パドヴァのとっておき。

北イタリア・ヴェネト州パドヴァより、料理や季節のおいしい情報を中心に、日々のできごとを綴ります。



スフォリアテッラと職人技 :: 2015/08/02(Sun)

ナポリの代表的な郷土菓子のひとつである『スフォリアテッラ』。その起源はアマルフィ海岸沿い(アマルフィ近く、コンカ・デイ・マリーニ)にあるサンタ・ローザ教会付属の修道院とされている。

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非常に厳粛な修道院であったが、クチーナ(調理場)のみは、施設外とも出入りが許されていた唯一ともいえる場。
同施設では、独自の畑、ワインを製造するためのブドウ畑も保有しており、パン焼き用の窯も設置され、ほぼ自給自足の生活が可能であったといえる。

1600年代のこと。調理場で食事の給仕の後、余った小麦の粒を牛乳の中に混ぜ込んでおかれたものを料理人が見つけ、試しに乾燥フルーツやレモンのリキュール、砂糖を加えたのだが、それが後の同菓子の中身となるもの。

そして、これを包む生地は、小麦粉にストゥルット(豚脂)と白ワインを加え、形状は修道士のかぶる帽子(カップッチョ)を表現した。

修道院長は、焼きあがった目新しい菓子を非常に気に入り好んだことから、修道院の外部へも広まり、同地区の人々、そして、隣接の教会・修道院にも広く伝わり始めた。サンタ・ローザ(聖ローザ)の名のもとに、同地にてよく知られた菓子となる。

1800年代に入り、ナポリの食堂(オステリア)の店主であるパスクアーレ・ピンタウロPasquale Pintauroが、当時、既に知られていた「サンタローザ」という菓子を初めてレシピ化することとなり、同菓子が改めて正式(?)に一菓子としての存在を露わにする。

その後さらに修正・改正を加え、クレーマ・パスティッチエラ(カスタードクリーム)とアマレーナ(スミノミザクラの実のシロップ漬け)を上に載せるなどしたものが、現在にも残る『サンタ・ローザ』。

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さらに彼は現在のスフォリエテッラの『リッチャ』に見られる特徴的な三角形を体系づけた、とされてはいるが、ここら辺の真相はなんだか危ういものらしい。

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こちらは、同生地で後からクリームをつめこむ”コーダ・ダッラゴースト”。形がアッラゴースト(=ロブスター)のコーダ(=尻尾)のようだから、この名で呼ばれている。

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ということで、昨年からなんやかやと縁のあるシェフのもとに、このスフォリアテッレの製造現場を訪ねる。今回はある企画のもとにて、ナポリじゅうのスフォリアテッラを訪ね歩いたが、非常に時間と手間と技の必要な同菓子を、実際に店でつくっているのはごくごく少数に限られているのだという。

生地の材料を合わせ、のばす。それを寝かせてさらにのばす。…と簡単に書くが、この行程中にもさまざまなポイントが隠されている・・

それをさらに寝かせた後、またまた特殊な手法に生地を薄くのばしながらロール状に。

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さらにさらに寝かせたあと、ここからがまたすごい!男性2名によりこのロールをさらにひっぱってのばす。こうして同菓子特徴の薄~い生地ができあがる。

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それを1cm厚さに切り、三角錐状に成型する。

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まさしく職人技にて目の前でみるみるうちに御馴染みの形が現れ、そこに事前に用意しておいたセモリナとリコッタベースのフィリングを詰め、そして端を閉じる。

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手品をみているようにスムーズに作業が進み、できあがりの形を目にすることとなるが、ここまでの作業は、熟練の技と経験があってできるもの。

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この菓子をよく知り、そして愛する人たちにより守られている伝統だ。

大好きだったこの菓子がより一層いとおしく思えた瞬間。そして、ナポリの街中に多く並ぶこの菓子を今まで以上に品定めする“眼”が備わった瞬間でもあった。貴重な体験をさせてくれたシェフに感謝!


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テーマ:イタリア - ジャンル:海外情報

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