パドヴァのとっておき。

北イタリア・ヴェネト州パドヴァより、料理や季節のおいしい情報を中心に、日々のできごとを綴ります。



パルマの名産を訪ねる…その2  パルミジャーノ・レッジャーノParmigiano Reggiano :: 2016/06/20(Mon)

いわずと知れた、パルマ周辺を代表するチーズ。


その歴史は12世紀にまでも遡る。エミリアの地に息づく、水を適度にそして溜め込まない、土地ならではの豊かな環境にて、修道士たちによって、牛乳の長期保存の目的のために生まれたもの。

現在は同地に350もの製造所を有し、同地区にて賄われる酵素を使用し、定められた製造過程を経ることにて、パルミジャーノ・レジャーノとしてその名を冠することが許されている。

350軒の同地区内でのパルミジャーノ製造者の背景には、3500にも及ぶ酪農家が控えている。もちろん、それらも同一地区内にて。

酪農家が認定のパルミジャーノの原料として納入するためにも、餌(麦などの穀物、トウモロコシを加えない)や環境にも規定が設けられており、それを必ずやクリアしている必要がある。

チーズは朝・夕の2回に分けて製造所へ運ばれていく。前晩の生乳は一晩静置し、脂肪分の高いものと低いものとに分離される。

翌朝に運ばれてくる新鮮なものを前晩の脂肪分の豊富な部分とを混ぜ合わせ、チーズ製造に入る。

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大きな逆円錐形の銅鍋のなかでゆっくりと加熱が始まる。これはカルダイヤと呼ばれ、内側が銅、外側はステンレスの2重構造でその間の空間は蒸気が送り込まれて鍋に熱を伝える。

ゆっくりとゆっくりと40度くらいまで上げたところにてカーリオ(レンニン=凝固酵素)が加えれれ、さらに温度を上昇させた後、加熱をやめてしばらく置く。

今度はゆっくりと温度が下がりながら酵素の力で固まり始めるので、それをスピーナと呼ばれる風船形だがステンレスの線でつくられた専用の器具で固まりを細かく刻んでいく。

ここで細かくも均一に刻んでいくことが、この先の長い熟成期間を健全に過ごすことにつながるので、非常に重要なポイントでもある。

この工程を終えると、麻の大きな布を使ってこの鍋の底からかたまりをすくい上げる。大男が2名で行う作業だ。

この固まりを2つに分け、ようやく型へ…大きなカルダイアには1000lの生乳が入るのだが、できあがるのはたったの2つのかたまりのみ。できあがり1つが約40kgであるから、80kgのチーズをつくるのに、1000lの生乳が必要になる、というのが単純計算。パルミジャーノ・レジャーノの場合には、前日の生乳の半分はチーズ生産には使われないので、実質的には1000lよりもさらに多い生乳が必要、ということになる。

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さて、こうして型に入れられたパルミジャーノの元、は、2時間ごとに上下をひっくり返しながら約1日おき、その後、PARMIGIANO REGGIANOと彫られた帯を巻かれてさらに2日間寝かせられる。こうしておおまかな形ができあがる。

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その後はサラモイアと呼ばれる塩水プールに約2週間漬け、塩を内部に浸透させた後、熟成に入る。

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圧巻であるチーズの熟成庫。20段はある大きな熟成庫には、これからパルミジャーノ・レッジャーノとして世に送り出されるものがぎっしりと並んでいる。

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正式にこのブランドを冠することができるのは、12ヶ月後。協会から検査員がやってきて、専用の木づつであちらこちらを叩いて音を聞いて内部の状態を判断する。この判断には熟練さが必要だ。

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もちろん外見も重要な判断基準になるのだとか。上下の表面がまっすぐと平らであるか、等。ちなみに抗生物質を与えられた雌牛からつくられるものは、あちこちが膨張したり、と形がいびつなものになるらしい。

その後は、好みの熟成具合によって卸業者などの手に渡り、消費者のもとへ。
普段から冷蔵庫の中に欠かすことのないパルミジャーノ・レジャーノだが、こうしてしっかりと生産者のお話を伺うと、一層ありがたいものに感じてくる。

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多くの人の手のかかった恵は大切にいただきたいもの。


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テーマ:イタリア - ジャンル:海外情報

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