FC2ブログ

パドヴァのとっておき。

北イタリア・ヴェネト州パドヴァより、料理や季節のおいしい情報を中心に、日々のできごとを綴ります。



エピファニアの行事「ブーサ・エ・ラ・ヴェーチャ(Busa e la vecia)」 :: 2019/01/07(Mon)

カトリックの暦上、12月8日から始めるナターレ(クリスマス)は年があけた1月6日にて幕を閉じる。
この日は、「エピファニア(Epifania)=公現祭」呼ばれ、パレスチナのベツレヘムに降誕したイエス参りをしたマーギ(東方三博士)の行いを祝うもの。

この日をもって、全てのナターレの行事が終了するのだが、この1月6日を迎えるよるには、マーギ同様にイエスに礼拝をしたかったが叶わなかった老婆(ベファーナ)が子供のいる糧をまわって甘いお菓子を靴下に入れていく、という習慣が残っている。

IMG_9877_convert_20190107143354.jpg

マーギに道案内を頼まれたベファーナは、その際に彼らに正しい案内をしなかったのだが、それを悔やみ、後を追って自らもイエス参りをしよう、と思ったときにはもう時遅し。止むを得ずに自分でイエスを探さなければならなくなったことため、新生児のいる家庭を一軒一軒まわり、どのうちの誰かがイエスであることを願って、甘いお菓子を配った、という逸話から残る習慣だ。

こんなことから、ひと昔前まえでは、子供たちが枕元に靴下を置くのはこの1月6日の朝に向けて。このベファーナが各家庭の暖炉から家のなかに降りてきて贈り物を置いていく、と信じられていた。12月25日にサンタクロースが子供たちにプレゼントをもってくるのは、ごく近年の話だ。

知人のシニョーラも、エピファニアの前夜には、翌朝にこの老婆がプレゼントを運んでくることを大いに期待し、自分の食べていた夕食の皿を半分残して、暖炉近くに置いて寝床に入ったという。寒い夜空に飛び回るベファーナが、自分の家にも忘れずにきてくれることを願って。
翌朝はもちろん彼女のお母さんがその皿を片付け、その代わりに贈り物を用意しておいてくれる。

現在でも、子供たちは甘いお菓子がこの日の朝に枕元に置かれる習慣は残っているが、良い子にしていた子供には、甘い菓子が、悪い子には炭が置かれる、といわれているので、朝目覚めた子供はドキドキしながら靴下の中身を確認することとなる。

街中の露店でも、ナターレ時期にはお菓子を売る店が出てくるが、このベファーナに向けて、老婆の姿をした人形がこの時期はあちこちで見られる。

IMG_9878_convert_20190107143412.jpg

そして、この日には、ヴェネト州に残る習慣で大きな薪「ファロー(Falò)」を燃やす行事が各地で行われる。パドヴァでは、旧市街地の南端となる広場、プラート・デッラ・ヴァッレにてこの大きな薪が設置される。薪の先端には、ベファーナがつけられるのが恒例で、「Brusa la Vecia (ブルーサ・ラ・ヴェーチャ)」と呼ばれ、親しまれる行事だ。

IMG_9886_convert_20190107143445.jpg

IMG_9888_convert_20190107143503.jpg

「ブルーサ」とは、「ブルチャ(燃える)」のヴェネト弁、「ラ・ヴェーチャ」とは、「ラ・ヴェッキア(老婆)」の同じくヴェネト弁。つまりは、「老婆燃やし」という意味で、この老婆はベファーナにあたる。
意味合いとしては少々恐ろしい感じだが、この行事の意味するところは、この薪を燃やして出る煙の方向でその年の幸運を予測する、というもの。そして、この日のために一晩じゅう働いたベファーナをねぎらう意味もある。

IMG_9919_convert_20190107143552.jpg

広場での点火は夕方6時とされていたので、午後から少しずつ人出がある。広場ではエピファニアにちなんだイベントが開催されている。寒い時期のこの行事に欠かせないのが、体を温めるためのホットワインである「Vin brulè(ヴィン・ブリュレ)」やチョコラータ・カルダ。広場の角でもこれらが振舞われる。

IMG_9904_convert_20190107143537.jpg

IMG_9890_convert_20190107143519.jpg

そして、人々が薪の周囲に集まり始め、周囲が暗くなってくるとそろそろと点火の準備も進む。

IMG_9933_convert_20190107143608.jpg

大きな火となるため、消防車が何台も待機。時間になって薪に火がつけられると、あっという間にメラメラと燃えていく。一瞬でベファーナの姿も見えなくなって、なんだか可哀想…。

IMG_9944_convert_20190107143623.jpg

帰りに近くのバールで温かいカフェを飲んで暖をとり、家路についた。

街の中心に置かれる大きなクリスマスツリーもこの日でお別れ。明日には撤去作業となる。

IMG_9879_convert_20190107143430.jpg

今年も1年、よい年でありますように!


関連記事


テーマ:イタリア - ジャンル:海外情報

  1. 行事、習慣
  2. | trackback:0
  3. | comment:2
<<モンテ・グラッパのチーズ、モルラッコ | top | バッカラ料理専門店 「Antica Trattoria Due Spade」>>


comment

明けましておめでとうございます!
今年も楽しみに拝読させて頂きますね。

「老婆燃やし」画像と名前だけだと中々の驚きです
が経緯を説明されると、歴史ある風習なんですね。
とてもよく分かりました。


また今年も白浜さん目線のヴェネト州の記事を楽しみにしてます。

  1. 2019/01/10(Thu) 01:18:55 |
  2. URL |
  3. ユウタ #-
  4. [ 編集 ]

Re: タイトルなし

ユウタさん、
いつもありがとうございます。今年もヴェネトの新発見を探していきます!引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
  1. 2019/01/13(Sun) 22:24:50 |
  2. URL |
  3. Aki #-
  4. [ 編集 ]

comment


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://violamasako.blog83.fc2.com/tb.php/986-54ad2ee9
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)