ヴェネツィア本島でお世話になっているマンマ、アダさんとのお料理レッスン。この方、マンマとはいえ、ヴェネツィアの老舗料理店で40年にも渡ってシェフとして活躍してきた、知る人ぞ知るパワフルウーマンなのだ。
それでも、昨今の料理界の事情とはその当時は異なり、女性の料理人は何しろ評価のされにくい時代。働いた料理店では、今でも息づく店の看板メニューを作った人物であり、現在のヴェネツィアのオステリア(バーカロ)の原型のお手本みたいなものを仕掛けた張本人とはいえ、その点に於いて彼女の名が知られることはない。
ご本人もいたってシンプル、そして非常に遠慮深い方で、そんな人柄と彼女のつくる美味しいヴェエンツィア料理を慕って、人伝てにあちこちから今でも引き合いのある、そんな人物だ。
この日は、いつものようにリアルトの市場に集合し、皆でお買いものからスタート。この時期にしかない、ヴェネツィアの美味しい季節もの、カストラウーラをいくつか購入し、また、数種の魚介を購入。

おおまかなメニューをここで決めながら、帰り間際に美味しそうな小海老を見つけ、「これもアンティパストにしましょう」とのことで、少しだけ分けてもらって、彼女のご自宅へ皆で移動。


小さいけれど温かく、そしていつも綺麗に整頓されたヴェネツィアならではのお家。通りからは想像もつかないような静けさと平穏さが、ここにある。
今日のメニューは、カストラウーラの煮たものと、小エビのフリット&ポレンタ、ブルスカンドリと海老のリゾット、アンコウのオーブン焼き、そして、スカンピのブーザラ風。
目の前で見る見るうちに下処理を進めていく。カストラウーラは掃除をして、鍋に入れて水とオイル、ニンニクとパセリを加えて火にかける。空気と触れると黒く仕上がってしまうため、オーブンシートで落し蓋をし、さらに蓋をして中火で柔らかくなるまで。
スカンピは、食べやすいように予め背側にはさみで切り込みを入れて。こうすることで、ソースにも美味しい味が馴染み、そして食べやすい、と一石二鳥となる。


鍋を温め、スカンピを入れ、しっかりと焼き付ける。ブランデーで風味づけをし、そこにトマトソースを入れて煮込む。
アンコウにはトマトやオリーブ、ニンニクとパセリを乗せて、オーブンに入れる前から華やかな感じ。美味しく仕上がる期待が高まる。


おおまかに支度が済んだところで、海老を仕掛ける。小さな海老の一匹一匹を丁寧に殻を取り除いて、粉をまぶして油でカリッと揚げる。揚げあがりに塩をふり、定番のポレンタを添えて、いただく。

前日に、私たちのために用意してくれたサルデ・イン・サオルを添えて、まさしく、ザ・ヴェネツィア料理‼︎


ブルスカンドリのリゾットをいただき…

そしてメインのアンコウとスカンピのブーザラ。


絶対に美味しい決め手をはずさない、シンプルだけれど確実に美味しいアダさんのお料理、大好き。
家のなかには、家族の写真がいっぱいに飾ってあり、数年前に亡くしたゴンドリエーリ(ゴンドラ漕ぎ)だった最愛のご主人の話になると、ものすごい笑顔になり、そしていつも目にはいつも涙がキラリ…
今とひと昔前のゴンドリエーリの仕事ぶりの違いやら、ヴェネツィアの今昔を話し始めたら、ネタはつきないのだ。
アダさんと知り合いになって数年が経つが、その少し前に他界されたご主人、一度お会いしたかったな…
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素敵ですね!あらためてヴェネツィア料理の魅力を感じさせられました!この小エビが「スキーエ」と呼ばれる小エビですか?そして、何よりも二枚目の画像の小エビの後方にあるのは、ルマーケ(あってましたっけ?)カタツムリじゃないですか!?興味ありまくりです!!また機会がありましたら亜紀さんによるカタツムリの記事、期待してます!
- 2016/05/19(Thu) 22:48:08 |
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- スズムラ ユウタ #-
- [ 編集 ]
スズムラ様
コメントありがとうございます。写真に見えるエビはスキエではなく、ラグーナで獲れる沢エビです。スキエは季節が限定されているのと、火を通しても赤くなりません。
カタツムリはここら辺ではボヴィレティと呼ばれる小さいカタツムリです。よろしかったらこちらをどうぞ。
http://violamasako.blog83.fc2.com/blog-entry-586.html
- 2016/05/20(Fri) 15:02:45 |
- URL |
- aki #-
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ありがとうございます!カタツムリの記事あったんですね!気づけずすいません。沢えびですか、勉強になります。
- 2016/05/20(Fri) 15:14:27 |
- URL |
- スズムラ ユウタ #-
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