(Mon)

水の街でもあるパドヴァの素敵なポイントのひとつが、現在、スペーコラといわれる天体観測所(Osservatorio Astronomico)だ。

“スペーコラ(specola)”は、“オッセルヴァーレ(osservare)”からの派生語。“観測する”という意味から来るもの。

バッキリオーネ河沿いにあるこの建物は、1200年代半ばに当時のパドヴァの君主、エッツェリーノ3世・ダ・ロマーノ(Ezzelino III da Romano)により、現在見られる2つの塔を中心に建設されたもの。暴君として知られている同君主は、ここを牢獄としての使用を目的としていた。

河沿いには、ここを中心に塀が築き上げられ、“塀の街=チッタ・ムラータ”として知られるパドヴァの街の造りのスタート地点でもある。

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その後、1300年代後半、現在のパドヴァの形を造り上げた領主、カッラーラ家により、建物に修飾され、美しいカステッロ(城)、通称として、“カステル・ヴェッキオ(Castel Vecchio)”として現代に残る。

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さらに時が経ち、パドヴァがヴェネツィア共和国の傘下であった1700年代、この建物は10年の修復作業を経て、天体観測所として生まれ変わる。1777年のこと。

パドヴァは、ヴェネツィア共和国唯一の大学のある街でもあり、学術が非常に活発に発展した経緯がある。
当時のヴェネツィア共和国はヴェネツィアから、現在のロンバルディア州ブレーシャの辺りまでを制する、大きな国家であったが、その天体観測の中心は、ここスペーコラで行われており、ヴェネツィア共和国の時刻の調整もすべて同地が担っていたのだそうだ。

観測所内には、その日の“正午”を計測する部屋があり、毎日、ここで3名の観測者が、寡黙に計測を行っていたのだとか。現在のような統一時刻(メッゾォジョルノ・メディア/mezzogiorno media)ではなく、日照時刻(メッゾォジョルノ・ヴェーロ・ソラーレ/mezzogiorno vero solare)といって、非常に原始的に、部屋の南北、上部に開けられた小さな穴から指す光の位置を毎日観測したのだとか。

ここではもちろん夜の天体観測もなされていたが、それはもう大変な忍耐力ともに、望遠鏡を覗き続ける人、記録する人、時刻を読む人、との3名で無駄口一切なく、静粛ななかでの作業だったとか。この日も寒い日中だったが、冬の夜の作業は過酷ともいえるものでもあったと想像される。

一番高い場所は36mの高さがある。この高い塔を使って、パドヴァ大学で教授として在籍していたガリレオ・ガリレイが天体観測をしていた、と言われているのを信じていたが、実は彼の在籍期間中(1592-1610年)には、ここはまだ天体観測所としての機能は持っていなかったのだとか。

もしかしたら内部に足を踏み入れたのかもしれないが、その当時はまだ牢獄であったため、研究場所としての使用はほぼ認められていなかったはず。そして、おまけに天体観測所としてヴェネツィアが建物に手を加えている前であるので、当時はまだ建物自体は低いものであったこと。ましてや、足を踏み入れたこともなかったのでは?などとの推測もされているよう。

建物の一般解説やガリレオのパドヴァ大学滞在期間を照らし合わせてみれば容易に解ること。とはいえ、一緒に見学に参加して他20名ほどのパドヴァ人たちも、改めてこの事実を知ることに。
現在の一番高い観測所から見る、パドヴァの街の風景。前方にはサンタントニオ聖堂が。

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方角を変えると、水の流れのある街の風景。

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現在、スペーコラの脇には、パドヴァ大学の天文学部のキャンパスとなっており、また、建物自体は、1994年以降、博物館として一般公開をしている。

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建物の外観の美しさ、そして、パドヴァが大学の街として学問の発展に対して非常に貴重な存在であったことなどを知るきっかけとなる、ひとつのポイントだ。

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La Specola
vicolo dell'Osservatorio
スペーコラ博物館(www.pd.astro.it)
※建物内、撮影禁止



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